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彼の声 2015.5.11 「監視と制御」

2015/05/11

同じことを繰り返し述べてはならないだろうか。
そのこだわりが思考の固定化を招く。
何もかもが可動的に推移しているわけではないが、
現象としては絶えず変化していてとらえどころがない。
こだわっているのではなく、
自然とそうならざるを得ないのではないか。
社会を構成する制度と法律が形骸化し、
人が思ったようには機能しなくなると、
それに代わって幅を利かせてくるのが監視と制御だろうか。
人の言動や行動と物や情報の流通を監視し、
監視者の意に沿わぬ動作が見られたら、
すかさず介入してその動きを意に沿うように制御する。
沖縄の在日米軍の滑走路の工事現場で繰り返される、
海上保安庁の職員による反対派住民に対する暴力行為など、
そのような行為の典型だろうが、
法律に沿って制度を作り、
それに従わせようとするのとは別に、
法律や制度自体を為政者の意に沿うように運用させようとするわけで、
原発の運転を差し止めるなどの判決を出した裁判官などのように、
その法律や制度を用いて為政者にたてつく者は排除される。
そういう人は為政者の意に沿わぬ動きをしたわけで、
たとえ法律や制度に従っているとしても、
制御から外れた誤動作になるわけだ。
それは数年前の民主党政権の時も同様で、
たとえ選挙によって政権を握った政治勢力であったとしても、
官僚機構の意に沿わぬような政策を実行しようとすれば、
途端に有形無形の抵抗に遭い、
何もできぬまま政権の座を降りなければならない。
為政者自身が為政者を管理する機構に
監視され制御を受けなければならないわけで、
しかもその機構を運営する主体があるわけではなく、
機構自体がそのように動作するシステムに従って動いているに過ぎず、
特定の誰が命令を下しているわけではない。
どうしても固定観念に囚われている人たちは、
そこに何か支配者のような人物や団体を想定して、
それをやっつければ支配から解放されるかのごとき
幻想を抱いてしまうのだが、
たぶんその影の支配者や黒幕と呼ばれる人物や団体など、
はっきりとは特定できないのであり、
そこには様々な人や団体の思惑が複雑に絡み合っていて、
それを総体的に捉えようとすると、
何やら世界を支配する黒幕のごとき存在が
想定されてしまうにすぎないわけで、
その正体を突き止め謎を解き明かそうとして、
絡み合った糸をどんなにほぐしてみても何も出てこないだろう。

ではそのような中心のない分散システム上で、
人々はどのようにして体制的な権力に抵抗すればいいのだろうか。
現に抵抗している人たちのように抵抗するしかないのではないか。
結果的に監視され制御を受けるとしても、
抵抗するならそのようにしか抵抗せざるを得ない。
要するに抵抗している人たちの思惑や行動も、
陰謀論者がそれとみなす黒幕の意志や動作に含まれているのだ。
そこに介入している人や団体の一つが、
実際に抵抗している人や団体というわけだ。
抵抗している人や団体も、
権力の関係の中で力を及ぼしているわけで、
そこで実際に動作している機構の中の歯車の一つなのだろう。
しかしその機構とはなんなのか。
彼らが攻撃対象として想定している
国家や企業の官僚機構から大きくはみ出して、
抵抗している彼らをも含んだ装置とはなんなのか。
それは人類の文明そのものであり社会全体なのだろうか。
そうみなしてしまうととりとめがなくなり、
どうやればそれを改め抵抗勢力が勝利できるのか、
勝つ方法など皆目見当がつかなくなってしまうか。
結局やれることは抵抗することで、
それは数年前に民主党政権がやろうとしたように、
米軍基地を沖縄から県外や国外へ移転するように
各方面に働きかけたり、
高速道路を無料化しようとしたり、
ダムの建設を中断させたり、
原発事故が起これば脱原発を目指したりするしかないわけだ。
そういうことをやろうとすれば、
またマスメディアも含めて
既得権益に関わっている官民挙げて猛反対の嵐となるだろうが、
ともかくそういうことをやろうとしなければ何も変わらず、
やらなければ現状維持どころか、
ますます監視と制御が強化され、
より円滑に効率的に作動するようにシステムの改良が進むのだろう。
その機構の目的は自己目的化していて、
その維持と継続のためだけに、
それがより素早く効果的に動作するように
絶えず改良が重ねられるわけだ。
その機能はアメリカ軍がテロ対策で使用している
無人爆撃機に似ているだろうか。
世界中に監視網を広げて監視し続け、
危険となるテロ組織の動きが確認されたら、
速やかにそれを除去するために無人爆撃機を差し向ける。
しかしそれはネズミの駆除と同じように、
やればやるほどネズミの方も抵抗力と戦略を身につけ、
結局攻撃する側とそれに抵抗する側の双方共に進化していくわけで、
延々とそのせめぎ合いが繰り返されることになる。
だから権力に刃向かう抵抗勢力も
ネズミと同じように進化しなければならない。

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創刊日:2001-03-26  
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