文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2015.11.15 「事件と歴史」

2015/11/16

何がそうさせているとしても、
それはそれとして一つの行為なのだから、
そのような行為から現象のような作用が生じていることは確かだが、
その作用を被ると人はどうかしてしまうだろうか。
そのどうかしている人が何かを主張しながらさらなる行動を起こして、
世間を騒がせているとしても、
それがどうしたわけでもなさそうで、
それについて普通の人が普通のことを思い、
それをありふれた意見として主張することで、
そのような意見に同調する大勢の人たちとともに、
そこで起きた事件を無化しようとしているのも、
実際に世の中で起こっている現象であり、
無化しようとする作用も、
それに逆らって事件の事件性を忘れずに記憶に留めようとすることも、
その後の世界に何らかの影響を及ぼして、
その相反する作用のせめぎ合いが、
歴史でも形作っているのだろうか。
でもその歴史は結果でしかなく、
人は結果ではなく経過の中に生きている。
結果としての過去の歴史から学びながら、
それを経過の中で役立てようとしているのかもしれない。
少なくとも歴史を学ぼうとしている人たちは
役立てようとしているのではないか。
それが勘違いの始まりだろうか。
彼らが歴史を何に役立てようとしているのかといえば、
それは事件を無化するために役立ている可能性があり、
例えばテロを宗教と結びつけて非難してみたり、
また自らが信じる宗教と結びつけて正当化したりするわけで、
それがあたかも過去から連綿と続く、
宗教の歴史の中で起こった出来事であるかのように事件を語り、
一方は自爆テロなどを引き起こす狂信的な宗教はいらないと非難し、
もう一方は神は偉大なり!と叫んで自爆攻撃を仕掛けてくる。
どちらもが宗教を利用して現実の世界情勢から目を背けるわけで、
そこに経済的な利害関係が絡んでいることに触れたがらないわけだ。
それが神や信仰の問題ではなく、
世俗的な金銭が絡んだ問題であることに目を向けたがらないのは、
そこに欺瞞や偽善が介在していて、
損得勘定だけで動いていては正義を語れないからではないか。
金のためではなくイスラムの同胞のために戦っていると主張したいわけで、
そうでないと戦う大義がなくなってしまい、
広く支持を得られないわけで、
またそれを非難する側は、
自分たちがテロの標的になるほど繁栄しているのは、
他の貧しい国々を経済的に搾取することによって繁栄しているわけで、
そういった先進国と途上国との経済格差をもたらしているのが、
他ならぬ自分たちの経済的な利益追求活動によってであることに
気づいていながら、
それを言ってしまったら
自分たちの被害者意識が多少なりとも減じられ、
一点の曇りもない正義とはならないわけで、
だからテロは狂信的な宗教信者がやっていることにしておけば、
とりあえず自分たちの非の部分については不問でいられるわけだ。
そしてそのような対立は話し合いなどでは解決不可能だから、
一方は空爆によって武装組織を殲滅しようとしていて、
もう一方は報復テロを仕掛けてきているわけだが、
一般の人たちはそうした暴力の応酬を非難して、
話し合いによる問題の解決を訴えているのだろうか。
そうだとしてもその平和な地域に暮らす一般の人たちは、
それらの暴力の応酬を招いている
経済的な利益追求活動の恩恵を受けながら、
平和な世の中を謳歌しているわけで、
そして武装組織の方はその平和な世の中をぶち壊そうとして、
テロを仕掛けてきているわけだ。

事件の事件性とは、
そうした不条理性を物語っているわけで、
世の中の矛盾や不合理がそこに集中するから事件が起こり、
人々はそうした矛盾や不合理を認めたがらず、
歴史の助けを借りて、
自分たちの立場を正当化するように語ろうとして、
それでその場を取り繕うわけだが、
その取り繕い方が巧妙なら、
他の大勢の人たちもそれを信じてなんとか事なきをえるわけで、
これまで通りの日常に戻って、
自分の仕事に精を出して、
そうやって社会の秩序が保たれ、
一応の平静を取り戻すのだろうか。
自分たちの正義を主張することによって、
自分たちのやっていることを正当化したいのは、
自分たちの利益や利権を守るためには必要不可欠で、
そのためのプレゼンが広くメディア上で行われている現実があるわけで、
そのプレゼンが必要としているのが
歴史的な知識やそこから生じる認識だろうか。
それが利益や利権を共有する仲間や組織の団結力を高め、
その組織の強固な団結力によって武装闘争に勝ちたいのかもしれないが、
そういうのは国家間の経済競争などを信じている人たちも共有していて、
何かと国家の歴史を持ち出して、
それを自己正当化と国民的な団結の拠り所としている感も
なきにしもあらずで、
確かにそういう面ではそのような歴史観の共有に基づく団結力が、
狂信的な宗教性を帯びる源泉ともなっていて、
イスラム武装組織の自爆テロと旧日本軍の神風特攻との間の共通点が、
その狂信的な宗教性だと言えなくもなく、
それが原因で自己の命を顧みない
自爆テロや神風特攻が可能となったと説明できるかもしれないが、
それ以前に経済的に物資が不足して戦力的に劣勢を強いられたら、
あとは精神力で戦うしかないわけで、
洗脳や薬物投与などによって
そのような攻撃を可能としているのかもしれず、
それも結局は経済力がものを言うわけで、
欧米の方は金にものを言わせて高性能な武器を開発していて、
実際に戦闘員をできるだけ失わないように
無人機を使って攻撃しているわけで、
武装組織の方は今のところは
独自に武器を開発するノウハウもないだろうし、
戦力にも経済力にも圧倒的な格差があるわけだから、
それを補うためには、
狂信的な宗教性に頼るしかない面もあるわけで、
要するにその手の狂信的な宗教は原因ではなく結果であり、
戦力や経済力の圧倒的な差が原因で、
その結果として劣勢に立たされた側は、
狂信的な宗教やそこから生じた自爆テロに頼るしかないわけで、
狂信的な宗教はいらないとテロを非難する欧米の市民は、
意図しているか無意識なのかはわからないが、
そこで論理をすり替えて、
そのような事件を生む不条理性から目を背けているわけだ。
しかも自分たちの行動や活動である
経済的な利益の追求を正当化するには、
そうせざるをえない面もあるわけで、
彼らの原因と結果の取り違えを批判しても、
それはどうにもならないことなのかもしれず、
それが容易には解決できない問題であることは確かだ。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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