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くまから・かまから

みやこふつ(宮古島の方言)で語るエッセイや方言講座、民謡解説、おしらせなどがあります。宮古島出身の人も、そうでない人もまーつき(一緒に)みやこふつを楽しみましょう。

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くまから・かまから vol. 384

2017/03/16

■── 宮古島方言マガジン ────────────────────■
 
  くまから・かまから  第1・3(木)発行 《vol. 384 2017.3.16》
 
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    もくじ
     「大和の雨と宮古の雨」         菜の花
     ◇あの話をもう一度
     「ミャークフツ講座
           連声(れんじょう)編」   ひさぼう
     「母ちゃんの『しぃむぬ』の作り方を
                  教えてくれ」 キムキム
     「お知らせ」
     「編集後記」              松谷初美
 
      こんにちは〜。
     春と冬が いきってゃー きすきす(行ったり来たり)。
     なかなか春らしい日が続きませんが
     がんづぅかり うらまずなー(お元気ですかー)。
     vol.384お届けです。お楽しみくださいね〜。
 
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「大和の雨と宮古の雨」         菜の花(伊良部・仲地出身)
 
 ぴしさ(寒さ)で くぱりて(凍えて)しまいそうな大和の冬は、何年
経っても馴染めない。それでも三月になった途端に、春が来たようで気温
が低くてもなぁんとなく ぬふーぬふ(温かく)感じる。曇や雨の日も増
え、静電気パチパチの日々ともさよならだ。普段は雨が嫌いな私でも、雨
が春を連れてくるので ぷからすむぬだ〜(嬉しくなる)。
 
 三月のある雨の日、母ちゃんに電話したら「伊良部も うぷあみ(大雨)
だよ〜。んた(土)も ジャイジャイ(雨でドロドロな様子)としている
よ」と。うぷあみ(大雨)かぁ・・・。外を眺めると雨は雨でも うぷあ
みには程遠く、音も無くただ静かにしっとりと舞い降る雨が見えた。まる
で絵巻物に描かれた奥ゆかしい十二単の姫を思わせるような雨だ。
 
 大和の春の雨は本当に静かに降る。して、宮古の雨はいつでも突然に降
る。ジャジャーと降る。ダダーと降る。ザイ゜ザイ゜と降る。遠くに真っ
黒な雲が見えたかと思うと、雨を伴い迫ってくる。山の無い島ゆえ、海を
渡る季節の風をもろに受け、雨も浴びる。競争するように走って雨から逃
げたこともある・・・そんな思い出がいっぱいだ。
 
 やらび(子ども)の頃は、アスファルト道路なんてなかったから、雨が
降ると んつ(道)には轍が、畑には水たまりができた。轍に雨水が溜ま
ると、いみーいみぬ(小さな)おたまじゃくしがいたりして、学校の帰り
には座り込んでジーッとおたまじゃくしの動きを見て楽しんだ。うぷあみ
(大雨)の日には、唇が真っ青になるまで雨の中をはしゃぎまわって遊ん
だ。今どきの子どもは雨に濡れて遊ぶことはしないだろうなぁ・・・。
 
 雨の日の思い出を懐かしんでいると、不意に下地イサムさんのCD「ス
マフツ THE GOLDEN LANGUAGE」に収録されている「あめふり」の歌が頭の
中で流れ出す。
 
♪シュッタ シュッタ アイジャ アイジャ ザス゜ザス゜ザス゜♪
私は、このシュッタ シュッタというところが大好き!大切なワンシーン
の様になぜか心にピタリとくる。 
 
 昔は雨靴なんてハイカラなものは履かなかったし、持っている人もあま
りいなかった・・・と思う。さば(島ぞうり)で雨の中を歩くと、足が
さば(島ぞうり)からシュッタ!と滑り抜ける。ぬかるみを歩くと、さば
(島ぞうり)ごとシュッタ!と滑る。それで、アイジャ!!と思わず叫ん
だりするのだ。
 
 宮古の雨の日ってそんなものだったなぁ〜、と一人クスクス笑ってしま
う。この「シュッタ!」というたった一言に、宮古の雨の日を重ねる自分
にも「いつの話かさー」と笑ってしまう。
 
 春に降る大和の雨と宮古の雨。同じ雨でも場所が変われば違うね〜と、
窓の外を眺めながら思う私でした。・・・とさ。
 
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◇あの話をもう一度
 
「ミャークフツ講座 連声(れんじょう)編」vol.111 2005/11/3
 
                                            ひさぼう(平良西仲出身)
 
