文学

彼の声

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彼の声 2017.4.20 「規格化と完璧さ」

2017/04/21

 この世界が偶然と妥協に支配されていると
思えば、何も恐れる必要はないかも知れない
が、一方で人は必然的な結果を求めているわ
けで、必然的に求める結果に至るような成り
行きを導き出そうとして、力を行使して必然
的な結果をもたらすようなシステムを作り上
げようとするわけだ。大勢の人を組織的に動
員して建物や機械設備などの構築物を造って、
また法律を定めて大勢の人を従わせようとし
て、物である構築物と言葉である法律を組み
合わせて、必然的な結果をもたらすはずの装
置としての文明を作り上げたのだろうが、今
のところまだそれは構築の途上にあり、しか
も永遠に途中の段階にとどまるしかないのか
も知れないが、文明が完璧な装置とはなって
いないから、様々な誤謬や錯誤を招いていて、
そんな未完成なシステムを通して産出される
物と言葉の偶然の組み合わせがもたらす思い
がけない結果に驚き落胆しながらも、それを
ある程度は必然的に導き出された結果に至る
過程で生み出された妥協の産物とみなして、
そんな妥協をできるだけ減じようと努力して
いる最中かも知れないし、またそんな努力が
さらなる迂回をもたらして、そんな迂回の途
中でもさらなる妥協の産物が生み出されてい
る場合もあるだろうし、そうやって遥かな回
り道を経て、何とか必然的な結果に至ろうと
しているのかも知れないが、たぶんその途中
で誰もが力尽きてしまうのだろうし、そんな
力尽きることがその人がシステムとともにも
たらした必然的な結果だとも言えなくもなく、
必然的な結果を導き出そうとする努力が、そ
の途中で力尽きるという必然的な結果をもた
らすということが、皮肉でも何でもないよう
に思われてしまうところが、その人の宿命を
暗示していると言えなくなくもないが、とも
かくその途中で生み出された妥協の産物が、
偶然の産物であるように思われてしまうとこ
ろも、それを途中の偶然の試行錯誤が導き出
した興味深い賜物と見るか、あるいは目標と
する完璧な仕上がりからは程遠いまがい物に
過ぎないと見るかの、それを肯定的に見るか
否定的に見るかのふた通りの見方が可能であ
るとともに、それがそれを生み出す人とシス
テムの不完全性を象徴しているかも知れない
し、今後人工知能が真の完璧な創造物を生み
出したら、人とシステムが作り出した人工知
能こそが完璧な創造物であり、完璧なシステ
ムなのかも知れず、また人工知能こそが完璧
な事物を作り出す神だと見なされるかも知れ
ないが、果たしてそれが当初から作り出そう
としていた目的の産物なのかというと、それ
も何かの途中で偶然に導かれた産物に過ぎな
いのかも知れないし、必ずしも最初からそれ
を作り出そうとしていたのではなかったのか
も知れない。

 人がその時々で何を目指して何を作り出す
にしても、結果的に導き出されるのは、その
場が課す何らかの制限から生じる何らかの妥
協と、その時々の偶然に左右されて生み出さ
れ、それ以外の場所や時期ではあり得ないよ
うな明らかな傾向を伴っているのかも知れず、
その明らかな傾向というのがある意味ではそ
の場その時の必然的な結果をもたらしている
わけで、そんな必然性が人とシステムの限界
を物語っているのだろうが、それが完璧なシ
ステムを作り上げようとしてもできない理由
ともなり、それを作り上げようとする人と集
団が構成する組織も完璧であるはずがないの
で、そもそも完璧というものがあり得ないの
かも知れないが、完璧を目指すことはできる
のだから、目指すという目的意識を持つこと
は可能であり、実際に誤謬や錯誤をシステム
の構成や運用から可能な限り取り除こうとす
るのであり、製品の品質管理や品質規格など
の厳密化を図ろうとするのだろうが、それが
全ての分野の全般にわたって施されるという
よりは、特定の分野の特定の製造過程に施さ
れるわけで、それらの試みが極めて限定的で
局所的な場所や時間区分の中で、異なる分野
の異なる領域でそれぞれ個別に行われること
になり、その結果導かれる傾向としては、特
定の分野の特定の領域においては、その分野
や領域で求められる規格には完璧に適合して
いることになるわけだが、その分野や領域を
離れて別の規格や価値観には適合するはずも
なく、そんな局所的な完璧さが全体として何
の意味を持つわけもなく、いくらそんなもの
を作り出しても、それが神の創造物とはなら
ないのはもちろんのこと、時代や地域を超え
て通用する完璧さからは程遠いものなのだろ
うが、別にそれで構わない面もあるわけで、
資本主義経済の中で商品として生産され流通
して消費される上で好都合ならいいわけだか
ら、それを超える完璧さなど求められてはお
らず、時代や地域を超えた完璧さなど不要な
価値観でしかないだろう。そういう意味では
様々な分野で応用が期待される人工知能にし
ても、その場その時に必要とされる機能に適
合したものになるだろうし、全知全能の神と
いう存在から程遠いものとなるのかもしれな
いし、またSF的に人が人工知能によって同
一基準で管理されて規格化されるにしても、
それで人が完璧な人になるわけでもないだろ
うし、ただ同質になるだけで、そこから考え
るなら完璧に規格化された製品というのも、
ただ同品質の製品というだけで、同品質であ
るという局所的な性質についてだけは完璧で
あるが、他の全ての領域にわたって完璧であ
るわけではなく、しかも同品質という製品規
格にしても、技術的な限界から生じる偶然と
妥協からもたらされた規範に頼っている面が
あるのかもしれない。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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