文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.6.15 「見て見ぬふり」

2017/06/15

 平和な期間が長引けば戦争の記憶が薄れて
しまうのも当然のことだろうし、内戦やテロ
が頻発する紛争地域から遠く離れた地域で暮
らしていれば、そんなことには無関心でいら
れるのも当然だろうか。そうであるにしても
この世界で起こっていることは取り返しのつ
かないことであり、そうである限りにおいて
同じことは二度と繰り返されないのかもしれ
ないが、完全には同じことが再現されないに
しても、そこで同じようなことの再現や繰り
返しを見てとり、それを現状への批判に結び
つけようとする人たちも中にはいるのであり、
そんなふうに批判している人たちに向かって、
それが同じことの繰り返しではないことを指
摘しても、批判を妨害しているとしか思われ
ず、聞き入れられないのも当然のことかもし
れないが、実際にそのような批判の対象とな
っている人や集団は、過去の因習や迷信に囚
われて過去と過ちを繰り返しているように思
われるから、批判の対象となっているのだろ
うが、それを批判している人や集団もそれと
は別の方面で過去の因習や迷信に囚われてい
る可能性もあるわけで、実際には過去とは違
う状況がもたらされていて、それを過去の因
習や迷信に囚われた思考で認識しようとする
から、そのような固定観念が現状からずれて
いることに気づけないのかもしれず、そんな
中で双方ともに批判の対象となりつつも互い
に批判し合っている状況となっているだけに、
ただ相手を批判しているだけでは済まないよ
うな、複雑で込み入った事態に直面している
のかもしれず、それが迷信だとは思われなか
った過去の時点においてもそうだったかもし
れないのだが、現状では過去とは事情が異な
るところがあることは確かで、それに気づい
ているのだとすれば、その点を考慮しなけれ
ばならないのだろうし、そこが必ずしも過去
の再現や繰り返しとはなっていないところな
のだろうが、それ以前に彼らが囚われている
のが過去の因習や迷信だと決めつけること自
体が、それらに囚われている人や集団に対す
る批判ともなっているわけで、それも安易な
決めつけに基づいた批判でしかないのかもし
れず、その手の批判がある種の単純化を避け
られないとしても、何かそれとは違う方面か
ら語る必要が生じているのだろうか。

 それが過去の因習や迷信に囚われた認識だ
と思われるにしても、彼らにとってはそうで
はないのはもちろんのこと、大げさにいえば
今も昔もそれは、彼らが権力を行使したり行
使されることに逆らう対象となる全ての人が、
一様に信じるべき普遍的な価値だと主張した
いのかもしれず、あるいはそこから少し範囲
を狭めて、それは肯定的には日本人に備わっ
た誇るべき特質であり、否定的には唾棄すべ
き悪習であり、それが守るべき慣習だとみな
したいのなら、民族主義やナショナリズムに
結びつけられるわけで、そういう類いの主張
を批判したい人たちにとっては、批判すべき
格好の理由を形成することにもなるだろうが、
そういう批判も含めて現状からずれている感
も否めないわけで、守るべきあるいは批判す
べき価値の普遍性を強調するにしても、それ
を日本と呼ばれる地域の特質として顕揚する
にしても、それを万人に当てはめようとする
ところで躓いてしまうのではないか。結局問
題となっているのは、万人に向かって何かを
強制しなければならない事情が生じていると
いうことであり、実際にそういう事情が生じ
てしまうような状況となっていて、そんな状
況を維持するために必要な法律なり制度なり
慣習なりを、万人が従うべき規範として定め
ようとすることから、それに対する抵抗や反
発を生じさせてしまうわけだが、そこで抵抗
や反発が生じている問題を解決するために、
新たに強制を課すような成り行きとなると、
さらなる抵抗や反発に直面してしまうわけで、
なぜそのような強制を課さなければならない
のかといえば、それが現状を維持するのに必
要だからとなると、現状で生じている抵抗や
反発を和らげるためではなく、それを抑え込
むと同時に煽り立てることを目指しているわ
けで、そういう意味での扇動的な強制措置は、
抵抗や反発を招くような社会の不均衡をその
ままにして、そうやって現状を維持しつつ顕
揚することになるわけだろうが、なぜ不均衡
をそのままに保たなければならないのかとい
えば、不均衡から利益を生じさせる仕組みが
社会に生じているからであり、例えば沖縄に
米軍基地が集中していることに関しては、地
政学的な立地条件に恵まれていて、東アジア
の軍事戦略上の拠点として欠かせないものと
なっていると同時に、それに付随して戦争と
その事後処理を伴った歴史的な経緯もあって、
そういったことの全てが過去の因習や迷信に
囚われた認識だとは思われないだろうが、米
軍を沖縄に押しとどめておくことで利益が得
られているみなされる限りで、そんな現状を
維持しようとする思惑が生じていることも確
かであり、そんな当たり前のことは誰もがわ
かっているようでいて、実際に現状を打開す
る方策が求められているのに、それに関して
は誰もがつぐむしかないだろうか。 

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創刊日:2001-03-26  
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発行周期:不定期  
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