 アメリカに行ったら、バスを降りるとき「アゲドーフ(揚げ豆腐)」と
言わないと、バスを停めてくれないらしい。これを、学校で習ったとおり
「アイ・ゲット・オフ(I get off)」などと言っていたら、ゼッタイ降
りられないという。
 
 言葉の前後のつながりで、もとの言葉が全然違う風に発音されるという
こと(連声)は、日本語でもある。例えば、観音様のかんおんは、カンノ
ンと読むし、云々は、うんうんではなくウンヌンである。また、トイレの
雪隠は、せついんであるのに、セッチンと言う。
 
 こういう、前の音と後の音がくっついて、別の発音になるということが
ミャークフツには多い。しかもかなりややこしい。以下は、くまかま vol.
 84(助詞「は」と「を」の使い方)の続編で、前音と後音が融合して、発
音が変わる、という視点で考えてみた
 <普通語>     <ミャークフツ>        <主語>
 花 は 赤花    ぱな あ あかばな       ぱな(PANA)
 酒 は 命     さきゃあ んぬつ        さき(SAKI)
 箱 は 四角    ぱこ お しかく        ぱく(PAKU)
 星 は 知っている ぷっさ っしどうず       ぷす(ス)
 熱 は ない    にっつあ にゃあん       につ(ツ)
 寄付 は ない   きっふぁ にゃあん       きふ(フ)
 波 は 荒い    なん ま あらあ あら     なむ(NAM)
 犬 は 吠える   いん な ぶい どうす     いん(IN)
 
 このように、前の主語の語尾によって、後ろの「は」の言い方が違って
くるし、主語も影響を受けている。「を」の場合も同じ。
 
 <普通語>       <ミャークフツ>      <目的語>
 花 を 活ける     ぱのお いきず       ぱな(PANA)
 酒 を 持って来い   さきゅう むち くー    さき(SAKI)
 箱 を 作る      ぱく う つふず      ぱく(PAKU)
 星 を 見上げる    ぷっすう みゃあぎず    ぷす(ス)
 熱 を 計る      にっつう ぱかず      につ(ツ)
 寄付 を 集める    きっふ うぐないず     きふ(フ)
 波 を 見る      なん む みいず      なむ(NAM) 
 犬 を 連れていけ   いん ぬ さーりーいき   いん(IN)
 
 以上、ミャークフツの「は」と「を」の言い方は、ややこしいようだけ
れども、前の主語・目的語の語尾によって規則的に変わっていることがわ
かる。つまり、語尾が、A、I、U、ス、ツ、フ、M、N のどれになっている
かによって、「は(WA)」と「を」の言い方が違ってくる。その中で五十
音のウ行(う・く・す・つ・ぬ・ふ・む・ゆ・る)は特徴があって、ス、
ツ、フ、は、つまって、小さい っ になる。また、「ん」は、使い分けて、
波(なん)、神(かん)網(あん)、芋(ん)などは、M で、犬(いん)、
恩(うん)、金(じん)門(むん)などは、N である。
 
 実際に、くいゆ いだし つかいわき しーみーさーち(声を出して、
使い分けしてみて下さい。)

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「母ちゃんの『しぃむぬ』の作り方を教えてくれ」
 
                   キムキム(平良・西里出身)
 
 珍しく口下手の弟から電話があった。転勤族の弟は、雪深い東北から関
東、九州、沖縄は八重山まで、20年近く転勤を繰り返し、ようやく45
歳を過ぎてから那覇に落ち着いた。なんでか、宮古には転勤がなかった。
 
 ふふぁぬきゃー(子ども達)の成長に合わせて、家族で異動(移動)し
たり、単身赴任だったりと、聞いているだけでも難義だった。「転校は、
んばっ(イヤ)、友達が出来ても、また転校さー」中学生になると姪っ子
達も反抗期、「親の都合で?引っかき回すな!」とのばーさー(という訳
だ)。
 
 40代は、たうきゃーしー(ひとり(単身赴任)で)だまがりていたは
ず。毎日、居酒屋で鍋をつつく夕飯が続いた東北での日々、「正月も仕事
で、沖縄には帰れないよ〜」と、電話の声は、ため息とも落胆とも聞こえ
る。
 
