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くまから・かまから

みやこふつ(宮古島の方言)で語るエッセイや方言講座、民謡解説、おしらせなどがあります。宮古島出身の人も、そうでない人もまーつき(一緒に)みやこふつを楽しみましょう。

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くまから・かまから vol. 330

2014/12/18

■── 宮古島方言マガジン ────────────────────■
 
  くまから・かまから  第1・3(木)発行 《vol. 330  2014.12.18》
 
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   もくじ
   「ご一緒に『んきゃーんじゅく』(3)」  さどやませいこ
   「おしらせ」               松谷初美
   ◇あの話をもう一度
    「形見」                R
   「わー(豚)とぅ白菜」          ワタリマリ
   「編集後記」               松谷初美
 
     こんにちは〜。
    全国的に寒さが厳しくなっていますが、
    がんづぅ かり うらまずなー(お元気ですかー)?
    今年最後の くま・かま。ホットにお届けします。
    お楽しみくださいね〜。
 
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「ご一緒に『んきゃーんじゅく』(3)」 
 
                さどやませいこ(城辺・新城出身)
 
 ぞーかり うらまんな(ご機嫌いかがですか)
 
 んにゃ(もう)季節は12月。時が経つのが あてぃ ぴゃーかりば
(とても、早いので)、くとぅすまい(今年も)あとぅ ぴっちゃがま
(もう少し)。きばりゅーてぃ(頑張って)かぎぃ とすゆ(良い年を)
迎えたいものだ。
 
 今日は、宮古島がどうやってできたかーという創世神話で、天の神様が
娘をつかわして島を創り上げ、人々を増やしていったという話です。
 
 んきゃーん(昔)なぁ、みゃーくずま(宮古島)は、ごつごつした岩だ
らけの島だったそうです。神さまは自分の娘を呼んで、下界に降り島づく
りをするよう命じました。
 
 娘は父親の命令なので仕方なく宮古島に降り立ちました。ところが、岩
だらけの何もない島です。娘は天に戻って神に伝えました。「あんな所で
何ができましょうか」。神はさっそく土を降ろすことにしました。
 
 島は夜から朝にかけて、想像もつないような閃光がマンマンと照り、雷
がバラバラと呻りをあげ、雨も降り、一晩中激しく鳴り響きました。そう
して、翌日は何事もなかったかのように朝日が柔らかくふりそそぎ、島は
一面赤土で覆われていました。ところが、赤土だけでは作物は育ちません。
そこで娘はさらに黒土を所望しました。こうして環境は整いました。
 
 さらに娘は、作物の種をもらうために天に昇りました。天の父はいろい
ろな種を分けてあげましたが、一つだけどうしても分けられないという種
がありました。それは、きぃん(黍=きび)でした。娘は庭先に干してあ
る きぃんの種を見つけ、こっそり いたん(女性のパンツ)の中に隠し
持って来ました。こうして、数々の穀物の種を植え、徐々に島作りをして
いったそうです。
 
 ある日、娘は天の父に呼ばれ、「お前も年頃だから、相手を見つけ、子
孫を増やしなさい。これから島に降りて、最初に出会った者を夫にしなさ
い、決して外見にこだわるでないぞ」と言われました。
 
 娘は、さぁ大変なことになったと思って島に降り立つと、なんと小さな
男(神)に出会ったので、この男を夫にして宮古の人口を増やしていった
ということです。うすか(終わり)
 
 んきゃーんばなすには、私たちが想像つかないような話がたくさんあり
ます。今の若者たちは「アリエナーイ!」と言って相手にしないかも知れ
ませんが、私たちの先祖は、あらゆる体験をしてきたので、現代のCGに
も勝るような想像の世界を繰り広げることができるのです。
 
 次回は、みどぅん(女)が とぅなか(卵)を産んだ ぱなす(話)、
アリエナイ?ぴるます むぬや(不思議だね)

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おしらせ              松谷初美(下地・高千穂出身)

■『宮古島の民話百選』<下>発売
 
 昨年の夏に<上>が出版されて一年あまり。先月、さどやませいこさん
から『宮古島の民話百選』<下>が届きました。
 
 表紙には、おばあとお孫さんと思しき子どもが手をつなぎ、だいばん
(大きな)夕日を見ている姿が描かれています。(表紙や裏表紙、中の絵
もせいこさんが描いています)雄大な自然の中でかけがえのない時間が流
れている風景のように感じます。
 
