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彼の声 2017.6.10 「マイルドな保守化」

2017/06/10

 人は状況の不快さにどこまで耐えられるだ
ろうか。不快だからといって直接不快さをも
たらしている原因を取り除けるわけでもなけ
れば、ひたすら耐えるしかないのかもしれな
いが、その一方で不快さに耐えながらもそこ
から利益を求めていることも確かであり、不
快な状況にも耐えられるのは、そこから何ら
かの利益を得られているから耐えられるので
あり、そこで絶えず不快さと利益とを天秤に
かけていて、例えば状況が耐えられる限度を
超えているように感じられるとすれば、もは
や耐えていても割りに合わないように感じら
れるから耐えられなくなってしまうのかもし
れず、そうなると状況によっては暴動が発生
したりするのだろうし、そこまでいかなくて
も何らかの政変が起こるのは、そこに耐えら
れる限度を超えた不快な状況がもたらされて
いるからではないのか。そんなわけで意図的
に政変を起こそうとする勢力は、不快な状況
をもたらしているのが自分たちの敵であるこ
とを強調して、民衆が何らかの手段を用いて
敵を倒すように呼びかけるわけだが、民主的
な政治体制が確立されている国であれば、選
挙に勝利して政権交代を目指すわけで、敵と
いっても命のやり取りを伴うような戦いの相
手ではなく、議会で与党と野党を構成する政
治レベルであれば、それほど深刻な状況がも
たらされているともいえないのかもしれない
が、政変に乗じて主導権を握った側が政敵を
捕らえて処刑するような状況ともなれば、も
はや平和な状況とは言い難いわけで、例えば
クーデターが起こって元大統領に死刑判決が
下されたエジプトなどは、民主的な政治体制
ではないことが一目瞭然なのだろうが、未だ
にそんな可能性があるような国々と、総選挙
をやって与党が過半数割れになっても、まず
暴動やクーデターなどは起こり得ないイギリ
スなどの民主的な国々との間には、どう考え
ても民衆に不快さをもたらす程度に著しい違
いがあるだろうし、そこで命がけでテロを起
こすような人々は、それが移民やその子供た
ちであるならば、国を捨てざる得ないほどの
母国の惨状と、移民先の国の状況との落差が
不条理に思われるだろうし、移民先の国での
移民やその子供たちへの有形無形の差別も耐
え難く感じられるだろうか。

 だからと言って誰もがテロを起こすわけで
もないし、一部の過激で狂信的な思想に取り
憑かれた人々がテロを起こすのだろうが、実
際に移民系の人々がテロを起こせば、それを
口実に移民排斥を掲げる勢力が勢いづくだろ
うし、そうやって何かしら攻撃対象を作って
対立を際立たせて、それを政治問題化して民
衆の不快感や不安感を煽り、やはりそんなこ
とに乗じて政変に結びつけたい思惑も生じる
のだろうし、直前に起こったテロが直接の原
因だとはいえないのかもしれないが、大方の
事前の予想に反してイギリスの総選挙で与党
が過半数割れとなった結果に、相次ぐテロが
何らかの影響を及ぼしたと考えても、それほ
ど間違ってはいないのではないか。そして現
状がそうだとしても歴史を遡れば、かつては
イギリスでも政敵にあらぬ嫌疑をかけて処刑
するような時代があったわけで、それは他の
民主的な政治制度が確立している国々でも言
えることで、それに関して状況が時間の経過
とともに進化してきていると思うのは勘違い
かもしれないが、現状で内戦やクーデターな
どが頻発している地域であっても、何かのき
っかけで民主的な政治制度が確立される可能
性はあるだろうし、そこでおびただしい数の
犠牲者を出すような悲惨な出来事が数多く積
み重ねられた上でないと、そうはならないの
だとすれば、そういう過程が今現に進行中だ
と言えるだろうか。そうだとしても一方的に
一つの方向に進化するのではなく、絶えず途
中で揺れ戻しがあるのだろうし、日本でもあ
からさまな暴動や内戦が起こるような時代へ
と逆戻りすることはないにしても、多少は体
制の強化とそれに逆らう勢力への締め付けが
目立つ状況にはなってきているのかもしれず、
そういう傾向がどれほど民衆に不快感をもた
らすかは、まだ何ともいえないところかもし
れないが、今後世論調査や選挙で何らかの変
化が起これば、そういうことが影響を及ぼし
ている可能性はあるだろうし、それが場合に
よったら政権交代をもたらすかもしれないが、
もしかしたらそのような進化もある一定のレ
ベル以上には進まないのかもしれず、いった
んそうなってしまえば政治的にはそこで停滞
するしかなく、そんな定常状態が総じて民主
的な政治制度が確立された諸国では起こって
いて、それがマイルドな保守化とでも言える
ような状態なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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