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彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2017.1.13 「善意の連帯」

2017/01/14

そこに何かが隠されていれば、
それを探し出したいという衝動が生まれても
何ら不思議なことでもないが、
実際に探してみてそこには何もないことがわかれば、
そんな宝探しの興味も失せるだろうが、
それ以前にそこに何かが隠されているらしいという噂が立つこと自体が、
そんなふうに人の欲望を煽り立てる罠が、
世界の至る所に仕掛けられているとは思えないにしても、
隠された何かを探し出すことを目的としたゲームなら、
フィクションの中ではありふれているし、
架空の登場人物でなくとも、
誰もが気楽に入り込める娯楽として
メディア的に提供されているだろうか。
だが求めているのはそういった類いではなく、
何かが人為的に仕掛けられているわけでもなければ、
メディアが提供しているものでもないとすると、
では何を求めているのかとなるわけだが、
それがわからなければ、
何を求めているわけでもないことになるのかも知れず、
たぶんその辺で無自覚に事態を込み入らせて、
求めているものを知りたくないのに、
何かを求めているように装いたいのかも知れず、
それが何だかわからないままゲームに参加しているわけでもなければ、
参加してもいないのにゲームを解説しようともしていて、
さらに解説しているつもりのゲームが何だかわからない、
なんてことはあり得ないのだが、
要するにそこには何もないことを薄々感づいていながら、
それでも何だかわからないものを求めていることにしておきたいのが、
そこでの暗黙のルールかも知れず、
そんなルールも現実にはあり得ないのだが、
フィクションの中では主人公が
自らの幸運に頼りきって暴走を繰り返す話まであるわけで、
そういう話を慣習として受け入れながらも、
現実の世界では自らの了見の狭さに安住している人も
大勢いるわけだから、
その辺の虚構と現実の使い分けも、
何だかわからないゲームのルールとして確立されているのかも知れず、
今さら隠された何かを探すふりなど恥ずかしくてできないにしても、
フィクションの中でやられている分には受け入れざるをえないわけで、
もはやそれらが人の欲望を煽り立てる罠でさえなく、
それが機能として成り立たないような機能というのなら、
要するに機能していないことになるのだろうが、
それでも機能しているように見せかけなければならないのだろうし、
その辺の苦しさは痛いほどわかっているつもりで、
誰もが何かを演じているのだろうか。

現状でわかっているのがその程度だとは思えないのだが、
しかも痛いほどわかっているつもりになること自体が、
無自覚な演技でしかないのかも知れず、
何かを自覚しているふりをしているうちに、
それが演技であることを
自覚できなくなってしまったわけでもないのだろうが、
少なくともここにはない何かが
あちらにはあることになってしまうと、
それは単なるご都合主義でしかないわけで、
それを探し求めているような演技が
素晴らしいことにはならないのではないか。
もちろん現実の世界では何も隠されていないわけではなく、
何かしら隠されていると、
それを探し出そうとする衝動に駆られることもあるわけで、
そういう欲望にリアリティを感じている人もいるから、
まだ宝探し的な行為も捨てたものでもなさそうなのだろうが、
そうだとしてもそこには何もないという実感が
嘘偽りでないことは確かで、
売り買いする商品もそれに必要な金銭も
いくらでもありそうに思われる反面、
それらが求めているもので、
実際に日々手に入っているものだとしても、
さらに他に求めているものがあるとすれば、
それはそこにはないと思われてしまうのだろうか。
それは単なる無い物ねだりなどではなく、
実際にそこにあるものが目に入ってこないのでもなく、
ただ何かを求めているように思い込みたいのかも知れないし、
手に入れられるもの以上のものを
際限なく求めているのかも知れないが、
それを強欲だと否定するような方向ではなく、
無方向で無根拠な印象として
辺り一面に漂っているような空気であり、
たぶん強烈な欲望ではなく、
それを強制されているとも思えないにしても、
善意で演じてしまうような成り行きの中で、
それを拒否する理由も見当たらずに、
大した抵抗感もなく
そこへと引き込まれてしまうような感覚なのかも知れず、
例えばそれは大ヒットした映画を観て、
思わず泣けてしまったと素直な感動を
ブログやソーシャルメディアに書き込む人たちなどに共通する、
善意の連帯とでも呼べそうな一体感なのかも知れないのだが、
一方でそれを否定したり
それに抵抗したりする理由など何もないのに、
そこから距離を置いたり
それに触れるのを避けようとする動作も誘発してしまう現象であり、
たぶんそうしたい人たちは何かをわかっているのだろうが、
あえてそれを語るのを躊躇しているのかも知れず、
別にそれは隠されていることでもなく、
探し出そうとしなくてもそこにあるものなのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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