 よく知られている「蛇と生き水」の話や「通り池の継子台」の話。「南
京虫とノミとシラミの話」などの うむっし(面白い)生き物の話。来間
で毎年行われている「ヤーマスプナハ」のお祭りのことが語られる「来間
の祭りのはなし」など、いろいろな種類の ぱなす(話)、50話が入っ
ています。
 
 せいこさんからのメッセージを紹介します。
 
  スマ(島)の宝、共有財産に! 
 昨年夏、<上>として出版しました『宮古島の民話百選』は、今回
 <下>の50話を追加することで完結いたしました。もちろん、宮
 古島の民話がこれだけというわけではありません。たくさんある中
 で、特徴的な話柄を紹介しました。いま、社会は宇宙から送られて
 くる電波を通して、情報手段が画期的に開発され、地球という星が
 一つの共同体のような感さえ受けます。ところが、未だ戦争が無く
 ならず、お互いの国が戦々恐々としているのはなぜでしょうか。文
 字を持たない頃から語り継がれている民話の豊かさを、多くの子ど
 もたちに伝えていけたら、と思っています。
 
 
 裏表紙は、せいこさんが30数年前に出会った話者の佐和田カニさんが
描かれていて、想いが伝わってきます。天国のカニさんも、ぷからっさし
て(喜んで)いることでしょうね。宮古の各地の話が一同に集められ、豊
かな世界を作り出しています。上下合わせてぜひ、ご覧ください。
 
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◇あの話をもう一度

「形見」(vol.186 2008/12/18)        R(平良・西里出身)
 
 靴に入ったお菓子とまりつき用のゴムまりが私が やらびぱだ(小さか
った頃)のクリスマスプレゼントでした。サンタクロースを見るため遅く
まで起きようと頑張ったのですが、一度もサンタクロースの姿は見ること
はできませんでした。
 
 それから40年余りの時間が経って、私は、母の入院していたホスピスの
病室の壁に20個の靴に入ったお菓子を飾りつけました。それはおばあーで
あるかあちゃんから んまが(孫)20人分のためのクリスマスプレゼント
でした。
 
 おとーの一周忌を間もなく迎えようとしていたかあちゃんは、「背骨に
癌がある」と診断され、子どもたちが過ごす沖縄本島に宮古から移ってき
ました。癌に冒され、ボロボロになった背骨に金具を添える手術をした後、
ホスピスでの療養生活を送りました。
 
 ベッドで動けない体になりながらも んまが(孫)や小さな曾孫たちが
来ると、何かあげられる物はないかと気にかけます。成人した んまが
(孫)が、ボーナスをもらったといってかあちゃんに小遣いを持ってきた
時もかあちゃんは、千円札に換えてもらい、んまが(孫)や小さな曾孫た
ちに配りました。
 
 そんな様子を見ていて、私から母へのその年のクリスマスプレゼントは、
んまがや曾孫たち用の靴に入ったお菓子にし、それを病室の壁に1個1個、
飾りつけたというわけです。
 
 看護師の皆さんもビックリするくらい賑やかな壁になりました。んまが
や曾孫たちが来ると壁から外し、母からのクリスマスプレゼントとして配
り、喜ばれました。
 
 母は、11ヶ月の時間をホスピスで過ごし、天国へ逝きました。
 
 母が死んだ後、私は、たうきゃー(一人)の時間があるとしばらく泣き
続けました。そんな私を見て、小学2年生だった娘が、どうして泣いてい
るのか尋ねてきました。
 
 「おじいちゃんの看病が終わって、おばあちゃんはこれから自由に過ご
せると思っていたはずなのに何もできないまま死んでしまったのがかわい
そうだ」と応えると娘は「そんなことないよ。おばあちゃんは、病院の看
護師さんたちを喜ばせてあげていたでしょう。おばあちゃんはちゃんと人
の役にたっていたよ。」と言うのです。
 
 思い出しました。その日の母の担当ではない看護師さんや介護士さんた
ちが、出勤するとまず母に会うために母の病室を訪ねて来るのです。皆さ
ん、母の笑顔に癒されるといって。
 
