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彼の声 2017.1.5 「願望の実現」

発行日:1/6

たぶん必要がないのに語っているわけではなく、
必要が生じるとは無関係にそう思われるなら、
そこに語る対象がないようにも思えるのだが、
少なくとも人は生きている必要がなくても生きているわけで、
生きていれば無理に死ぬ必要もなく、
無理に死のうとする人たちは、
死ぬ必要があるから死のうとするのかも知れないが、
死ぬ必要のあるなしに関わらず、
生きる必要もあったりなかったりするとも思えず、
死に瀕しているときに生きようと思うのは、
そこで生きられる可能性を探っていて、
少なくとも死にそうに思われるから、
その死にそうな状況に逆らおうとしているのだろうし、
別にすぐに死にそうだとは思えなければ、
死に瀕していること自体が嘘っぽく感じられるかも知れないが、
中にはそんな思いとは無関係に、
唐突に死が訪れることもあるわけで、
その場合は死も生も、
死のうと思ったり生きようと思ったりすることとは無関係であり、
そこで何を思っていてもそれとは無関係に死ぬわけで、
必要もないのに死のうと思ったり
生きようと思ったりしているだけかも知れない。
要するに思っているだけではどうとでも思えるわけでもないのだが、
ただ思うだけではなくそこに必要が生じるということは、
外部から何らかの働きかけがあるから、
それに対応する必要が生じて、
その外部から働きかけに対応しなければならないことなのではないか。
そういう意味で必要が生じているとは思えないにしても、
実際に語っている現状があるのなら、
その必要に気づいていないのかも知れず、
それが死ぬことや生きることとは無関係であっても、
記された文章上では
語る必要があるから語っているように装われるわけで、
死ぬために語っているとか、
生きるために語っているとか、
そんな直接的で強引なこじつけとともに語るには、
そこへ至るもっともらしい過程が語られる必要が
生じるかも知れないが、
うまく語るには
直接の必要性を感じさせないような配慮も必要かも知れず、
たぶん語る必要もないのに語っているように
装うことに成功していれば、
そうすることに必要な配慮が
行き届いていることにもなるのかも知れないし、
別にそれを目指して語る必要も感じられないのに、
実際にそんな配慮が文章上で構成されているなら、
そうせざるを得ない外部的な働きかけを感じているからなのだろうか。

生や死とは無関係に語れば、
語ることの直接的な意味から逃れられるわけでもないだろうが、
文章上に施されている配慮が
何を意味しているとも思われないようなら、
文字として記された生や死を意味する言葉から、
それに関係した事情を想像してしまうだろうし、
中にはそこで何か深刻な事態が起こっていることを察して、
感情が揺り動かされるようなこともあるのかも知れないが、
あいにく実情は深刻な事態からかけ離れていて、
文章上で語られている内容と、
必要に迫られて文章を書き記している事情が無関係だと、
やはり文章上で語られている内容は
フィクションになるかも知れないのだが、
たとえそれがフィクションであろうと、
そこで語られている内容には
外部からの働きかけに対する対応が含まれていて、
対応が必要だからこそ内容がフィクションになってしまい、
中にはフィクションにしなければ語れないような内容もあるわけで、
それをフィクションにすること自体が、
働きかけてきた外部への回答となっているのではないか。
そしてそれがうまく語るための配慮であるかも知れず、
直接生や死へと向かってしまうとうまく語れないなら、
まずは迂回しなければならず、
そこへと至る過程で、
生や死とは無関係な紆余曲折を経ないと、
現実の生にも死にも至れないばかりか、
記述内容が生や死を担えずに何か嘘っぽく感じられ、
本当の生でも死でもないように思われてくるのではないか。
実際にフィクションであればそれはそうなのだろうし、
そうであっても何の不思議もないのだが、
一方でフィクションであるだけに不思議でなければならず、
そこで表現される生や死が
嘘っぽく感じられないような配慮が求められているわけで、
それがフィクションに働きかける外部からの要請でもあるわけだが、
フィクションだから当然のごとく嘘なのに、
そこで表現される生や死が
本当であるように感じられなければならない、
という矛盾した要請が矛盾しているように思われてはならず、
要するにどこまでも無い物ねだり的な要請に
応じなければならない宿命をフィクションは抱え込んでいて、
そんな無い物ねだり的な要請に応えられるように思われるから、
人はフィクションを求め、
その求めに応じて制作されているのではないか。 

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