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彼の声

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彼の声 2017.2.20 「フィクションの価値」

2017/02/21

この世界で誰が何を求めていようと、
架空の人格にとっては知ったことではないかも知れないが、
その人格を構成する製作者にとっては、
とりあえず話の中で誰かが何かを求めていないと、
フィクションを構成できないだろうか。
そのフィクションが誰かが何かを求める話ならそうなるだろうが、
誰がフィクションに登場しようと、
その誰かがフィクションの中で求めているものを、
現実の世界で求めようとは思わないのではないか。
話の内容や状況よっては、
フィクションの中でも現実の世界でも
同じものを求めていることもありそうだが、
フィクションに登場する人物が何を求めようと、
それはフィクションの中で求めているものでしかなく、
フィクションの人物が体験している世界は
フィクションの中にしかないだろうし、
客観的に考えるなら、
フィクションの世界と現実の世界は区別した方が良さそうだが、
例えば現実の世界に存在する俳優が
フィクションの人物を演じる制作現場では、
現実の世界でフィクションが演じられているわけだから、
そこがフィクションの世界であると同時に
現実の世界でもあるだろう。
そうなると両方の世界で求めているものが
同じになる場合もありそうで、
求めているものを獲得できるような話の筋書きなら、
とりあえずフィクションの世界でも現実の世界でも、
同じものを獲得したことにはなるのだろうが、
あくまでもフィクションは演じられているにすぎないから、
現実の世界から見れば、
それを獲得したように演じているだけとなってしまうだろうか。
少なくともフィクションの中では
獲得したことになっているのだから、
現実の世界から見ても、
フィクションの次元では登場人物が求めていたものを
獲得したことにはなるだろうし、
別にそれは不思議なことではないだろう。

不思議なのは現実の世界で生きている人物が、
フィクションの中に求めているものがある場合だ。
まずフィクションの製作者は多かれ少なかれそうだろうし、
フィクションに惹かれる人たちも大体は同じようなもので、
フィクションそのものを求めていて、
その中にも求めているものがあり、
それを簡単に幻想と言ってしまえば、
何のありがたみも幻想もなくなってしまうかも知れないが、
ともかくそこに求めているものがあるからこそ、
フィクションに惹かれているのだろうし、
他の何かの代替物というよりは、
他の何よりもフィクションを求めているのかも知れないが、
そんな彼らは現実の世界では何を求めているのだろか。
要するに現実の世界でフィクションを求めているわけか。
それ以外にも色々と求めているものはありそうだが、
その中の一つとしてフィクションを求めているのだろうが、
もしかしたら彼らは現実の世界も
フィクションの世界のようになってほしいと思っていないだろうか。
そして最も求めているのがそれだとしたら、
何かそれは普通にとんでもないことかも知れないが、
誰もが普通に思うことでもあるのかも知れず、
フィクションの中に現実の世界の理想像を求めているような場合は、
そんな思いが過剰に投影されているのではないか。
それはおかしなことだろうか。
別におかしくはないだろうが、
普通に考えるなら、
現実の世界に現実の世界の理想像を求めるべきかも知れず、
フィクションを経由せずに、
直接現実の世界に求めるような成り行きにならないとすれば、
様々な事情から現実の世界では求められないから、
その代替物としてフィクションの世界に
求めていることになるのだろうが、
それとフィクションそのものを求めるのは違うことなのだろうか。
たぶんそれは違っていて、
フィクションの世界に求めているものと、
現実の世界に求めているものを区別していて、
フィクションの世界には
フィクション特有の価値に基づくものを求めていて、
現実の世界では現実に求められるものを求めていて、
そうやってフィクションを現実離れした虚構として
割り切って捉えておけば、
フィクションが現実の世界に及ぼす作用も、
限定的なものとなるのかも知れないが、
たぶんフィクションの製作者はそう受け取られては困るのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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