 娘の言葉に、寝たきりで何ひとつ自由がきかない体になり、下の世話ま
でやってもらっていた母が、人の役にたっていたことに気づかされました。
 
 おとーが亡くなった時は、おとーのことを知らなさ過ぎることに後悔を
覚え、ずっと繋がっていたいとの思いで、お正月におとーが着ていた着物
を形見としてもらいました。その着物から いみっちゃぬ(小さな)かば
んを作り、かあちゃんの棺に入れました。
 
 かあちゃんの形見は、私にかあちゃんの偉大さを教えてくれ、私を支え
てくれる娘たちです。そして自分自身が存在していることが、おとーと
かあちゃんと繋がっていることなのだと感じます。
 
 娘は、かあちゃんから最後にもらった千円札をおばあちゃんの形見だと
いって使わずにサイフにしまったままにしています。
 
 まもなく今年もクリスマスがやってきます。
 
 靴に入ったお菓子で飾られた病室の壁の風景と、かあちゃんの笑顔を思
い出しています。

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「わー(豚)とぅ白菜」        ワタリマリ(上野・宮国出身)
 
 冬がやってきた。内地に住んでいると、この時期晩ご飯は鍋で・・・と
なってくる。我が家もご多分にあらず今日も鍋と来た。その中でも夫が得
意なのが、わーとぅ(豚と)白菜鍋である。略して「ぶたはくさい」とい
う考えなくても白菜だけ切っておけばすぐできる。
 
 材料は、わーぬ(豚の)三枚肉、白菜、厚揚げとうふ、中華めん(乾麺
でも生でも)調味料もシンプル。水・酒・醤油・うまみがほしければ市販
のだしとなるもの調味料をあわせて火にかけ、沸騰したところへ(ここか
らが夫のこだわり)わーが先、次にとうふ、麺・白菜の順に入れる。白菜
がしんなりしてきて、夫の食べていいぞ!の掛け声でいただきます。この
掛け声までの待ち時間が結構長いのだ。
 
 この鍋の楽しみは何と言っても中華めんだ。ある時、宮古のそばと中華
めんは似ているからと宮古そばを入れてみた。結果みんなが皆、あわんあ
わんと口をそろえた。宮古そばは次から却下であった。
 
 でも私はあきらめない。味付けをなんとか変えて宮古そばを入れてもグ
ーとなるような、わーはくさい鍋を作ってみせるぜと口をとがらす。だっ
て宮古そばのつゆは、わーの出汁だから。
 
 煮えてくるのを待っている間にそんなうんちくを述べると、まったく料
理を分かってないと夫は言う。そもそもこれは沖縄料理とは別の味付けな
んだと。でも中華だ。と私も引かない。じゃあ中華料理と沖縄料理はいっ
しょか?と夫・・・ちょっと違うけれど気持ち的にはいっしょと私。
 
 っていうか「ぶたはくさい」は日本料理でも中華めんを入れたところで
もう立派な中華料理だ。でしょ?だから宮古そばってことにはならないと
私の主張はボツ。あとはそばをすすりながら別に中華だろうが和食であろ
うが沖縄であろうがとにかくおいしいね、と家族の顔はほころぶのだが。
 
 子が小さかったひと昔は、宮古を語れば熱くなる私と料理通の夫とで宮
古そばを前に戦っていた。わーぬ脂身は嫌いだの、白菜はもう少し小さく
だの、めんが固い、いや固いのがいいんだ、だのとテレビでしているよう
な家族で鍋を囲む風景があったがそれも今はむかし。ひっそりと素朴にふ
たりで、わーを食べている。
 
 二人になると途端に待ち時間が短くなった気がする。すぐ煮えてすぐ食
べられて、もともと会話が少なかったのにもうほとんどない。聞こえてく
るのは二人のすする音だけ。
 
 ポツンという「わーふぁいや」(豚をよく食べますねの意味だが、嫌味
っぽく)へ?と夫が眉間にしわを寄せる。少し笑いがあってもいいじゃな
い?うぷばたしゅう(腹デカおじい)。
 
