文学

彼の声

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彼の声 2015.10.3 「資本主義」

2015/10/04

物事を単純に考えれば単純に判断できる。
たぶんそれで構わないのだ。
政治的な判断は賛成か反対で構わないだろうし、
好きか嫌いでもいいわけだ。
後から適当な理由をつけて、
その判断を正当化しても構わない。
ただそういう主張によって他人を説得して、
その意見や判断を変えようとするのには困難が伴うだろうか。
自分だけがそう思っている分には、
いくらでも思い込んでいられるかもしれないが、
それを他人に押しつけようとしても、
意見が合わなければ拒絶されるだけで、
論争をやればお互いに譲らず、
議論が平行線に終わるしかないだろう。
結局その信奉している意見や主義主張が変わるのは、
周りの環境が変わって、
もはやそれを信じられなくなった時だけだろうか。
例えば人々が資本主義を信じられなくなるのは、
実際に資本主義では生活が立ち行かなくなるか、
それによってひどい目にあうか、
そういう実体験がなければならず、
資本主義の限界や矛盾を指摘した書物を読んだぐらいでは、
その信仰は揺るがないのかもしれず、
資本主義的な環境の中で、
働いて給料をもらって、
それで生活が成り立っている限りは、
頭ではその限界や矛盾がわかっていても、
その恩恵を受けている当の制度から抜け出すことはできないし、
無理に抜け出そうとしなくてもいいのではないか。
ではどうすればその限界や矛盾を克服できるのか。
克服はできないが、
幻想を抱くことならできるだろうか。
例えば政府が公的資金を活用して株を買い支え、
株価が下落しないように歯止めをかけているとすると、
それによって資本主義が円滑に機能しているように
幻想を抱くことならできそうだが、
実質的にはその限界や矛盾を、
ごまかしによって隠蔽していることになりそうだ。
また建設国債を発行してその資金で公共事業を行い、
民間の土木建設業者が倒産しないように仕事を発注するのも、
資本主義だけでは経済がうまくいかなくなることを
物語っているだろうか。
それも資本主義を補完するための制度と見なせばいいわけで、
政府が公的資金を注入することで、
大手銀行などの金融業者の倒産を防いだりするのもそうだし、
逆に国が債務超過となって財政破綻すれば、
金融機関が貸し付けている債務を、
圧縮したり棒引きしたりするのだろうから、
その意味で国家と民間の企業は、
持ちつ持たれつの関係で結びついているわけだ。
そういう関係を抜きにして、
ただ資本主義を人々を搾取する悪者呼ばわりしても、
そこに限界や矛盾があるにしても、
そう簡単に覆すことはできず、
何か別の新たな制度を
人為的に導入するわけにはいかないのであって、
結局はうまくいかなくなるたびに、
そこにケインズ主義などの補完的な手法を付け加えてきたのが、
歴史的な経緯なのだろうし、
現状で様々な方面で囁かれている
公的資金による株価の買い支えにしても、
その一環だと捉えるしかないようだ。

今後もどうにもならなくなるたびに、
何かごまかし的な手法を駆使して、
国家と資本の相互補完の関係を保とうするだろうが、
果たしてそれがいつまでも未来永劫続くだろうか。
それをやっていけば自ずからわかることかもしれず、
続かなくなるとすればその時が来たらわかるのではないか。
そうなるまでは人々はその限界や矛盾に苦しめられそうだが、
それがあるからこそ、
それを利用して富める者は大いに富むのかもしれないし、
政府も欺瞞的なごまかしをやらざるをえないだろう。
そしてそれを指摘して批判する者も
相変わらず後を絶たないだろうが、
批判者に何ができるかといえば、
せいぜいが批判の書物を著わすことぐらいだろうか。
中には資本主義に代わる制度を
実践しようとしている人もいるかもしれないが、
今のところはそれが広まったという話は聞かないし、
前世紀の社会主義的な試みも、
すでに下火となってから数十年が経過しているはずだ。
そんな現状から
これまでの歴史的な経緯や現状の延長上で考えられるのは、
欺瞞的なごまかしや補完的な手法を駆使しているうちに、
資本主義的な制度自体が変容していって、
その金儲け的な性質が根本的に様変わりしてしまう可能性だろうか。
要するに物や情報を売り買いしても儲からなくなってゆき、
物や情報を生産して販売するための必要経費を差し引くと、
利益が出なくなる状況というのが、
いずれは全世界的に到来するのではないかと言われているわけだが、
それがいつやってくるかはわからないだろうし、
いつまでもやってこないかもしれない。
例えば各国の中央銀行が絶えず余分に通貨を発行し続け、
かつ商品の価格が未来永劫値上がりし続けて、
値上がり分が通貨発行量の増加分で釣り合えば、
未来永劫物や情報の売り買いによって利益が出続けるだろうか。
そんな単純なことではないのは確かなのだろうが、
実際にインフレターゲット論などは
それに類似した手法なのだろうし、
それもごまかし的な手法なのか補完的な手法なのかわからないが、
時間的にも場所的にも
どこからでも利益を得ようとするのが資本主義であり、
それはリーマンショックをもたらした
金融工学などにも言えることで、
その方面の有能な人たちが
常に金儲けの手段を模索しているわけだから、
簡単に終焉を迎えるような性質ではないことは確かだ。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
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