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彼の声

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彼の声 2015.12.14 「暗黙の了解事項」

2015/12/16

この世界で起こっている事件や出来事は事実としてあり、
その事実に対する人々の受け止め方が
様々にあることは確かなのだろうが、
場合によってはその受け止め方の
何が良くて何が悪いのかという判断もあるようで、
例えばこういう事件が起こったらこういう受け止め方をして、
事件についてこう語らなければならないという良識のようなものも、
メディアを通じて世の中に広まっているのかもしれず、
その事件についてどう語らなければいけないのかという良識から
逸脱するとまずいわけで、
著名人がそれに反するような反応を示すと、
たちまち一般の人たちや
他の著名人やメディア関係者からの抗議が殺到して、
炎上と呼ばれる現象を引き起こすのだろうが、
その前もって示されている良識というのが、
広く世間に行き渡っている暗黙の了解事項のごとき性質のもので、
それを共有している人達が
世の中の多数派を構成しているのだとすると、
世の中は民主主義という建前以前に、
その暗黙の了解事項に拘束されているわけで、
法律や憲法などを守る以前に、
その暗黙の了解事項を守るように仕向けられていて、
守らなかったり逸脱するようなことを語ったり行ったりすると、
途端に多数派から非難されるような成り行きとなるのだとすれば、
なんらかの政治的な勢力が
多数派を味方につけようとする過程において、
暗黙の了解事項を活用しない手はなく、
その中に自分達の主義主張を織り込めばいいわけで、
しかも多数派が逆らえないような行為や言動を、
そこに挟もうとするのかもしれない。
それは人々に身近な教育や娯楽やスポーツの分野で、
現にあからさまに行われていることだろうし、
具体的には国旗や国歌を象徴的な形で使わせるわけで、
国旗を掲げて国歌を歌わせ、
それとなく人々が国家に対する忠誠を誓わせる形をとるわけだが、
なんのために国旗を掲げて国歌を歌わせるのかについて、
そこに居合わせた人達があまり深く考えずに、
そういうことをやるのが習慣化してしまえば、
それが暗黙の了解事項として機能することになり、
学校の卒業式や入学式において、
意識して国旗の掲揚や国歌の斉唱に従わない教員などが、
弾圧されることについて、
世の中の多数派を構成する人々から理解を得にくいのは、
それらの教員が暗黙の了解事項を守らないことに対する
反発があるわけで、
そういうところで国旗や国歌の象徴的な使用は利いてくるわけだ。
保守的な政治勢力やそれに迎合するマスメディアなどは、
それを広く国民の間に定着させたいわけで、
何か事ある度に誘導的な発言を繰り返し、
そのような発言が当たり前であるような状況を作りたいわけで、
最近は憲法改正に向けて、
新たな暗黙の了解事項を定着させたいようで、
それは憲法9条があると有事の際に国を守れないという認識で、
それを多数派の人々の共通認識にしたいのかもしれず、
そういう方向での運動を活発化させているのだろうが、
それがどこまで国民の間に浸透するかは、
まだなんとも言えないところだろうか。

何か明確な意図や思惑のあるなしに関わらず、
メディアなどで取り上げられる世間的な話題というのは、
誰もがその話題を口にしうるような成り行きになっていて、
たぶんその時点で、
それについては誰もが知っていて、
誰もが興味を持ち注目している、
という暗黙の了解事項が働いているわけで、
昔はそれが大晦日の紅白歌合戦や朝の連続テレビ小説や
日曜日の大河ドラマなどに関する了解事項だったのだろうが、
最近はそれらのNHK的なコンテンツは
徐々にそうではなくなってきているのかもしれず、
NHKの報道番組があからさまに
政府や与党勢力の干渉を受けるようになったのは、
NHKを利用して
国民に暗黙の了解事項を広めようとしていることの表れなのだろうが、
それは昔からそうだったのであり、
NHKが公共放送とは名ばかりの国営放送局であるのは、
広く国民の間に行き渡っている共通認識で、
それこそ暗黙の了解事項だったはずなのだが、
どうも最近はそれをあからさまに
支配しようとしているように感じられてしまうのは、
NHKに限らず
テレビ自体の国民への影響力が低下していることの表れなのかもしれず、
それを政権側も認識しているから、
自分たちの言うことを聞く会長を送り込んだり、
あからさまなテコ入れを行っている最中なのではないか。
もちろんテレビ自体の影響力が低下しているのだから、
いくらNHKを意のままに支配しても、
そこから国民を誘導するのにも限界がありそうに思えるが、
やらないよりはやった方がマシだと考えているのだろうし、
その辺で政権側の焦りがあるのかもしれない。
彼らが何に焦っているのかといえば、
野党勢力の攻勢などではなく、
それはまちがいなくネットの普及にあるのだろうが、
ネット上でもSNSやユーチューブなどで、
右翼の宣伝ばかりが目立っている現状があって、
そこでも保守的な政治勢力の圧勝の感もあるわけで、
そんなに焦ることもないとも思えるが、
ネットはテレビとは違い、
官僚の放送局への天下りや記者クラブなどを使った、
上からの押さえが効かない面があるだろうし、
そういうところであからさまに制御することができず、
目下のところネットは
俗悪かつ低劣なメディアという位置付けにすべく、
ネトウヨなどを徘徊させて恫喝や罵声が行き交うようにさせて、
そうやって影響力を削ぐ方針なのかもしれないが、
結局テレビや新聞や雑誌などの商業メディアでは、
限られたごく一握りの人達しか意見を述べることができないのであり、
それに比べてネット上ではほとんどの人は誰からも注目もされず、
著名人などにはなれないが、
その代わりに好き勝手なことを
好きなだけ主張することはできるわけで、
世間的な暗黙の了解事項などを気しなくても構わず、
そういう面で従来のマスメディアがやるような
世論調査を使っての国民の意見集約が難しいのかもしれず、
そうなるとサイレントマジョリティなどの
世間的な多数派の形成も困難となり、
そこに保守勢力が昔から行ってきた政治手法の限界が
露呈しているのかもしれない。

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創刊日:2001-03-26  
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