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彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2015.5.30 「1度目の焼き直しとしての2度目」

2015/05/31

過去の事例を繰り返そうとすると、
それを再現できずに劣化するのは何故なのか。
逆に過去よりやり方が進化するような気がするのだが、
どうもそうではないらしい。
繰り返そうとしているのではなく、
新たに新しい事態に対応してやろうとしているのだが、
過去への強いこだわりが作用して、
それと気付かずに過去の轍へと導かれ、
同じことを繰り返そうとするのかもしれないが、
周りの環境や状況が過去とは違うので、
過去のような結果には至らない。
進化しているのはその手法だけではなく、
周りの環境や状況も同様に進化しているので、
それらの相互作用が過去とは違う結果をもたらすのかもしれない。
しかし人の意識は過去を引きずっているので、
あたかも過去の悪夢がまた繰り返されるように思われるのだろうか。
確かに悪夢が繰り返された例もあり、
その代表的な事例が第一次世界大戦と第二次世界大戦だろうか。
しかしそれは第一次世界大戦から
世界恐慌を経て第二次世界大戦へと至る、
連続して起こった一連の破滅的な出来事だったのではないか。
そしてその20世紀中期に起こった大規模な出来事を、
同じように繰り返すようにして起こったのが、
20世紀後半から21世紀初頭にかけて起こった一連の出来事であり、
その時はまず東欧の社会主義国の崩壊が起こり、
次いでそのあおりを受けて社会主義国の総本山だったソ連邦も崩壊し、
さらに東西冷戦時代の対立項がなくなったアメリカが、
湾岸戦争から911の同時多発テロを経て
アフガン・イラク戦争へと至り、
相次ぐ戦争とテロとの戦いによって国内経済が疲弊したところに、
リーマンショックと呼ばれる世界金融危機で
とどめを刺された形となったのだが、
結局半世紀前の破局的な惨状からは程遠く、
大したことはなく今に至っているわけだ。
同じように世界規模で起こった一連の出来事なのに、
明らかに1度目の出来事より2度目の出来事の方が軽く済んでいる。
そしてそれと同じような例として
18世紀末から19世紀初頭にかけてヨーロッパで起こった、
フランス革命からナポレオン戦争に至る一連の出来事と、
19世紀中期に起こったフランスの二月革命と、
それが伝播してヨーロッパ各地で起こった三月革命を経て、
数年後にクーデターで皇帝に即位したナポレオン3世が、
十数年後に起こした普仏戦争へと至る一連の出来事があるわけだが、
これもやはり全ヨーロッパを巻き込んだ出来事だったのに、
1度目より2度目の方が軽く済んでいる。
なぜ同じような一連の出来事が約半世紀間隔で繰り返され、
しかも1度目より2度目の方が軽く済んでしまうのだろうか。
日本でも似たような現象として、
1936年に陸軍の青年将校が
決起してクーデターを起こした二・二六事件と、
1970年に三島由紀夫が自衛隊の市ヶ谷駐屯地で
決起を呼びかけて起こした三島事件、
あるいは先日の大阪都構想に関する住民投票も、
第二次世界大戦中に東京府と東京市を廃止して
東京都に移行したことの焼き直しだったのだが、
これも2度目は1度目のようにはいかず、
大したことにはならなかったはずだ。

たぶん忘れた頃に2度目を繰り返そうとする輩が出てくるのだろうが、
1度目が前代未聞の出来事であり、
人々の意表をついていたから、
未経験だから周囲の対応が手探り状態で、
わりと出来事に積極的に関与した者の意向が通りやすく、
それだけ苛烈にやりたい放題できる部分があるのに比べて、
2度目は周囲の人々にも組織や団体にも1度目の経験が蓄積されていて、
それだけ冷静に対応できて、
それなりに有効な歯止め策も社会に備わっているので、
そんなわけでそうそう事件を起こして
世の中を引っかき回そうとする者や団体の勝手にはならず、
その辺のところで思い通りにはいかない面があるのかもしれず、
それだけ成功するためのハードルが高くなっているのだろうか。
というかまた同じことを繰り返そうとする意志が、
すでに1度目の出来事に魅入られているのであって、
やろうとしていることの時代錯誤に気づかないのかもしれず、
そもそも1度目とは環境や状況が違うのだから、
うまくいかなくて当然かもしれないことに
あまりにも無頓着なのではないか。
新たな時代が新たな環境と状況を備えているのに、
それに過去の焼き直しで対応することに無理があるのかもしれない。
だからこれから何かを仕掛けようとする者たちは、
これまでにはない全く新しいやり方を発明しなければならず、
周囲の意表をつくようなやり方で
勝負に出なければならないということか。
というかこれから世界的に大きな出来事が起こる時には、
その出来事に関与する者や団体は、
それと気付かず知らないうちに
新しいやり方で事態に対処しているのだろう。
結局これまでに編み出されてきた方法では、
それに対応した対処法が社会にすでに備わっており、
いくらその方法を熟知しやり方に秀でていようと、
それだけでは世の中を動かすこともできず変えるにも至らず、
やはり全く新しいやり方で
他の人々や団体や社会全体の意表をついて、
誰もが気づかぬうちに
もはや後戻りできないような社会の流れを作らなければ、
目指している変革がうまくいくことはないのだろう。
そして結果的には目指している状態とは
大きくかけ離れた結果に至るのが、
これまでの歴史が示しているところのようで、
そこでは変革を目指している者自身が世の中に使い捨てられ、
変革が成し遂げられた世の中では、
もはや生きられないような残酷な結果が待ち受けていたりする。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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