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彼の声 2017.6.24 「保険と資本」

2017/06/24

 今この世界でどんな危機が生じているとし
ても、それを直接体験しなければ実感が伴わ
ないだろうが、たとえメディア経由で間接的
にであっても、危機を実感できる感性という
のが、果たして現代人に備わっているかとな
ると、現代人であろうとなかろうと、平穏無
事な日常のただ中では何を意識することもで
きないだろうし、危機が間近に迫っているに
気づかなくても、平穏無事に暮らせているう
ちは何の問題もないわけで、危機を煽るメデ
ィアに触発されて必要以上に危機感を募らせ
るのは、ただの神経過敏症の類いでしかない
かもしれないが、そういう意味でそこにどん
な危機が生じていようと、実際に何らかの危
機に直面していることに気づかなければ、そ
れを危機だと認識することはできないだろう
し、さらに言えば実際に危機に直面して痛い
目に合わないとなかなか身にしみて実感でき
ないし、実感したところで個人の力でできる
ことは限られているわけだが、それでも危険
が迫っているのを事前に察知したり、しかも
うまく対処して深刻な事態になるのを未然に
防いだりするのには、前もって危険の程度を
予測して、そうなった場合に備えて何らかの
保険をかけておくことも必要となってくるだ
ろうし、そのような事前に保険をかける慣習
が世の中に広まったおかげで、社会がそれな
りに安定してきたことは確かだろうし、その
ような慣習から発達した公的な保険制度や民
間の保険業者を介して保険金を積み立てる仕
組みが、莫大な資金の蓄積をもたらして、そ
れが資本主義経済の資金需要を支える一翼を
担っていることは言うまでもなく、保険金を
積み立てる余裕があると言うことは、そこへ
資金を還流できるほどの利潤が生じているこ
とにもなり、その分だけ経済活動が余計に行
われていることにもなるだろうか。それを余
分な経済活動と判断するのは保険という制度
を否定することにもなりかねないが、少なく
とも保険金を払うだけの経済的な余裕があれ
ば、ないよりはあったほうが安心できるだろ
うし、例えば交通事故などで多額の損害賠償
が必要とされるような実態もあるわけで、自
動車の所有者は自賠責は当然としても任意保
険にも入っておきたいところだろうし、そん
な事故が多発するような社会状況が保険を必
要としているようにも感じられるし、他の損
害保険や医療保険や生命保険なども含めて、
将来に生じるかもしれないリスクに備えて、
保険が必要と思われるような社会的な背景が
あることは確かだろうか。

 そうであるにしてもそもそも他の産業分野
で利益が出ない限りは、保険に回す資金が生
じないわけだから、保険分野が単独で際限な
く増大することはありえないだろうが、一定
の水準で保険に回す資金が生じるように、必
要経費として保険の分を上乗せするような仕
組みは構築されているだろうし、また保険金
として集められた資金も利益を出すために投
資に回されるわけで、他の株式などの有価証
券や銀行などから還流する直接の資金と同様
に、利殖目的で資金を運用する形態としては、
保険も金融資本が提供する金融商品に含まれ
るわけで、国民健康保険や国民年金などの公
的な資金までが、利殖目的の派手な資金運用
をやった挙句に多額の損失を出してしまうと、
最終的には税金や国債で穴埋めされるだろう
から、セーフティネットとしての役目を果た
せないということにはならないだろうが、危
機に備える手立てが新たな危機を呼び寄せて
いることにもなるだろうし、その辺が資金の
循環とともに危険も循環するという資本主義
経済特有の皮肉な側面を物語っているだろう
か。保険を利用する人にとってはそうかもし
れないが、人々が期待するような保険を用意
して資金を集める側からすれば、それも一つ
の事業なのだろうから、保険事業も事業であ
るからして破綻する危険がつきもので、民間
の保険会社が事業に失敗して破綻した場合に
備えて、保険業の協会などに積立金の類いは
用意されているだろうし、そうなるとそれは
保険の保険とも言える類いの資金となるだろ
うが、そうやって様々なところで様々な種類
の資金が蓄積されて、それが様々な用途で運
用される可能性があるのだから、資本主義経
済が全体として崩壊するとかしないとかを予
想するのは、何か意味のないことのように思
われるわけで、まとまった一つのシステムで
運用されているわけではないのはもちろんの
こと、部分的にも様々な経路で複数のシステ
ムが競合状態にあるのだろうし、その中のど
れか一つのシステムが故障しても、別のシス
テムがその代わりを担ってしまうだろうし、
代わりがなければ別にそのシステムが途絶え
たままでも構わないわけで、他のシステムだ
けでも充分に機能を果たせるようにできてい
て、これがなければ資本主義経済が立ち行か
なくなるようなものは何一つないのかもしれ
ず、時代の変遷の中で絶えず消滅するシステ
ムと新たに生まれるシステムが交錯している
の確かだろうが、特に両者の間で事業が引き
継がれるような関係がなくても構わないのか
もしれず、時代のニーズに応えられない事業
は勝手に消え去り、必要に応じて新たな事業
が形成されるような成り行きとなっているの
ではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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