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彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2015.6.18 「国家と企業活動」

2015/06/19

よほどのことがない限りは、
状況が一方的に特定の勢力を利する成り行きにはならない。
そう思い込むことはできるし、
そう判断することもできるわけだが、
あるレベルでは確かにそうで、
実際に圧倒的な勝利を得るに至るわけだが、
その勝利と引き換えにして失うものも大きかったりして、
後からじわじわとそれが響いてくる場合もあるだろう。
結局ある政治的あるいは軍事的な勢力がたどる
栄枯盛衰の成り行きの中で、
ある特定の時点を評価すれば、
確かにその時点では圧倒的な勝利だったりするのだが、
その時の栄光の頂点が高ければ高いほど、
衰退した時の谷もそれだけ深く険しくなるのではないか。
そういう意味では必要以上に勝ち負けにこだわらずに、
勝敗のはっきりしない曖昧な時期を、
できるだけ長く保っておいたほうが無難な場合もあるだろう。
はっきりした決着をつけないほうが、
安定した状況が長続きしたりするわけだ。
それとは逆に強引に懸案事項を片付けて決着をつけてしまうと、
その後の安定が長くは続かず、
敵を一掃した安心感とは裏腹に、
思わぬところから足元をすくわれ、
自分たちの勢力の崩壊もそれだけ早まり、
すぐに激動の時代がやってきたりするわけだ。
第一次世界大戦に敗れたドイツに対して行われたように、
敗れた敵に二度と立ち直れないような負債を背負わせたりすれば、
第二次世界大戦で実際にそうなったように、
倍返しのような未曾有の被害が出たりするわけだ。
その時の教訓が生かされて、
第二次世界大戦に敗れた日本に対しては、
比較的寛容な措置が取られたわけで、
そのおかげで日本では戦後70年もの間
平和な状態を保ってこられたのではないか。
それも結果論に過ぎないわけだが、
日本のアメリカへの宣戦布告を正当化する理由として、
中国での戦線拡大に対する対抗措置として、
石油の禁輸制裁を受けて供給を断たれてしまったので、
このままでは軍艦も戦闘機も使用不能になり、
他のアジア諸国のように欧米の植民地となってしまうから、
追い込まれて止むを得ず真珠湾攻撃を行い、
アメリカとの戦争に突入してしまった、
という言い訳があるわけだが、
現実にはアメリカに負けたからといって
アメリカの植民地にはならなかったわけで、
いくら日米地位協定があって
在日米軍が今なお居座り続けているからといって、
一応は独立国として世界的に承認されているわけだから、
それを植民地状態と解釈するのは無理があるように思われる。
結局ドイツがソ連の奥深くまで侵攻して
戦線を拡大しすぎて失敗したように、
日本も中国奥深くまで侵攻したから、
アメリカの逆鱗に触れて石油の禁輸措置を取られたわけで、
結果としてアメリカにも戦争を仕掛けて、
さらに戦線を拡大させるしかなく、
ドイツと同じように自滅への道を歩むしかなかったわけだが、
ドイツが圧倒的な武力差を背景にして
ソ連へ向けて快進撃していた頃が、
やはり栄光の頂点であったのと同じように、
日本も中国で連戦連勝し、
真珠湾攻撃でアメリカ軍に大打撃を与え、
東南アジアの欧米の植民地を次々に占領した頃が
栄光の頂点だったのだろう。

また二度の世界大戦に勝利して世界の覇者となったアメリカにしても、
その後にソ連との間で、
数十年間にわたる勝ち負けのはっきりしない冷戦期間があったからこそ、
覇権国として長い間不動の地位を保っていられたわけで、
冷戦の相手だったソ連が崩壊してからは、
もはや対等に対峙する相手のいなくなったアメリカが、
超大国として無敵となったと思ったのもつかの間、
湾岸戦争からアフガン・イラク戦役を経て
リーマンショックに至る過程で衰退してきて、
その間に中国も経済的の軍事的にも台頭してきて、
ソ連の崩壊から立ち直ったロシアも侮り難く、
さらにこれからはインドが繁栄してきそうだし、
今までの富の蓄積が物を言うヨーロッパも、
EUとして一つにまとまれば一大勢力となるだろうし、
現代はまさに世界の中で
一方的な勝者となる国がいない時代に突入しているわけだ。
そしてこのような勝者のいない時代の方が長続きするのかもしれず、
長続きさせるには、
むやみに国同士の対立を煽り立てるような
好戦的な姿勢は控えた方がいいのかもしれない。
もちろん国力を高めるには、
隣国との対立を煽って好戦的な構えとなる方が、
見かけ上は国力が高まったように思えるのかもしれないが、
結局そんな危なっかしい火遊びをして、
いい気になっている時期が栄光の頂点なのであり、
偶発的な軍事衝突などをきっかけにして、
ひとたび戦争状態にでもなれば、
急坂を転げ落ちるようにして奈落の底へと一直線なわけで、
たぶんそうならないような歯止めとなる仕掛けが、
色々と方々へ張り巡らされているから、
紛争地域以外では大規模な軍事衝突がなかなか起こらないのだろうが、
その歯止めとなっているのが、
国際的な企業活動による近隣諸国との経済的な結びつきであり、
昔の列強諸国による植民地経営とはまた趣の異なった、
直接の軍事支配を伴わない経済競争であるわけだ。
中にはそれが欧米の巨大企業や金融資本による
世界支配だと見なす人たちもいるわけだが、
今や欧米だけではなく中国やインドにも
そのような巨大企業や金融資本も誕生しているわけで、
また石油収入を背景としたアラブの王国や、
ある意味では日本の大企業もそれなりの勢力を保っているわけで、
陰謀論者たちが言うような
一方的な世界支配が確立されているわけではないのではないか。
そしてもちろんそれらの企業や金融資本が属する
国家による優遇政策によって、
そのような規模へと成長してきたことは確かなのだろう。
だから国家と巨大資本は切り離すことはできないのかもしれないが、
一方でそれぞれの国には、
それらの巨大資本によって搾取されている国民がいるわけで、
搾取されていると意識することなどできない人々の方が
圧倒的多数なのかもしれないが、
国家がそれらの巨大資本を税収源として必要としている限り、
両者は政治経済的に癒着せざるを得ず、
低賃金を強いられて搾取されすぎると、
そこで暮らしている人々の生活が苦しくなって、
そのような癒着関係が槍玉に上がり、
反発が強まって政府の言うことを聞かなくなる人々が増えて、
結果的に国家の衰退を招くのではないか。
そうなってまずいから
政府が国民の労働環境の改善や福祉を重視すると、
賃金が上がって安価な製品を作れなくなった企業の
国際競争力が低下して、
それが原因で企業活動が衰退すると
税収が減ることでも国家の衰退を招くので、
どちらにしろ国家は衰退する運命なのではないか。
現実はもっと複雑でそれだけはない部分もあるかもしれないが、
要はバランスなのかもしれず、
果たして企業活動と国民の生活の均衡を保てる
最適な条件というものがあるだろうか。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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