文学

彼の声

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彼の声 2017.4.9 「実存」

2017/04/10

そんなのは当たり前のことかも知れないが、
何かについて語ることは、
語る対象である何かを言葉で表現することになるわけだが、
その何かが何かである限りにおいて、
語っている対象と語られている対象とが
一致していることを前提として、
その何かが言葉で表現されているように思われ、
それが疑いようのない事実だとするなら、
もしそれが一致していなければ
対象が実在しているとは思えないだろうし、
語っている対象が何であれ、
それが語られている対象ではなければ、
では何を語っているのかということになってしまうが、
たぶんそれはそのものでは実在しない
記号の類いについて語っているのかも知れず、
語っている時点ですでに対象が、
その対象に関してのイメージに置き換えられていて、
それが肯定的なイメージなら肯定的に語られて、
否定的なイメージなら否定的に語られるわけで、
そうやって語る対象が恣意的なイメージを伴って語られる場合は、
語っている対象と語られている対象とが
一致しなくなってしまうわけで、
それを一致しているように思い込める人がいるとしたら、
語られている肯定的なイメージなり否定的なイメージなりに
賛同していることになり、
すでにその時点で語られているイメージの虜となっているわけだ。
そしてそんなイメージを伴った記号が
メディアを通じて世の中に定着すれば、
そういったイメージが語っている対象を覆い尽くしてしまい、
世の人たちはもはやそんなイメージを当然のものとして受け入れ、
語っている対象が
世の中に定着したイメージ以外の何であるかは問われなくなり、
そんな固定観念がその事物に関して考える上での前提条件となって、
固定観念が定める傾向や方向以外では、
対象となる物事について考えられなくなり、
何かそれとは別の傾向や方向から
その事物について語る人が現れても、
それを受け入れるどころか
非難したり排除するようになってしまうのではないか。

そういう意味で何かを一方的に肯定したり否定したりする言説には、
すでに語られているイメージが先行しているわけで、
しかも語っている対象として事物があるとすると、
たとえいくら語り方を工夫して
その事物に対してどのようなイメージを貼り付けようと、
イメージより先に事物があるということはわかりきったことで、
客観的に捉えるなら事物があることが現実で、
それに対してイメージは心に浮かぶ虚像に過ぎないわけで、
そのどちらが信用できるかと言えば、
当然のことながら実際に存在している事物の実存の方が
信用できそうに思われるわけだが、
人の心にはイメージの方が受け入れやすいだろうし、
子供の頃からイメージを用いて説明するやり方に慣らされているので、
事物の実存そのものを直視できずに、
ついついメディアを介して世の中に流布される、
口当たりよく心地よいイメージの方を信用してしまうのだろうし、
そもそも言葉で表現される以前の事物が
何なのかを理解するのは難しいのかも知れず、
それは理解するような物事ではなく、
ただ他の事物と関係しながらそこにあり、
誰かがそれについて言及するのだから、
その誰かとも言及することを通して関係していて、
しかもその事物に関する言語表現に関心を持つ人たちとも、
その言語表現を通して関係し合って、
それらの人々の心にその事物のイメージを植えつけるわけだから、
それが肯定的なイメージであろうと否定的なイメージであろうと、
事物とそれを言い表す誰かとの関係を、
そこから導き出されるイメージが物語っているわけで、
そこからイメージを受け取った人々が考えられることは、
語っている対象に肯定的なイメージや否定的なイメージを
貼り付けようとする語り手の意図であり、
なぜそうしなければならないのかを想像してみれば、
語っている対象と語っている人物との
位置関係がおのずから明らかとなるわけで、
またそのようなイメージを受け入れるか否かを
自分自身に当てはめてみれば、
語り手と自分との位置関係も把握できるだろうし、
さらにそこから語りの対象となっている事物を、
肯定や否定を伴うイメージを抜きにして捉えようとすれば、
その事物の実存を理解できそうにも思われるのだが、
普通はそんなところまで考えようとはしないだろうし、
なかなかそんなことを考える必然性が生じないのではないか。
 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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