文学

彼の声

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彼の声 2017.5.24 「雑音の効用」

2017/05/24

 世の出来事の全てに理屈を当てはめられる
わけでもないが、それを語るとなるとそれな
りに理屈が必要となるだろうか。というか理
屈なしに語ることができるだろうか。たぶん
できるだろうし、ただそれが起こったと語れ
ばいいわけだが、別に起こっていないことも
想像で語れるだろうし、それを想像するとい
う出来事がそこで起こっているわけだから、
何も起こっていないわけではないのだろうが、
想像した理由を考えて、そんな理由が生じる
理屈を語る必要がなければ、想像しているこ
とだけを語ればいいのではないか。そうであ
るにしてもなぜ理屈を求めたがるのか。物事
をより深くよりはっきりとした輪郭を伴って
捉えたいから、それには誰もが納得するよう
な理屈が必要となるだろうか。結局はそれに
ついて考えている自分が納得したいだけかも
しれないが、それで物事をより深く詳しく知
るに至るのかといえば、どうもそうはならな
いらしく、ただそれに関する言葉を余計に付
け加えたに過ぎず、過剰に語っても根本的な
ところで認識が間違っていれば、いくら註を
付け加えて装飾過多に詳しく語ったところで、
それだけ説明が難解となって、理解しがたい
内容となるだけだろうか。たぶんそこで理屈
が破綻していて、その破綻がはっきりと示さ
れるためにも、さらなる説明が付け加えられ
る必要があるわけでもないのだろうが、語っ
ている当人がそうと自覚しているわけでもな
いにしても、結果的に破綻を覆い隠すために、
言葉がさらに付け加えられているような印象
まで持たれてしまうとすれば、後から註釈が
過剰に付け加えられた文章の中身が、註釈の
内容と比べて著しく均衡を欠いているような
場合は、何か言い訳がましく思われてしまう
わけだが、それでも理屈の破綻を覆い隠すに
は至っていないと感じられるなら、過剰な注
釈をもってしてもどうにもならないような何
らかの欠陥が、それを語っている当人の信念
としてそこに定着していると思うしかないだ
ろうか。

 しかしその信念が正しい場合は、それが欠
陥と感じられてしまう感性の方が間違ってい
ることになるだろうか。何をもって正しいと
解釈できるかが、そもそもそういう解釈に同
調できないのだろうから、根本的なところで
見解の相違があるわけで、そういう解釈から
信念が生じてしまう理由を知りたくなってし
まうのであり、人がそんな信念を抱かざるを
得ないような歴史的な経緯が生じているのか
もしれないし、そんな成り行きによって信念
を抱いてしまう人たちを狂わせているのかも
しれないが、そういう人達が社会の主導権を
握っている限りで、それを支持している人達
には別に狂っているようには思われないのだ
ろうし、そこから思考的に隔たっている人た
ちにはそう思われるだけで、しかもそういう
人たちが社会の中で少数派であるとすると、
多数派にとってはそんな人達の方が狂ってい
るように思われるだろうか。もちろん狂って
いるという表現は誇張であって、双方の間に
大した差異など感じられなければ、別に何と
も思われないのだろうし、それに多数派が主
導権を握っているといっても、実態としては
世論の支持を背景としてごく少数の人達が主
導権を握っているのであり、そのような世論
の支持がある限りで、理屈の破綻も過剰な注
釈によって覆い隠されていることにもなるだ
ろうし、大多数の人達にとってはその過剰な
注釈こそが真実をかき消す雑音となっていて、
雑音によって人々を煙に巻いていることにな
るだろうが、必ずしもそう自覚しているわけ
ではないにしても、ひたすら人々が真実に至
らないように雑音を発生させている実態もあ
るのかもしれないし、そんな日々メディアを
通じて拡散されている雑音が何をもたらすか
は、今のところは誰にもわからないし、案外
主導権を握っていると思っている人達の思惑
通りに事が進んでいるわけでもないのかもし
れないし、もしかしたらそれらの雑音には遮
蔽幕とは違う効用が秘められていて、ある日
ある時、思いがけない形でそれが明らかとな
って、驚くような結果がもたらされれば、何
か愉快にも思われるのだろうが、今の時点で
そんなことを期待するのは時期尚早だろうか。
 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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