文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

全て表示する >

彼の声 2017.6.1 「錯覚」

2017/06/01

 物事を対立する観点から捉えようとすると、
そこから肯定的なものと否定的なものが導き
出されるように思われるが、何かと何かを区
別するということは、そこに境界を設けるこ
とになるわけで、区別したからといって両者
の間に相違点も共通点も認められるようなら、
全く別々の物質や性質から構成されているわ
けではなく、区別できるような違いを言い表
すにしても、地続きな部分を無視するわけに
は行かず、それを肯定しながらも否定し、否
定しながらも肯定するような曖昧な部分も、
同時に見ていかないと納得しがたいのかもし
れず、実際に違いを強調しながら区別はでき
るが、それが違っていること自体に肯定も否
定もできないようなニュアンスも付け加えら
れるとすれば、そもそも何かと何かを区別す
るとはどういうことなのか、という疑問に直
面してしまうことにもなるが、ただ区別でき
ること以外に別の答えを探そうとしても無駄
だろうか。区別しなくても構わないのなら、
別にそれを混同してもいいわけで、区別する
ことにどんな意義も見出せなければ、それは
無意味な区別となるしかなさそうだが、それ
でも区別せざるを得ないとすれば、そこに差
異を設けないと説明できないようなことなの
だろうし、その差異が微細になるほどより詳
しい説明が必要になるのかもしれず、大雑把
でいい加減な説明では満足できないからそう
なってしまうとしても、果たしてそこまでや
る必要があるのかとなると、説明する側には
その必然性があるにしても、それを受け止め
る側にとってはそうでもなければ、そんな説
明には興味がないということになるだろうし、
興味がなければそこで強調されている微細な
差異など無視できてしまうわけで、無視でき
る限りで違いがなくなって、それらを区別す
る必要もなくなってしまい、その必要がない
人にとっては、そこで強調されている対立も、
それに対する肯定的あるいは否定的な評価も
意味がなくなってしまうだろうか。

 それは区別がつきにくい微細な差異だけで
なく、誰もがはっきりと認識できる違いにつ
いても言えることかもしれず、実際に激しく
対立している現実があれば、両者が区別され
て当然のことのように思われるだろうが、な
ぜどういう経緯で対立しているのかを考えて
みると、対立している両者を結びつける共通
の事情が浮かび上がってきて、場合によって
は違っているからではなく、似ているからこ
そ対立せざるを得ない経緯まで想定できるわ
けで、そういう場合は両者を区別する微細な
差異が問題となっているのではなく、両者が
同じ問題を抱えているからこそ対立していて、
しかもそれを隠蔽しながら対立している可能
性まであるわけだ。そして両者が抱え込んで
いる同じ問題とは、まさに対立そのものにあ
るわけで、対立することによってしか自らの
存在を正当化できないという事情がありそう
で、対立しなければ両者の違いを見分けられ
ず、混同され同化してしまうのだとすれば、
そこで問題となっているのは両者の違いでは
なく、両者が同じ構造から成り立っているこ
とになるのではないか。同じであるから対立
していないと区別できないということになる
と、対立していること自体には意味があるが、
両者を区別することに大した意味はなさそう
に思われるだろうが、両者がこれ見よがしに
激しい対立を演じるほどに、何かそこに決定
的な違いがあるように思われてくるわけで、
そこで起こっている対立という出来事が、そ
んな出来事に魅了されている人々の間で錯覚
を生じさせていて、よく敵対している両者が
投げ合う無理なこじつけとか屁理屈のように
しか思えない言いがかりでも、実際に激しく
対立している光景を見せられてしまうと、何
かそれがもっともらしく思われてくるだろう
し、そこで問題となっているちょっとした違
いが、誰もがそこにこだわらないと済まない
ような、善意の連帯を誘っているように感じ
られてしまうと、やはり意識がそんな空気に
呑まれてしまうわけで、そういう空気がメデ
ィアなどを通じて世の中に蔓延しているよう
な状況というのが、どうでもいいようなこと
を絶賛したり拒絶したりする煽動によって形
成されているのかもしれず、そういう意味で
も何か世の中で激しい対立があるような状況
は疑ってかからなければならないだろうか。 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。