 あれから宮古そばでの「ぶたはくさい」は忘れられているのだが、会話
を取り戻すためにまたやってみようか。
 
 と、タイミング良く宮古そばが送られてきた。では早速と今日の豚白菜
の麺は宮古そば。夫ももう文句は言わない。どう?「ん、あうねえ」。
どうやらずいぶんと味覚が変わったようだ。調子狂っちゃうなあ。
はい、これで会話うちきりです。
 
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「編集後記」                    松谷初美
 
 宮古での住所が決まって、やっとがま住民票を移しました。そして先日、
市立平良図書館に行き、利用カードを作成。カードをもらってびっくり!
男女が、ばそう ぎん(芭蕉の着物)を着て浜辺で踊っているかわいい絵
が描かれているのですが、描いたのはなんと、くま・かまライターの根間
(幸地)郁乃さん!オゴエ―。郁乃さんは絵の才能もあったんですね。平
良図書館の入口には、原画も飾られていました。図書館には、新刊本も
やまかさ(たくさん)!北分館は郷土資料が豊富ということなのでこれか
ら楽しみです。
 
 12月15日(日)は、よしもと南の島パニパニシネマで開かれた「AK
AAKAスライドショーツアー2014in宮古島」に行ってきました。赤々舎
(出版社)に関わりのある、11名(石川直樹さん、浅田政志さん、沖縄
出身の石川竜一さん他)の写真家の皆さんが来島され、スクリーンに映し
出された写真を本人が解説するという内容。宮古にこんなにたくさんの写
真家の方たちが集まるというのは、たぶん初めて!?(ありんこ文庫の池
城かおりさんが石川直樹さんと知り合いで実現したようです)。写真もす
ごかったですが、個性あふれる皆さんのお話もとても良かったです。なん
ともぜいたくな時間を過ごしてきました。
 
 さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?
 
 せいこさんの「創世神話」の話。女性が島を創ったというのは宮古らし
いというか、すごく納得しますね。黍を いたん(女性のパンツ)の中に
入れて持ち帰ったというのはとてもリアル。宮古のたくましい女性の象徴
のようでもありました。次回の卵を産む話も楽しみですね。
 
「宮古島の民話百選」<上><下>は、宮古の本屋や図書館でも手にする
ことができます。ぜひご覧くださいね〜。
 
 Rさんの「形見」の話は、クリスマスシーズンになると思い出します。
6年前に読んだ時と、実家の年老いた両親を つかふがま(間近)で見て
いる今では、言葉のひとつひとつがまた違う重みをもって感じられました。
年を取るということ、誰かの役に立つということ。考えさせられますね。
 
 出身が違うと味つけや材料・・・違うことありますよね。ワタリマリと
似たような経験、ばんまい ありさーい。(私もありますよー)。冷やし
そうめんのつゆの味の違いとかね。(笑)でも長年の間に好みは近づいた
りして。豚白菜に宮古そば、温まりそうですね。やってみようっと。
 
 今回の感想もぜひ、お寄せくださいね。
メールの宛先は、くまがみ。 kumakama@mbp.nifty.com
掲示板 http://6005.teacup.com/kumakama/bbsでも まちうんどー(待っ
ていますよー)
               ◇
 
 この一年も くま・かまご愛顧、たんでぃがーたんでぃでした。新年号
の「民謡特集」から今回まで、おかげ様で24回無事に発行する事ができ
ました。
 
 今年も感想の書き込みやメールなど、たくさんいただき、ライター一同
だいず、励まされました。読んでくださる方あってのメルマガです。感謝
申し上げます。すでぃがふー!今年は投稿が少なかったので来年はぜひ、
たくさんの方のご参加をお待ちしています。
 
 私事ですが、今年は宮古に引っ越しをするという大きな出来事がありま
した。九ヶ月が過ぎましたが、もう何年も前から住んでいるような気もし
ますし、なんだか信じられないような気持ちになったりもしています。
懐かしかったり、新鮮だったり。変動する時代の中にいるのは、宮古も同
じ。今年はバタバタの一年でしたが、来年は、宮古について、方言につい
て、じっくりと少しでも掘り下げることができればと思っています。
 
 次号は、来年1月1日(木)、宮古の植物で作った、生活用品や遊び道
具の特集を予定しています。どうぞ、お楽しみに!
かぎ正月をお迎えくださいね。あつかー、またや〜。
 
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   編集・発行  : 松谷初美
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