文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.5.11 「例外的な思考」

2017/05/12

 この世界に救いがあるとは思えないとした
ら、それは争いが絶えないからだろうか。そ
れでも争うのが人や集団の本能だと思えば、
いくらかは救われるだろうか。だから諦める
しかないということではないだろうが、そこ
から何を救おうとも思わなければ、ただ争う
ような成り行きに巻き込まれる可能性があり、
実際に巻き込まれていると思えばいいことか。
救われるということが責任逃れになるだろう
か。すべてがそうだとは思えないだろうが、
それが可能なら誰にも責任がなく、罪は赦さ
れ、いかなる行為も罰せられることはない、
という事態を想像できるだろうか。現実には
そんなことはありえないから、いったん社会
の中でそんな行為が明らかとなれば、やった
ことに対して何らかの責任を問われ、場合に
よっては罪を認定されて、その重みに応じて
罰せられるのではないか。そうしないと被害
に遭った人たちが救われないだろうか。それ
で救われた思うなら、その人はそんな行為を
処罰する制度を信じていることになるわけか。
現にそういうことが行われているのだから、
それを信じないわけにはいかないだろう。疑
うべきはそんなことではないらしい。そんな
制度が通用している社会の中で生きているこ
とは間違いなさそうで、それにとりたてて不
都合を感じなければ、そんな制度に異議を唱
えることもないだろう。そんな事情の中で誰
もがそういうことを行う制度に納得している
のではないか。それがないことの方が不都合
に思われるだろうし、今すぐにそれがなくな
るとも思えないが、そんな制度があるおかげ
で、安心して世の中で暮らしていると思うの
ではないか。だがそこに救いがあるのだろう
か。たぶんそう思いたければ思っておいて差
し支えないのではないか。自分に犯罪の前科
がなければそう思うだろうが、前科があって
刑務所で服役した経験がある人でもそう思う
のかもしれない。では犯行が発覚せずに、今
のところは隠しおおせている人でもそう思う
だろうか。たぶんそう思うかもしれない。自
身が犯罪の被害者になることを想像してみれ
ば、加害者が罰せられるのが当然だと思うだ
ろうし、それはそれで当たり前のことであり、
そんな制度の中で暮らしている現実を考えれ
ば、制度自体に異議を唱えるのはおかしいと
思うのではないか。

 そんな制度の有無に関わらず、世の中から
犯罪がなくなるなんて考えられないし、犯罪
者が何らかの形で処罰されるのは当然だと思
うだろうし、そう思考している限りは犯罪者
を救おうなんて思わないだろう。別にそれで
構わないのであり、そう思っている人たちを
非難するなんて考えられないし、非難する必
要もありはしないだろうか。それもそうであ
っても構わないわけだ。ではなぜことさらに
こだわるのか。そうではないことを述べたい
のではなく、そう思うのが当然だと述べてい
るわけだが、争いが犯罪にならない場合もい
くらでもあるだろうし、合法的な範囲内での
争いなどいくらでもあり、また戦争などのよ
うに超法規的な争いも起こっているわけだか
ら、罰しようのない争いがあるのも当然のこ
とだと思うしかないだろうか。そういうこと
を考え合わせてみれば、刑罰の制度が完全に
この世界を覆っているわけではなく、行為が
罰せられるのはその中のほんの一部でしかな
く、ほとんどの行為は罰せられることもなく、
何らかの法律に触れているのだから、野放し
状態というわけではないが、法律の許容範囲
内であれば合法的な行為と認定されるだろう
し、法律の規定がなければそんな認識の外で
行われている行為だろうし、戦争犯罪などは
関係国の都合で裁かれることも裁かれないこ
ともあるわけで、その時の国家同士の力関係
から、敗戦国の責任者が罰せられたり、戦勝
国の責任者は罰せられなかったりして、敗戦
国ではそんな措置に異議を唱える人たちも少
なからずいるわけだが、それは敗戦国の法律
が適用されない超法規的措置なわけだから、
そういう場合の処罰に関しては、異議を唱え
るような人が出ても、それほど違和感を持た
れないのかもしれないが、それと国内で普通
に裁かれて罰せられる犯罪を比較してしまう
と、何やらそこに不均衡があると感じられる
わけで、例えば戦争で夥しい数の死傷者が出
たことの責任が問われることと、たかだか数
人の死傷者を出したことの責任を問われて罰
せられるのとでは、何が違うのかといえば、
その時の状況が違うわけで、戦争となると国
内法で取り扱うことの限界を超えているから、
数十万人の犠牲者を出した戦争を遂行したど
こかの国の大統領が、戦争に勝利した限りに
おいて罰せられなくても、犠牲者の家族や関
係者は納得がいかないかもしれないが、どう
することもできないわけで、そこに権力関係
の不均衡があるわけだが、果たしてそれが法
制度の欠陥だとは思わないだろうか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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