【映画とは、人生を2時間で切り取るものだ】。そんな視点からつづる、1000文字の映画コラム。いろんな映画をきっかけに、生き方について考えてみませんか。ありふれた日常のなかで、答えを探すあなたに、ぜひ。
映画のなかの人生…Vol.877「マネーボール」★★★☆
発行日:11/30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
_ ________________
Vol.877「マネーボール」★★★☆ 2011.11.30(水)
 ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【1】STORY
メジャーリーグの貧乏球団を地区優勝に導くため、GMは、
統計ベースで選手をかき集めるという、奇策に打って出る!
【2】Review
上司や部下、仕事と信念について、よく考えさせてくれる。
【3】Column
モノにはいろいろな見方があり、あとは信じるかどうかだ。
___________________________________________Money Ball
ブラッド・ピット主演で注目されている野球映画。
メジャーリーグの弱小球団が、データ野球で地区優勝を狙う!
と書くと、単なるスポ根映画になってしまうのですが、
事実をベースにしている本作は、そう単純にはいきません。
<オフィシャルサイト>
http://www.moneyball.jp/
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メジャーリーグの貧乏球団は、地区優勝まであと一歩に迫るも、
翌年は主力選手を引き抜かれ、戦力ダウンは誰の目にも明らか。
それでも優勝を狙うGMは、統計データをベースに、安い年俸でも
勝利に貢献できる選手をかき集めるが、現場の反発は強く…。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃2┃ Review
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ポイント】★★★☆
<内訳>
テーマ :★★★★
ストーリー :★★★
キャスト :★★★
スタッフ :★★★
本作はストーリーラインだけを追ってしまうと、
弱小球団が、知恵を使って下克上!になりそうなところ。
しかし、映画の焦点は、この戦略をあえて採用した、
球団フロントトップである男の生き様にある。
誰も採用しなかったアイディアを採用すれば、
当然、採用しなかった全ての人間は敵に回る。
それでも屈しなかった男の信念に、
この映画はスポットを当てており、
「人間はデータで分かるものじゃない」とか、
ありがちな「統計データの活用と限界」について、
ドラマティックに語るつもりはない。
なので、もっぱらブラピばっかり出てくる。
他の選手たちは、実録映像も交えているそうなのだが、
別にメジャーリーグファンでもない私にとっては、
あんまりどうでもいい話だったり。
助手のピートが、おデブで愛らしいのだが、
残念ながら、主人公の引き立て役としては、
活用し切れていないのが、少しツラいか。
とはいえ、信念を持った人物の戦略が、
次第に的中していく痛快さも利用しつつ、
そんなに退屈させずに130分を巧く運んでいる。
そして最後に、いろいろと考えさせてくれる。
ヘンリー卿の彼への評価は、監督自身の結論でもあるだろう。
ビジネスパーソンが、自分を振り返るヒントにするには最適か。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃3┃ Column
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
先般、亡くなったスティーヴ・ジョブズの逸話の1つに、
「市場データ等は一切見ない」というものがあるらしい。
「俺が欲しいモノが、皆が欲しいモノだ!」
それは彼が信念をもっていたが故の行動であろう。
一方で、この映画の球団トップ、ビリー・ビーンは、
そんなジョブズとは、まるで正反対にも映る。
彼は「長年の経験」と「直感」に頼る、
旧態依然としたスカウティングを一切無視して、
むしろ、データ本位で選手を選び、
安くても勝てるチームを作ろうとしたのだ。
球団にお金がなくても、優勝するために。
しかし、それは誰もやったことがないやり方だった。
球団のスカウト、オーナー、そして監督。
誰も理解しないし、むしろ呆れ、反発する。
連れてこられた選手も、理由を全く理解していない。
チームは壊れ、連敗し、誰もが自信を失う悪循環。
でも、ビリーはあきらめない。
監督が無理解なら、スター選手をぶった切る。
選手たちには自分からも声をかけ、理解を促す。
悪い雰囲気には、本気で怒鳴り、悪循環を断ち切る。
失敗したら、職を失うのに。
この球団は優勝できなくても、誰にも文句はないのに。
それでも彼は、貧乏球団の立場から、
本気で優勝を狙い、本気でデータに自らを託すのだ。
データを信じなかったジョブズと、
データを信じ切ったビリー・ビーン。
一見すると、二人はまるで正反対だが、
この映画を観れば、実は似ていると気づく。
世の中には、考え方はいくらでもある。
そして、成功法は誰も知らない。
データを信じてもいい。直感を信じてもいい。
お金が全てでもいいし、努力だけで生きてみてもいい。
あとは己の信じた道を、最後まで信じるかどうか。
誰とも違う信念を、最後まで信じ切れるかどうか。
信念がなければ、世界は変えられない。
もちろん、その信念が正しいかどうかは、
やってみるまで、誰にも分からないのだけれど…。
2011/11/29 新宿バルト9にて。
┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃4┃ 次回予告 ほか
┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他、筆者からのお知らせなどなど。
★これまでのバックナンバー…………………………………………
バックナンバーの紹介や新規登録などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。
http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)
メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
まぐまぐは途中からですので、あしからず。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.877 2011年11月30日
発行者:Ak. twitter: @eigastar
http://twitter.com/eigastar
(C)2001-2011 Ak. All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
最新の記事
このメルマガもおすすめ
-
Cinemaの王国
- 最終発行日:
- 2012/05/24
- 読者数:
- 320人
個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。
-
月刊アカシックレコード
- 最終発行日:
- 2012/04/11
- 読者数:
- 18082人
02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家が、政官財界の分析にも進出し、宣伝費ゼロで読者19,000人を獲得。2009年9月から月刊化。
-
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 最終発行日:
- 2012/05/24
- 読者数:
- 18761人
評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
-
こんな映画は見ちゃいけない!
- 最終発行日:
- 2012/05/24
- 読者数:
- 897人
映画批評系メルマガで読者数No.1! プロの編集者が簡潔な文章と的確な表現で書き下ろす「1分で読める新作映画批評」です。映画紹介だけのメルマガにはない「本物の批評」を堪能したい方だけご登録ください。
-
試写会CLUB NEWS
- 最終発行日:
- 2012/05/24
- 読者数:
- 1197人
全国の新作映画試写会情報を紹介している『試写会CLUB』に追加した新着試写会情報を、更新日の当日、または翌日午前中にリストにしてすべてお届けします。その他、新作映画公式サイト情報、壁紙情報等もお知らせします。



