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彼の声

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彼の声 2017.5.20 「信仰と信用」

2017/05/20

 別に何も信じられないわけではなく、かと
言ってとりたてて何を信じているわけでもな
いが、普段から信じることを心がけているわ
けでもないだろうし、意外と自らが信じてい
ることを意識していないにもかかわらず、何
かを信じているのかもしれず、それを当たり
前のことのように思っていれば自覚していな
いわけで、信じていることに気づいていない
わけだ。それと気づかずに信じていることの
中に迷信も含まれるだろうか。しかし信じて
いることにいちいち合理的な根拠を求めてい
るわけではなく、軽い気持ちで信じているこ
となら、別に迷信であっても構わないのでは
ないか。たぶん何かを信じていることが深刻
な事態をもたらしているとは思えないなら、
それが迷信であろうとなかろうと、信じるこ
とが心地よかったら信じているだろうし、信
じていたのに裏切られたとしても、それほど
の衝撃は受けないだろうし、多少は落胆して
も、その程度のことだと自らに言い聞かせる
のではないか。実際にその程度のことで済ん
でしまえば何も問題は起こらないわけだが、
それで済まなければ例えば怨恨の原因ともな
るだろうし、許容の限度を超えるほどに憎悪
をもたらすとすれば、たぶんそれは狂信の類
いだったのであり、信じた方が愚かだったと
言えるだろうか。それを信じたばかりに深刻
な事態をもたらすようなことは、信じた側に
も落ち度があるのかもしれないが、だからと
言って何事も信じるべからずを心がけるより
も、過度に信じないことを心がけるに越した
ことはなく、信じている間は心地よかったら、
それをそれでありがたく思っていればよく、
たとえ裏切られたとしても恨まないように心
がけていれば、それへの信仰は浅い段階にと
どまれるだろうし、何かを過信したり狂信す
ること自体が迷信の類いなのだろうし、信じ
るに足る合理的な根拠を求めること自体が、
過度な信仰を求めていることにもなるわけで、
そういう意味でそれが迷信であるかないかと
いうよりは、合理的な根拠があろうとなかろ
うと、そういう水準で何かを過度に信じるこ
とは、それなりの危険を伴うのかもしれない。

 ではそこで懸念される危険とは具体的には
何なのか。一般的に言って信仰の蔓延は不寛
容の蔓延をもたらし、ちょっとしたことでも
深刻に考える癖がついて、それだけ何事にお
いても融通が利かなくなるだろうか。思い込
みの激しさは時として社会の中で有利に作用
することもあるだろうが、それがうまく働い
ている面では突出できるが、その反動で別の
面では極端な陥没も現れるだろうか。別にそ
うなることに合理的な根拠があるわけではな
いが、そんな激しい浮き沈みを経験しないと
生きがいを感じられないのなら、何事にも過
度な思い込みや信仰が不可欠となるのかもし
れないが、そういう経験を何度もしていると、
だんだんそれにも慣れてくるだろうし、何を
強く信じても期待したほどのご利益があるわ
けではないことがわかってくるだろうし、信
じたばかりに極端な事態がもたらされたとし
ても、そこには偶然の巡り合わせが関与して
いて、どこかに恒常的に高配当がもたらされ
るような仕組みがあるとすれば、それにあり
つくにはそれなりのコネが必要とされていた
り、誰もがそれにありつけるわけではないの
はもちろんのこと、それなりの実績や資格を
有する者でないと相手にされない場合がほと
んどなのではないか。結局はそんな特別な仕
組みがなくてもそれなりに生きていける世の
中であれば、何を狂信する必要もないのであ
り、そこでどのような狂信が流行っていよう
と、それにはついてゆけない人が大勢出てく
るだろうし、何かを過度に信じなければなら
ない事情がそこに生じているとすれば、それ
だけ世の中が悲惨な状況にあると言えるのか
もしれず、信じることが大切で信じる者だけ
が勝つということになれば、信じなければ勝
てないとなるわけで、そこに信じることを強
制するような権力が働いていることにもなる
だろうし、そんな強制にはそれに対する抵抗
や反感がつきものだろうし、信仰を強制しな
ければ信じてもらえないようなものなら、そ
の時点で信用されていないことにもなり、何
にせよ法律を制定して何かを強制しなければ
ならない事情があるとすると、強制する側と
される側との間で不信感が生じていることに
もなるのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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