文学

彼の声

この世界について、この社会について、この時代について、未来について、過去について、人々について、自分が日頃感じていることを率直に語る。

全て表示する >

彼の声 2015.3.18 「民主化という幻想」

2015/03/19

単純に宗教=神ではないようだ。
宗教=金であったり宗教=国家であったり
宗教=民族であったりするかもしれないが、
そういう粗雑な単純化では何を語ったことにもならないか。
では宗教とは何か。
そんなのはいくらでも数限りなく定義が可能だろうか。
例えば中国当局が、
チベット仏教の寺院に僧侶が群れをなして暮らしているのを見たら、
仕事もせずに無駄に暮らしているように思うだろうか。
実際はどういう事情でチベットの民衆を弾圧しているのかわからないが、
チベット僧が当局の弾圧に抗議して焼身自殺しようと、
寺院に群れている赤い布切れを巻いた坊主頭の人数が
少し減っただけだとしか思わないかもしれない。
教義や儀礼や施設や組織などをそなえた社会集団が
宗教教団であるならば、
政府も企業も宗教教団と形式的には変わりはない。
もちろんそれも粗雑な単純化で、
機能的には政府と企業と宗教教団は、
それぞれに別種の集団として考えたほうがいいのかもしれないが、
それらの集団に属する人々を、
集団がある特定の行動に駆り立てる動作は変わらず、
教義や規律などによるなんらかの拘束を伴っていないと、
人を集団内に留め置くことはできない。
宗教的な集団には人をそこに留め置く力がある。
人は自発的にそうしているのだろうか。
生まれた時からその集団内にいれば、
そこにいることが当然だと思うだろうか。
中には反発する者も出てくるだろうし、
外の世界に魅力を感じれば、
そこから抜け出そうとする者も出てくるのではないか。
人間の本性は拘束を嫌い、
自由を求めているのかもしれないが、
同時にそうすることで利益を得られるならば、
集団による拘束を受け入れて
生活を安定させたい欲望も生じてくる。
そんな二律背反する欲求を同時に満たすことはできないか。
人は時として孤独な自由と集団内の安定の
どちらか一方を選ばなければならないだろうか。
やはりそれもそんな単純なことではなく、
たぶん人は様々な集団に同時に属していて、
自分の都合に合わせて、
属しているそれぞれの集団を効果的に活用しようとするわけだ。
そうやって個人と属している集団は互いに互いを利用しながら、
それぞれに利益を得ようとする。
現実的な有り様としては、
個人と集団はそんな関係を保てばいいわけか。
それも時と場合によるだろうし、
個人も集団も個人どうしも集団どうしも、
互いに互いの力を対象となる相手に及ぼうそうとして、
絶えずせめぎ合いをしているのだろう。

中国当局とチベットの仏教徒やウイグルのイスラム教徒との闘争も、
集団と集団の力のせめぎ合いと言えるだろうか。
武力なら圧倒的に中国政府の方が上だろうし、
実際に弾圧しているのは
中国政府の方だということになっているのだろうが、
そこに住んでいる人たちを
皆殺しにするわけにはいかないだろうから、
政府に対する抵抗運動がおさまる気配はなさそうだ。
中国国内で多数派を占める漢民族による
経済的な侵略行為だと受け取られたら、
やはり民族的な抵抗運動が起こるのは必然だろうか。
人が集団としてまとまれば、
その集団の共通の利益のために
対立する集団と戦うのは自然の成り行きか。
暴力団やギャングの縄張り争いのようなものを想像すれば
事足りるかもしれないが、
それも粗雑な単純化でしかない。
野球やサッカーなどのプロスポーツのように、
それを見世物としてシステマチックに
構成するわけにもいかないだろうし、
劣勢にある側が被害者意識丸出しで、
メディアやネット上で政府や武装組織の残虐行為や、
やっていることの不当性を非難したり、
世界に向かって助けを求めるのも、
もはやありふれた風物誌と化している感もある。
今後とも延々とそんなことが繰り返されるのだろうか。
それをやめさせるにはどうしたらいいだろうか。
大前提としては国家ごとに民主主義を確立して、
選挙や住民投票によって物事を決める制度にすればいいのだろうが、
結局投票結果の不正操作という疑念もぬぐい去れず、
日頃から体制側を非難している人たちも納得がいかないところだろう。
何をどうすればいいと問う段階で、
自分が属する集団の有利になるような
結果を出したいという思惑が働いて、
なかなか公平で公正なやり方を確立できないどころか、
それを積極的にねじ曲げようとする動作が生じてしまうのだから、
そのような民主的な試みがうまく行く可能性は低いだろうか。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-03-26  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。