文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2015.5.7 「やりたくない仕事」

2015/05/08

それは誰にとっても心地よいとは言えないだろうか。
金がなければ不満ばかりが溜まる社会なのだろうか。
だが果たしてそうでない社会があり得るだろうか。
金に困らない程度なら、
それほど金に執着する必要はないのではないか。
反対に金に困っている人が多ければ多いほど、
労働市場は活況を呈し、
安く買い叩いて低賃金で人をこき使う企業が増えるだろうか。
金に困らないときつい仕事のやり手がいなくなるような気がするが、
結局世の中からきつい仕事を無くしていけばいいのであり、
今すぐになくなるわけでもないが、
徐々に消えて行くような流れで、
世の中が動いて行けばいいのだろうか。
だが現実はその逆の流れだろうか。
大金を得られる仕事には有能な人材が殺到し、
そこでの競争が熾烈を極め、
競争に勝ち抜いたごく少数の者たちだけが
大金をせしめることができるとすれば、
その他大勢には低賃金のやりたくないような仕事しか
残されていないだろうか。
世の中のすべてがそうだとは思わないが、
誰が好き好んでやりたくないような仕事をやるだろうか。
たぶん生活のためにはやらざるを得なくなるわけで、
それでは仕事に対して肯定的な気持ちにはなれないだろうが、
誰かがその仕事をやらなければならないのだとすれば、
嫌々でもやらざるを得ない人が必要とされているのだろうか。
実際に社会の至る所でそういう現象が起きているのではないか。
なぜそういう現象が起きるのだろうか。
社会の構造がそうなっているわけだ。
そしてその構造が容易に変わるわけではなく、
変えようとして変わるようなことでもないのかもしれない。
そんなわけで人は不満を抱えながら生きてゆかなければならず、
そこから抜け出たければ宗教などに入信して、
指導者から洗脳でも受けない限りは、
不満を抱えている嫌な感じを拭いされるわけでもなく、
その方がまともな精神状態なのであり、
かえって洗脳されて仕事の苦痛から解放される方が異常なのだろう。
それこそがごまかしなのであって、
不快感があるから
なんとかそれを克服ために工夫をこらそうとするわけだ。

この世はユートピアではない。
人は他人との摩擦や軋轢を感じながら生きているし、
利益を得ようとすれば他人から利益を掠めとらなければならず、
しかも他人を利用してそうしなければならないので、
それを正当化するのには抵抗感が伴うはずで、
痛みを感じずに平気でそういうことができるようになれば、
それこそなんでもありの弱肉強食社会となってしまうだろう。
たぶん低賃金で過酷な労働を他人に強いるような職場環境などでは、
そうでなければそこでの監督者など務まらないのではないか。
そしてそのようなことをやっている会社が、
ブラック企業として非難され、
違法行為を行なっていれば摘発されることになるわけだが、
結局そうしなければやっていけないからやっているのであり、
そこにそうせざるを得ない事情があるわけだ。
それがたとえ会社経営者が従業員を搾取して
私腹を肥やそうとしている事情であろうと、
事情は事情であって、
それを許すか許さないかの
せめぎ合いや闘争が発生しているのだろう。
そして行政がそういう行為を
許さないように規制を強化すべきか否かも、
そこで経済界と一般市民との
せめぎ合いや闘争が発生しているわけで、
それが選挙での争点になっているか否かは
はっきりしないところだが、
労働者の味方を装う共産党などは
ブラック企業への取り締まりを強化すべき
と主張しているのかもしれない。
だがそのような主張が通って労働環境が改善されるとしても、
人が労働そのものから解放されることはない。
現状でそんなことはありえないし、
あり得るとしたらそれは現状が現状ではなくなる場合でしかなく、
対立する二つの陣営のせめぎ合いや闘争が無効となるときだが、
人はそうなることを目指しているのだろうか。
たぶん意識してそれを目指しているのではなく、
人々の思いや行動が
自然とそういう方向へと向かっているのではないか。
やりたくない仕事をやっている現状がある限り、
自然とそのような状態を不快に思い、
そうではないような状況へと至ろうとするのであり、
はっきりと意識するしないに関わらず、
なんとなく労働から解放されることを
夢想している人が多ければ多いほど、
集団心理はそのように働き、
時が経ち時代が移り変わりながら、
次第に社会全体がそういう方向へと動いてゆくのではないか。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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