「んじ、母ちゃんの しぃむぬ(吸い物)の作り方を教えてくれ」食べれ
ないと思うと、余計に食べたくなるもので、自炊もせず、ほとんど外食だ
ったはずだが・・・しぃむぬを作ってみたいと?。あすがどぅ(でも)
「母ちゃんのしぃむぬ」を食べんと正月じゃないとのばーさーね。
 
 母ちゃんの しぃむぬは、カツオ節をやまかさ削るところから始まる。
小さい頃は弟と交替でやらされた。弟が削るとカツオ節が粉々で、「あが
ぃ、もっと大きく削らんと上等ダシは出ないよ〜」と注文され、私の出番。
結構、カツオ節削りは得意だった。薄く、長く、シュッシュッと小気味い
い音をたてて削れていく、大工さんがカンナで木材を削る、あの技に似て
いる・・・つもりだが。沸騰したお湯にたっぷりの削りカツオ節を入れて
贅沢な出汁が出来上がる。綺麗な黄金色で、それだけでも完璧な味がする。
 
 余談だが、たちづる(たち汁)を知っているだろうか。冷や飯に生卵を
割り入れ、出来立てのカツオ出汁をかけ、ズルズルとかき込む、風邪をひ
いた時、母ちゃんは、きまって「たち汁」を作ってくれた。アツーアツー
の「たち汁」は、薬よりも良く効いたさー。
 
 中身(豚の内臓)は二回茹でこぼす、三回目に母ちゃんはメリケン粉で
モミ洗いをしていた。臭みが無くなり、柔らかくて噛みやすくなる。湯通
ししたコンニャク、今では見かけなくなったが、あの頃は、コンニャクの
塊を、その場で、ところてんのように天付き器で押し出して売っていた。
 
 八重山かまぼこ(四角くて、作り手の指の跡がついた薄いかまぼこ)を
細く長く、コンニャクと同じように切っていた。母ちゃんの しぃむぬに
は、椎茸は入れない。たぶん たかだい(高価)だったし、あの頃の宮古
で乾燥椎茸は高級品だったはず。塩と醤油で味付け、ここに母ちゃんの隠
し味があったと思うが、なかなか同じ味がだせない。んぞうさやー(残念
だなー)、母ちゃんが元気なうちに、ちゃんと聞いておくべきだったさ。
 
「母ちゃんのしぃむぬ」の裏ワザには、やまかさの隠し味があった、と知
ったのは、久しぶりに宮古で叔母が作ってくれた しぃむぬを食べた時だ
った。「叔母さん、このしぃむぬは、どんなに作るか〜?」今年88歳に
なる叔母のしぃむぬは、健在で、これが「母ちゃんのしぃむぬ」の味だっ
た。
 
「カツオ節」、我が家には「いずー かーまちー(魚を買ってください)」
と頭にタライを載せた魚売りが来ていた。西辺の魚売りオバサン達で、
「ういまい、んまき゜どぅ!」と、あの独特な口調で、売りさばいていた。
その魚売りのカツオ節が隠し味の一つであったらしい。今では魚売りも来
なくなったけど、叔母は、ある知り合いを通して、今でも西辺のカツオ節
を手に入れているらしい。
 
「八重山かまぼこ」、父の従姉がヤーマに嫁に行き、1年に2〜3回帰省
する度に、お土産にもらっていた。切ってそのままでも十分おいしい。そ
のかまぼこからも、隠し味が出るという。「でも、母ちゃんの手の味が一
番の隠し味だったはずさー」と叔母は笑った。
 
 今は、私のしぃむぬが娘たちの味になり、椎茸入りの「高級しぃむぬ」
になった。少しだけ「おばぁの味」に似てるだろうか?
 
 年度末の人事異動発表、弟は、4月から宮古へ単身赴任が決まった。宮
古の居酒屋では、「母ちゃんのしぃむぬ」に似た味に出会えるだろうか。
 
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「おしらせ」
 
◆3月19日(日)午前11時〜午後1時30分
 枝元なほみさんと家庭料理大集合in伊良部島
 伊良部島食と暮らし事業協議会主催
 伊良部島東部構造改善センター(伊良部地区津波タワー隣)
 枝元さんのクッキングライブショーと試食会
 問合せ:中村 090-8946-2619
 
◆3月19日(日)午後2時〜4時30分
 「第13回地域貢献フォーラムin宮古」
 宮古島市中央公民館内琉球大学サテライト宮古キャンパス
 西圭介琉球大講師が「自転車が拓く宮古島のエコツーリズム・ヨーロッ
 パの先進事例から」ゲストは藤田尚哉サンセットバイク店長
 入場無料
 問合せ:琉球大学観光産業科学部総務係 098-895-8182
 
