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彼の声

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彼の声 2017.1.9 「相互依存状態」

2017/01/10

例えば窮地に陥ってその窮地を脱すると、
それがフィクションならありがちに思えるが、
窮地から脱することができずに死んでしまえば、
それが現実の世界ならありがちなことだろうか。
さらに窮地に陥った人を安全地帯から眺めているのは、
それがメディア的な経験ならありがちなことかも知れず、
それぞれに事の深刻度が異なるのだろうが、
中でもメディアを通しての間接的な経験というのが、
手軽に興味を惹かれたり感情移入できる分、
生身の心身を通して実体験するのに比べて、
何かが抜け落ちているような気もするのと同時に、
またその間接的な経験には
実体験とは異なる特有の何かが付加されているようにも思えるし、
そういう面で直接的な実体験と間接的なメディア体験を
分けて考えてみる必要も出てきそうだが、
メディアにも様々な種類があり、
文字から映像までと、
媒体となる物質も
紙や液晶画面や映画館のスクリーンなどのように異なるし、
それぞれの種類に応じて特有の体験となりそうで、
そのような差異も加味して考えようとすると、
きりがなくなってしまいそうだが、
それに加えて肝心なのは体験する内容であり、
たとえ間接的なメディア体験であっても、
中には深刻に受け止めざるをえない内容もある一方で、
どうということはない直接的な実体験であれば、
興味を失ってすぐに忘れてしまうだろうし、
さらに体験する側の境遇や立場によっても、
それを受け止めるに際しての切実度も違ってきそうで、
そういう水準では何が良くて何が悪いかなんて
簡単には言えそうもないが、
それらも様々な経験の一部となって人の思考や行動に活かされ、
それらが渾然一体となって
世の中の風潮などに何かしら作用を及ぼしていることは確かだろうし、
そういう現象に興味を抱けば、
それについて何か語りたくなってくるのだろう。
そしてそれがメディアを通して人々に伝えられ、
それを受け取った人々の新たなメディア体験ともなるわけだが、
人類の歴史の中でそう遠くない過去において、
意識の中で実体験よりもメディア体験の方が
勝ってしまった時期があるのかも知れず、
何かそこでそれまでの均衡が崩れて、
それ以降はどちらかと言えば
メディア体験の方が重視される傾向となっていて、
メディア体験に基づいて
人の思考や行動が成り立っているのかも知れない。

大衆市民社会と呼ばれる現象は
明らかにメディアによって作られたものだろうし、
人々の関心を惹きつけるものがメディアによってもたらされているから、
その思考や行動の対象もメディア中心にならざるを得ず、
現状ではそれの良し悪しを言っている段階ではなく、
メディアなしでは生活が成り立たない段階まで
きてしまったと思われても当然だろうし、
どこかの大自然のただ中で
自給自足の遊牧生活でもしていない限りは、
何かしらメディアとつながっていないと気が気でなく、
メディアを通して世の中の関心に引きつけられてしまうわけだが、
一方でたぶんメディアを通して人類の一体感も形成され、
さらにそれ以前にメディアを通して
人種や民族や宗教や国家や職種や氏族や性差を介した
分裂感も形成されているわけで、
それらの嗜好や都合などからなる離合集散の強弱も
メディアが演出しているようにも思われるし、
それらの一体感から分裂感までの間で
人や集団の意識を循環させながら、
そこから生じる様々な価値観に応じて
様々な情報を提供しようとしているのが、
メディアの動作だとも言えそうで、
その辺が一筋縄ではいかないのとともに、
どのような立場に留まるわけにもいかず、
もちろん固定した立場に基づいた
固定した主義主張を喧伝しているメディアもあるにはあるのだが、
どうもそれは見せかけであり、
その時期や場所でたまたまそこに焦点が当たっているのであって、
長い目で見ればそんなメディアにも離合集散や栄枯盛衰があり、
人々の関心の変化とともに流動的に変わっていくとともに、
各種メディアの離合集散や栄枯盛衰とともにも、
人々の関心は移り変わっていくのではないか。
だから何かと犯人探しのように一方的にメディアを悪者扱いしても、
それはメディアを犯人に仕立て上げたい人の都合に合わせた
偏見に基づいていて、
今や情報を介して人とメディアとが相互依存状態にあるわけだから、
現状の変化し続けるネット社会の中で、
人は自然にネット的な情報の拡散と分散に身をゆだねながらも、
そのような状態に対応した思考や行動のあり方を
模索し続けているのだろうし、
少なくともそれが固定的で安定したあり方である必要はなく、
状況の変化に応じ続ける流動的な姿勢であれば充分なのではないか。 

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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