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彼の声

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彼の声 2015.1.6 「格差社会の原理」

2015/01/06

企業はその規模が巨大になればなるほど、
その経営者や役員の取り分が多くなる。
資本主義市場経済の中で企業同士がシェアの奪い合いをすれば、
より多くのシェアを奪って競争に勝ち残った企業は、
売り上げを伸ばして巨大化し、
競争に負けた企業を吸収合併して、
さらにその規模が雪だるま式に大きくなる。
そこで行われているのはそういうことでしかない。
巨大化した上に業績も伸ばせば、
その分経営者や役員などの管理職の取り分を多くしても、
誰も文句を言えないだろうし、
企業の株価も上昇してその資産価値も増え、
その企業に投資している人や団体も利益も大きくなる。
戦争のない比較的平和な地域が拡大して、
その期間も長くなり、
そこで資本主義市場経済が発達し続け、
あらゆる業種で
シェア争いに勝ち残った巨大企業による寡占化が進めば、
今日あるような格差社会になるわけだ。
資本主義市場経済を肯定する限りは、
程度の差こそあれ、
そのような成り行きになるのは必然かもしれず、
国家や官僚機構も、
そこに暮らす人々や団体から税を徴収して糧を得ている限りは、
それを維持継続させていかなければ成り立たない。
そのような仕組みを維持した上で、
なお貧富の格差を解消しようとする試みには、
ある種の欺瞞が伴う。
少なくとも完全な平等などあり得ず、
ある程度は貧富の格差を容認するしかなく、
そうしなければそこで競争など起こらないだろうし、
努力した者がより豊かにならなければ、
誰も何もやろうとしないだろう。
そこに勤勉という価値観がある限りは、
あるいは人類の進歩と調和という
矛盾したテーマを追い続ける限りは、
人々は互いに競い合って、
結果的に調和とは無縁の富の不均衡を作り出して、
他人より勝っていると感じたいのであって、
そこに生じている他人との格差に応じて満足感を得るわけだ。
果たして資本主義市場経済を肯定しつつ、
そのような功利的な満足感の追求を
否定することができるだろうか。
要するに絶え間ない競い合いや戦いが続いている現状を
肯定したいのだろう。
そしてそこで生じている調和とは、
敵と味方の二項対立という予定調和だ。
その一方で人々は
そこで争いのない恒久平和を夢想しているのだが、
それは競い合いや戦いによって、
それを阻もうと企む敵を打ち倒した上で、
その恒久平和の状態へと至りたいわけだ。
それの何が矛盾しているのだろうか。
たぶん敵と戦っているつもりの当事者たちには、
何の矛盾も感じられないはずだ。

人々もその目的に沿って結成された企業や官僚機構や各種団体も、
自分達が永遠に勝ち続ける状況を構築したい。
建前上ではウィン・ウィンの関係などと
もっともらしい主張もあるにはあるが、
そこには敗者の存在が欠かせないのであり、
誰かが負けなければ勝ちはあり得ず、
負けた者を無視することでウィン・ウィンの関係が成り立ち、
それを達成して維持し続けることが、
彼らにとっての恒久平和なわけで、
いくら小難しい屁理屈を弄しても、
それはごまかしようのないことであり、
それを維持し続けるには、
あからさまな勝ちを絶えず隠蔽し続けなければならず、
敗者が負けている事実に気づかないようにしたいわけで、
そのための戦略を模索しながら実施しているのであり、
様々な戦術をあれこれ試しているわけだ。
民主主義という建前を維持するために存在する
選挙や議会制度なども、
そのひとつであると考えれば納得がいくだろうか。
選挙をやって代議員や行政の長などを選び、
民意を反映して選ばれた市民の代表者たちが、
国や市町村などの法律や条例や仕組みや制度を作り、
そこで彼らが行政を担う官僚機構を制御しているように見せかける。
具体的には富裕層により多く課税することで貧富の格差を是正し、
貧しい人たちに福祉を提供することで、
貧困から生じる各種の苦しみや痛みを和らげようとし、
また子供達には質の高い教育を受ける機会を提供し、
そこで大人になってから社会人として、
また職業人として生きて行けるように、
知識や技術や心構えを教え訓練する。
また質の高い医療を提供することで、
そこで暮らす人々が健康に生活し働けるように、
また丈夫な子供を生み育てられるように、
長生きして人生を楽しめるようにする。
またさらに軍隊が外国からの軍事的な侵攻を防ぎ、
国家の対外的な安全を確保し、
必要とあらば大規模な自然災害において被災者を救助し、
また警察機構が犯罪から国民を守り、
法を侵犯した犯罪者を摘発して国内を治安を維持し、
さらに司法を担う裁判所がその犯罪を裁き、
法を犯した者や団体を処罰し、
損害賠償請求にも対応する。
そうやって彼らは今ある現状を維持しながら継続させ、
できればその恒久平和という勝利を
より強化し充実させようとする。
たぶん世界中の公的機関で行われていることの多くは、
そのような行為に行き着くのではないか。
果たしてそれに抗う人々は、
それに代わる新たなやり方を提示し実行し実現できるだろうか。

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創刊日:2001-03-26  
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