文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

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彼の声 2015.3.20 「なんの問題もない現状」

2015/03/21

誰の嘘を見破ったわけではない。
ではそれが嘘だと気づかないふりをしているのか。
嘘の他には何もなく、
とりたてて嘘以外の何を信じているのでもないらしい。
では尊王攘夷とかいう嘘を信じているのだろうか。
後から思えば日本軍による真珠湾攻撃も、
尊王攘夷の一環だったのではなかったか。
そこまで考えた時点で心が腐りかけているようだ。
そういう付け焼きの表現ではうまく状況を語れない。
そこで何を語ろうとしているのか。
期待を裏切りたいのだろうか。
誰に期待されているわけでもないだろう。
それ以前にどこかおかしい。
自意識によって見出されたのは相変わらずの現状だ。
集団による無意識の形成などあり得ないか。
それについて語ろうとしているのだから、
たぶんそれを意識しているのだろう。
でもそれ以降は何も見出せない。
あり得ない現象を思い描いているのではなく、
体験しつつある今の時代の中で考えている。
何十年もの時の経過を感じているわけだ。
それでも特定の意識は
そこから遠ざかれなくなっているのかもしれず、
そこへ留まり続けることしかできず、
とうに過ぎ去った時代に思いを馳せながらも、
それ以外は何も思い浮かばずに考えあぐねている。
その時点で何をどうすればいいのか
わからなくなっているのではないか。
要するにそれについて語らなければならないのだろう。
語る方法が思い浮かばないのに、
それについて語ろうとしているわけだ。
語れないのに語ろうとするから考えあぐねてしまう。
何を想定しても稚拙な言葉遊びに堕する。
やはりそこに何があるわけではなく、
ただの歴史的な出来事や現象の紆余曲折だけのようだ。
それらの何が本質的な出来事というわけではなく、
歴史的な主体を見出す必要もないのではないか。
形式的には国家が存在するのだろうが、
国を歴史的な主体に据えて語ったところで、
あるいは国の中心となる主導者的な人物について語ったところで、
それ自体は物語的な内容となるだけで、
そんな物語なら他にいくらでもあるし、
そういうジャンルも確立されているだろうし、
そちらの方面の書物でも読めば事足りるわけだ。
しかし他にどう語ればいいのだろうか。
そうなるのを避けようとするだけでは
何も語ったことにならないのではないか。
だからその辺で考えあぐねてしまうわけか。
だがそれでは語れないことについての、
まるでとってつけたような言い訳となってしまいそうだ。
やはりどうやら無意識のうちにそこから逃げているらしい。

結局その手の歴史的な経過から
何を導き出そうとしているのでもないようだ。
戦争などというありふれた現象では
説明できないことがあるのかもしれない。
ありふれた煽動家がよくやるように、
戦争を持ち出して危機感を煽る行為も、
そればかり主張していると狼少年的な紋切り型に堕する。
現状の何が問題なのだろうか。
何も問題であるわけがないだろうが、
冗談として現状の何も問題ではないとすると、
いったい現状の何について語ればいいのだろう。
いっぺん現状の何も問題でない場合について
考えてみなければならないのかもしれない。
たぶんこれでいいとみなして考えなければならない。
皮肉でもなんでもなく現状を肯定してみよう。
そんなことができるだろうか。
実際に肯定しているのではないか。
否定する要素など何もないから肯定しているわけだ。
それが嘘だとは思えない。
誰の嘘など見破る必要もなく、
嘘だと気づかないふりをしていればいいのだろう。
それが現状の肯定に結びつく。
予言者いつでも近いうちに人類の滅亡を予言するだろう。
今年か来年には滅亡しないと誰も騒ぎ立てないからだ。
そうでなくても何か大惨事が起こることを予言しなければ
予言者としては誰からも注目されない。
だから近い将来において
何か破滅的な大惨事が起こることが期待されているわけだ。
それが必要であるから期待されているわけで、
何事もなく平穏無事な未来が延々と続いてしまっては困るのだろう。
そういうわけで逆説的には何かが起こるだろうと思いながら、
今を過ごしていればいいのだろう。
そんなふうにして今を今として過ごしている限り、
現状ではなんの問題もない。
それでは何かはぐらかされたような気になるだろうか。
別に言い知れぬ不安に苛まれているわけでもなく、
何か不可解な引っ掛かりを感じながらも、
とりあえず今という時間があり、
その時の経過に従って何かをやりながら生きているわけだ。
それ以上でも以下でもなく、
過ぎ去った過去の歴史を正当化するでもなく、
今の現状と過去が地続きとも思えず、
そうかといって何をやり過ごしているわけでもなく、
ありのままの現状を受け止めているわけだ。
現状は現状以外ではない。
過去も過去でしかなく、
過去と現在とが地続きであろうとなかろうと、
過去が現状の何を揺るがしているわけでもない。
過去に対する肯定的あるいは否定的な認識など、
現状ではなんの役にもたちはしないだろう。
何も問題とはなり得ず、
それらはただの過ぎ去った現実と虚構とが
ないまぜになった記憶としか残らない。

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創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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