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彼の声

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彼の声 2015.7.16 「問題の先送り」

2015/07/17

どうやら安保法案が衆議院を通過したようで、
参議院で審議をしなくても国会の60日ルールが適用されて、
衆議院で3分の2の賛成によって再可決されれば
法案が成立するそうだから、
長くてもあと2ヶ月以内で決着がつくだろうか。
反対派の市民たちは抗議デモや集会を開いて反対運動を続けるだろうが、
それもあと2ヶ月もすれば下火になるだろうか。
とりあえずどうなるは時が経てばわかることだ。
結果を知りたければ待てばいいだろうが、
それほど興味がなければ
待たなくても忘れてしまえばいいことでしかない。
そのうちあの時なんで大騒ぎしていたのか思い出せなくなるだろうか。
そうなってもかまわないし、
いつまでも覚えている人が多ければ、
次の選挙で政権交代が起こるだろうか。
それもその時になってみないことにはなんとも言えない。
またたとえ政権交代が起こったところで、
大して世の中が変わるとも思えず、
今まで通りの国家と資本主義の関係からもたらされる経済格差や、
国家財政の借金体質も引き継がれるだろうし、
それを抜本的に解決する方策などありはしないだろうし、
遠からず人々の期待も落胆へと変わるだろうか。
それでもかまわないのかもしれず、
今の政権を担っている勢力やその支持者たちが不快なら、
政権交代したほうがマシだろうし、
実際にメディアやネット上などで
市民運動を嘲笑したり罵倒したりする人たちは、
何か人として常軌を逸するような振る舞いに思われてならないのだが、
現政権へ容赦ない罵詈雑言が投げかけられているのは確かだとしても、
戦争への不安に駆られて集まってくる人たちを
ひどい言葉で揶揄するのはまずいのではないか。
たとえ政府に対する代わり映えのしない紋切型の批判が
気にくわないとしても、
嘲るでも罵るでもなくそっとしておいたほうが無難だろうし、
双方ともに国家主義的な主義主張に大した違いもないのに、
不必要に対立を煽って険悪な関係を慢性化させるよりは、
相手の立場を尊重してお互いの存在を認める方向で努力すべきだろう。
それが大人の関係なのではないか。
国家主義的な民主体制は左右両派が予定調和の均衡を保っていないと、
独裁体制に陥って国家の暴走を止められなくなってしまい、
両派が歩み寄って中道的な政治を行うしか
それを避ける手立てはないのではないか。
中道的な政治とは積極的に偽善を行うことであり、
資本主義市場経済を維持する限りは、
人々の間で経済格差がつくのはやむを得ないことであり、
その矛盾をごまかすために生活保護制度があるのに、
それさえも認めないとなると、
あとは暴力革命でもやるしか、
貧乏人たちの希望がなくなってしまうだろうし、
たとえギリシアのように債務超過に陥るとしても、
新自由主義的に極端な福祉の切り捨てをやってしまうと、
国民の不満が高まるばかりで、
政権運営がうまくいかなくなる。

国家は流動的に絶えず問題を未来へと先送りすることでしか
成り立たない構造なのではないか。
一つの方向で固まろうとすると、
途端に今までごまかしてきた問題が浮き彫りになってくる。
右派勢力は盛んに韓国や中国との対立を煽って、
国民の目をそちらへと逸らそうとしているのかもしれないが、
それは韓国や中国も同じかもしれず、
日本との対立を煽って
自国民の目をそちらへと向けさせたいのかもしれないが、
たとえ経済的に行き詰ったとしても、
昔のように食いっぱぐれた人々を移住させる植民地などないし、
侵略戦争なども簡単にはできないので、
要するに隣国との対立は見せかけの問題であり、
その一環として安保法案が出てきたのかもしれない。
そして戦後レジームからの脱却とか憲法改正とかも
目くらましの類いかもしれず、
国家的な行き詰まりを隠す意味合いが強いのかもしれない。
その一方で公的資金によって株価を買い支え、
派遣法の改正によって企業活動を活性化させたいわけで、
TPPにしても日本企業が外国で活動しやすくするためには
必要だと考えているのかもしれないが、
推進しているアメリカでさえも、
国内の労働者が不利益を被ると批判されているので、
実際にどうなるかはなんとも言えないところだろうか。
そしてそれらの問題をうまく解消させる手立てなどなく、
誰かが得すれば他の誰かが損する構造は昔からあるわけで、
それを解消することはできないがごまかすことができるので、
行き詰まるたびにごまかしながら今に至っているのであり、
ごまかすことで国家を維持継続してきた歴史的な経緯があるわけだ。
それはこれからも国家と資本主義市場経済が続く限り変わらず、
今も戦争法案だなんだのと騒ぎながら時間稼ぎをしているわけで、
そんなふうに騒いでいるうちに
行き詰まりがうやむやになって欲しいのかもしれないが、
果たして今回もこれまでと同様にごまかしきれるだろうか。
たぶんこの騒ぎが一段落つけばはっきりするのかもしれず、
それでもまだ行き詰まりが露わとなるようなことがあれば、
また何かしら別のごまかし作業が開始されるのだろう。
そうやって絶えず問題を先送りにしている間は、
この世界に国家が存在し続けることになり、
国家の中では左右両派が予定調和の対立を繰り広げつつも、
なんとか自分たちの存在基盤である国家を
維持させようと画策しているわけだ。
だから互いに相手を罵り嘲り合っていても、
それらの痴話喧嘩を真に受ける必要はないのであり、
それほど心配する必要もないのではないか。
とりあえず時が経てば忘れ去られるような人たちが、
メディアを使って非難の応酬合戦を繰り広げている現状を、
他人事としてまったく無視するわけにもいかないだろうし、
どちらかに加勢するふりぐらいでもしておいたほうがいいのかもしれない。

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創刊日:2001-03-26  
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