◆3月23日(木)午後8時オープン 午後8時30分スタート
 THE SAKISHIMA meeting tour2017『“THE”BIRAKI』
 (新良幸人×下地イサム)
 宮古島 JANG JANG
 前売り:2,500円 当日:3,000円(ドリンク別)
 電話予約/問合せ:JANG JANG 0980-73-8668(火曜〜土曜 20:30以降)
 
◆3月26日(日)午後2時30分開場
 亀浜律子練場開設30周年記念公演「第30回竜宮の舞」
 琉球舞踊「穂花会」・宮古舞踊「んまてぃだの会」主催
 マティダ市民劇場
 チケットは穂花会各錬場 問合せ:亀浜 090-8419-9628
 
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「編集後記」             松谷初美(下地・高千穂出身)
 
 昨日は沖縄県立高校の合格発表の日でした。親せきの家(2軒)でも合
格祝いがありました。宮古では親せきはもちろん、職場の同僚、友人、知
人がお祝いにかけつけるので、家の中はお客さんでいっぱい。そして、い
ふきゅう(何軒)も回るので、島中、車がぐるぐる回っています。(笑)
本人が玄関でお迎えをし、お祝いをもらうとその場でお返しを渡します。
お客さんがたくさん来るので渡し忘れがないようにとの意味もあるのでし
ょうが本人がしっかりとお客さんにお礼を言えるのでいい風習(?)だな
ーと思います。家の中には、高校合格おめでとうの横幕が掲げられてすご
いです。宮古の子どもたちはたくさんの大人に見守られて育っていきます
ね。
 
 前号から多くのお知らせを載せるようにしていますが、お知らせした、
libraryライブ、苧麻糸展示会、こどもシアター、宮古高校吹奏楽部定期
演奏会行ってきましたよ〜。あまりのイベントの多さに行けるのかーと
思っていましたが大丈夫でした。どのイベントも行って良かったぁ!
いろいろな方がいろいろなことを頑張っています。素晴らしかったです。
 
 してからにが、おとついは二度目のスマホ水没。あがんにゃよーい(泣)
4〜5日で新しいのが届く予定。それにしても今は、だいず便利。宅配業
者の人が家まで新しいのを届けて、水没したスマホも回収していくんです
からね。離島は特に助かります。あー、その前にそそっかしいのを何とか
せねばっ。
 
 さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがら やー?
 
 菜の花の雨の話し、分かりますね〜。やらびぱだ(子どもの頃)は本当
に雨なんて濡れてもへっちゃらだった。水たまりもあちこちにあって、雨
が上がると水たまりに青空が映ったりしてね。イサムさんの歌は子どもた
ちにも大人気です。それにしても、シュッタが歌詞になるとはね!
 
 あの話をもう一度は、ひさぼうさんのみゃーくふつ講座「連声」でした。
10年以上前の掲載でしたが、その時「連声」なる言葉を初めて知りまし
た。音は規則的に変化しているんですよね。当時はあまり理解できなかっ
たことが少しずつ分かるようになってきた感じがします。
 
 キムキムさんの「しぃむぬ」の話、いいですね〜。「しぃむぬ」はそれ
ぞれの家庭の味があってまさにソールフードですね。特に母の味は忘れが
たいものですよね。手の指の跡のついたあのかまぼこは必須ですね。弟さ
んは宮古に住んでお母さんの味に近いしぃむぬに出合うといいですね。
 
 おしらせのコーナー、充実していけたらと思っています。お知らせした
いことがある方は、ぜひご利用ください。下記のメルアドまでご連絡くだ
さいね。
 
 貴方はどんな感想を持たれましたかー?メールいただけると ぷからす
むぬ。宛先は、くまがみ!(こちらまで!) kumakama@mbp.nifty.com
投稿もお気軽にぜひぜひ!!まちうんどー(お待ちしています)
 
 きゅうまい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(きょうも 最後まで  読んでくださり ありがとうございました!)
 
 次号は三週間後の4月6日(木)発行予定です。
うぬとぅきゃがみ がんづうかり うらあちよー(その時までお元気で)
あつかー、またいら!
 
──◆─────────────────────────────◆──
   編集・発行  : 松谷初美
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創刊日:2001-03-20  
最終発行日:  
発行周期:月2回 第1・3木  
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