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彼の声

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彼の声 2017.5.29 「虚構以下の現実」

2017/05/29

 何にしても単純に考えるべきではないかも
しれないが、単純に考えないと理解できない
のかもしれず、物事を単純化した上でしか理
解できなければ、そういう理解は何かしら正
確さを欠いていると言えるだろうか。一般的
に言って理解とはそういうものなのかもしれ
ず、何かを理解したと感じるのは、物事を単
純化できたということであり、そうである限
りにおいて理解そのものは本当の理解ではな
く、理解という意味を裏切っているのかもし
れないのだが、そう理解することしかできな
いとすれば、それはそれで仕方のないことな
のかもしれない。それで理解したことにして
おかないときりがないのであり、それ以上の
理解は理解とは言えず、空想にしかならない
のではないか。そうやって人は常に理解とい
う過ちとともに生きているのであり、意味の
正しさを求めながらも、正しさには至らずに
そこから逸脱してしまうのであり、そんな逸
脱に気づかないから、何事も確実に捉えきれ
ないことを理解しないのであり、事物とそれ
を言い表す表現との間に齟齬が生じているの
だが、だからと言って事物を表現することを
あきらめるわけにはいかないし、実際にあき
らめていないから、絶えず事物を的確に捉え
ようとして、捉えるための確実な方法を模索
しているわけだ。

 そんなふうに理解し難い面があるにしても、
理解できる範囲内で事物を理解しようとして
いるわけだが、そうやって何かを知ろうと試
みている間は、まだ知り得ていない限りで謙
虚になれるわけで、いったん知ってしまった
からには途端に傲慢になるわけでもないのだ
ろうが、理解できたと思えばそこに隙や油断
が生じてしまうことはありうるだろうし、わ
かったと思うことで安心してしまい、しかも
周囲の誰もが同じ理解に至って、共通の了解
事項として世間で共有されてしまうと、意識
はさらなる安心感に包まれるだろうし、中に
はそんな共通了解から利益を得ようとして、
それを目指して積極的に物事を単純化しよう
とする傾向もあるわけで、そんな試みがメデ
ィアを介して盛んに行われている現状がある
のかもしれず、さらにそれを悪用するやり方
として、悪く言えば攻撃的かつ否定的なレッ
テル貼りが横行している状況にもなっていて、
普通はそういう煽動的な悪用表現は誰にもは
っきりとわかるものなのだろうし、誰もがそ
んな浅はかな単純化に騙されているわけでは
ないだろうが、ただそういう不快感をもたら
すような表現が嘲笑的に利用されている実態
というのが、漫画などに登場する雑魚なやら
れキャラ特有の台詞と重なっているだけに、
そういう煽動的なレッテル貼りもお笑い芸人
の軽薄なしゃべくりと同じ水準で、世の中で
許容されている現状があるのかもしれず、な
ぜかそういうところでは現実と虚構の区別が
はっきりとついているにもかかわらず、あえ
てわざと混同することで下衆な楽しみが提供
されているわけだ。

 要するに何事もその場の都合に合わせて理
解しようとしているわけで、都合のいいよう
に理解することが、都合の悪い面を隠そうと
することと同時進行しているのだろうし、そ
ういう一面的で軽薄な理解をメディアを通じ
て拡散させることで、世の中の主流派がやっ
ていることの無理で不都合な面に興味が向か
ないようにしているのかもしれないのだが、
それが政治的な主導権を握っている勢力にと
って好都合なのだとすれば、政治とはその程
度のことであり、すでにその時点で誰もが真
摯に受け止めるようなことではなくなってい
るわけだが、それと地続きで世界各地でテロ
によって大勢の人が死傷しようと、北朝鮮の
最高指導者の兄が毒殺されようと、それが直
接日常生活に影響を及ぼさない限りにおいて、
それらは虚構以下の現実でしかないわけで、
たぶんその中に政治的な情勢や動向も含まれ
ているだろうし、実際に今のところはそれ以
上ではあり得ないわけだから、当事者として
それらの出来事に直接関わらない限りは、そ
れに対する真摯な理解とも認識とも無縁でい
られるのであり、そうやって理解の軽薄な単
純化や煽動的なレッテル貼りを楽しんでいる
間は、それを超えるリアリティは望めないだ
ろうし、望めるような環境で暮らしているわ
けではなく、それなしで済んでしまうような
状況の中で生きているわけで、それが平和の
ありがたさでもあり、平和だと思っていられ
るような現状認識なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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