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彼の声

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彼の声 2017.6.7 「戦争への杞憂」

2017/06/07

 ちょっとした差異や歴史的な経緯があると
ころに宗派間対立が生まれるのかもしれない
が、キリスト教徒の中でカトリックとプロテ
スタントとの対立が目立たなくなったのは、
いつの頃からだろうか。それ以前にローマ帝
国の東西分裂以降は東方教会と西方教会との
対立があったわけだし、さらにキリスト教の
母体となったユダヤ教に対する差別も断続的
にあったわけだ。そして現在はイスラム教の
中でのスンナ派とシーア派との対立が、内戦
を誘発するほどに激化しているわけだが、そ
れはそれぞれの宗派の中で主導権を握ってい
る民族であるアラブ人とペルシア人との対立
であり、国でいえばサウジアラビアとイラン
との対立となっているわけだが、アメリカが
敵視しているイランは、一応は圧政を敷いて
いた王朝を倒して曲がりなりにも民主的な国
家を樹立したわけだから、欧米諸国に近い歴
史的な経緯があるわけだが、その倒した王朝
というのがアメリカの傀儡勢力だったわけで、
しかも革命によって成立した国家体制も、欧
米と比較すれば民主的な体制とは言いがたく、
宗教色の強い独裁体制が数十年も続いたわけ
だが、ようやくここ数年で宗教の呪縛がいく
ぶん緩和されて、それに伴って欧米との対決
姿勢も軟化する傾向にあるのだろうが、しか
しそうなると困るのが、アメリカの後ろ盾を
背景にして独裁的な王朝や首長体制を築いて
いる他の湾岸諸国なのだろうし、国家を特定
の一族が支配している現状がわけだから、欧
米諸国からはかけ離れた国家体制であり、そ
こに埋蔵されている石油や天然ガスなどの資
源がなければ、民主主義の理念からすれば許
し難い状況なのだろうが、経済的な利益がそ
れを許している事情というのが、その地域の
民族や宗派間の対立も絡めて情勢を混沌とさ
せているわけで、さらにイスラエルの存在も
それに輪をかけてどうにもならない事情だろ
うし、そこからイスラム原理主義勢力による
テロも生じているのだろうから、現状で解決
などあり得ないように思われても仕方がない
のかもしれず、実際にここ数十年間は何も解
決していない状況が続いているのだろうか。

 そしてなぜか唐突に湾岸諸国の一つである
カタールが、過激派やイラン寄りの武装勢力
とつながりがあるとして、周りのサウジやバ
ーレーンやアラブ首長国連邦やエジプトなど
が国交を断行して、多額の経済的な損失が懸
念されているわけだが、直前にアメリカの大
統領がサウジを訪問していたのだから、裏で
糸を引いているのがアメリカであることは歴
然としているのだろうし、それにアラブの盟
主であるサウジが乗っかって、そこでイラン
と敵対しているアメリカとサウジアラビアの
利害が一致した格好になっているわけだが、
果たしてカタールとイランとの関係というの
が、アメリカとサウジほどに緊密な連携関係
なのかといえば、なんともいえないところだ
ろうし、例えばカタールの衛星テレビ局のア
ルジャジーラというのが、湾岸戦争以後中東
のCNNとして脚光を浴びていて、その反権
力的で改革開放的な報道姿勢が宗教的な保守
派の目の敵となっていて、今回の国交を断行
した国々で真っ先に放送が遮断されたそうだ
が、そのような放送局自体もイランの政治体
制と同じように、どちらかといえば欧米寄り
の姿勢なのだろうし、逆にアメリカ政府が片
方入れしている勢力の方が、欧米の価値観と
は真っ向から対立するようなことをやってい
るわけで、サウジアラビアの王族支配やエジ
プトの軍事独裁政権や、最近はトルコでもク
ルド人勢力のテロを口実として大統領による
独裁傾向が強まって、軍事クーデターも未遂
に終わったりして、不穏な空気に包まれてい
るのだろうが、それに輪をかけて今回の周辺
諸国によるカタールとの国交断行だったわけ
だから、関係者にそんな自覚がなくても、戦
争を望んでいるとしか思えないような事の成
り行きとなっているわけで、そうなってしま
う背景があるだけに、その地域のどうにもな
らない様々な事情を、戦争でも起こして一気
にリセットしてしまおうとする思惑が、誰彼
問わずにそんな機運が高まっていることだけ
は確かようで、果たしてそれが実際に周辺諸
国を含んで大規模な第三次世界大戦とまで形
容されるほどの戦争に発展するかどうかは、
その前の第二次世界大戦からはだいぶ間が空
いているので、そんなのは杞憂かもしれない
が、あるとしたら前世紀末の湾岸戦争に始ま
り、今世紀初頭の同時多発テロをきっかけに
勃発したアフガン・イラク戦役を経て、つい
にアメリカ本土までその戦禍が拡大すれば、
かつてそれを目指した旧日本軍の亡霊たちも
殊の外喜ぶだろうか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
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