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彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.6.8 「秩序の安定」

2017/06/08

 いったん出来上がった世の中の秩序なり体
制は、それなりに安定しているように思われ
るほど、そうなる必然性があったように思わ
れるだろうし、いったんそうなってしまえば
容易には揺るがし難く、覆せないようにも思
われるのではないか。そうなる途上や過程に
おいては、そこに介入してくる様々な偶然の
成り行きや巡り合わせに左右されるものの、
そういう成り行きが一段落して事態が収束し
た後では、必然的にそうなったように思われ
るのだろうし、何事も起こった結果から見れ
ばそれなりの必然性が導き出され、そんな必
然性を肯定することで、結果的にそこから利
益を得て、その社会の中で有利な地位や立場
を占めた人や集団が、自らの存在を正当化す
ることになるわけだが、そうやって確立され
た社会の秩序や体制は、変えようとして変え
られるようなものではないだろうし、たとえ
そこで住民の間に経済格差や差別などの不均
衡が生じていようと、そこに優位な地位や立
場を得て主導権を握っている人や集団が存在
する以上は、そういう勢力を弱めたり排除す
ることで不均衡を是正するのは困難を極める
だろうし、それよりも放っておけば必ず特定
の人や集団の有利な地位や立場を固定化させ
る方向で事態が進んでいくのではないか。だ
からそのような社会の不均衡の固定化を阻む
ような試みというのが、果たして人為的に可
能なのかどうかが、一応は政治に問われてい
る課題なのだろうが、もちろん社会で主導権
を握っている勢力が政治的にも主導権を握っ
ているわけだから、自分たちを有利に導いて
いる現状を変えようとは思わないだろうし、
有利な地位や立場を自ら手放したりする愚な
ど犯すはずもなく、そんな課題など理想主義
者が抱く空想や妄想の類いだと言われてしま
えばその通りであり、その代わりに政治的な
課題は自分たちにとって有利な現状をいかに
維持するかということになれば、現状で不利
な状況になっている人や集団にとっては、そ
れは受け入れがたいことにもなるだろうが、
あからさまにそう言ってしまうと差し支えが
あるだろうから、何かそこに不利な現状を受
け入れさせるごまかしや方便が必要となって
くるのであり、それがかつては国家主義的な
理念としてあったわけだが、その国家の臣民
として課せられた各自の立場に応じて割り振
られた役割を全うすることが、各自を幸福に
導くというのが、果たして今の時代に通用す
るのか否かも、現状では何とも言えないとこ
ろだろうか。

 たとえ現状で不利な立場にあろうと、それ
なりに生きて行ければ、生きていくうちに次
第にそんな現状を受け入れるしかなくなるだ
ろうし、また不利な立場にある人や集団もそ
れなりに活かさないと、有利な立場にある人
や集団も生きてはいけないわけで、結果的に
大多数の不利な立場にある人や集団がほんの
一握りの有利な立場にある人や集団を支える
ことで、社会が成り立つ状況が固定化される
傾向にあるわけで、その内容に違いがあるに
しても、それは昔から変わらぬ傾向なのかも
しれず、相対的には昔も今も世の中は一握り
の特権的な人や集団に支配されているとも言
えるわけだが、その支配の形態が昔ほどには
あからさまではなくなってきたとも感じられ
るとしたら、それが民主主義的な政治体制の
効果なのだろうし、できるだけ公正公平な選
挙によって代表者を選ぶような政治システム
が、あたかも特権階級の支配から脱却したか
のような幻想を生むのだろうが、ある程度は
それなりに成功している面もあるのだから、
たぶん誰にとってもそれを維持する方向での
努力が欠かせないのだろうし、そのような傾
向を歪めようとする行為には反対していかな
ければならない状況にもなっているのではな
いか。その一方で現状で主導権を握っている
勢力は、当然主導権を手放したくはないわけ
で、できれば自分たちの立場や地位を固定化
して、完全なる支配体制を確立したいわけだ
から、それが嫌なら絶えず反体制的な勢力を
応援せざるを得なくなるわけで、そこにもそ
れなりに必然的な傾向が見られるわけで、し
かもそういう傾向でさえも放っておけば固定
化してしまいかねない状況もあるわけで、体
制派は体制派の立場を安定化させたいし、反
体制派の方でも絶えず反対する立場の中で自
足したいし、たとえ現状で不利な立場を割り
振られていても、その立場の中でそれなりに
自足できれば、そのような立場の固定化に抗
えなくなってしまうわけで、そこから抜け出
ようとしなければ、それなりに存在し続けら
れるわけだから、そのような固定化であって
も社会の中で一定の支持を得ながら受け入れ
られる傾向にあるのではないか。そうやって
世の中は絶えず安定しようとする傾向にある
のかもしれず、そしてそれも人や集団が行使
する権力の不均衡の固定化につながるわけで、
要するに世の中が安定しているということは、
そこに生じている力の不均衡が固定化してい
るということであり、別に誰もが公平で平等
であるような理想的な社会が実現しているわ
けでもないわけだ。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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