日記・blog

マキブリ

マキブリ(MAKIGAMI BRICOLAGE の略)は、ヒカシューの巻上公一によるメールマガジンです。豊富な音楽経験による不思議声帯的エッセイ、イベント、CD、口琴、ホーメイ情報を満載。

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maki-bri マキブリ11号

2000/11/23

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       マキブリMAKIGAMI BRICOLAGE 
       11号        2000年11月23日
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------------------------目次--------------------------------------
お知らせ
声帯エッセイ「モスクワ声の旅」
ランゲージシアター 「リチャード・フォアマンの思い出せない演劇」
音楽NY通信■加藤英樹 <NY通信〜カーラ・ブレイの「4x4」>
巻上公一 最新スケジュール
------------------------お知らせ-----------------------------------
いよいよホーメイ・サイエンスの日が近づいてきました。
のどうたファン、口琴ファンは、
11月25日はお台場に集合してください。チケットまだあります。

オントロジカル・ヒステリック・シアター「バッドボーイ・ニーチェ!」
東京公演は大盛況のうちに終わった。
リチャード・フォアマン氏も上機嫌で、実に楽しい4日間だった。
その研究書「反響マシーン」勁草書房から発売されました。
そのプログラムに書いた原稿をランゲージシアターという新しいコーナー
に転載します。

ライブめじろ押しです。会いに来て下さい。

------------------------声帯エッセイ--------------------------------
「モスクワ声の旅」

宝示戸亮二は札幌在住のピアニスト。グランドピアノの中になんでも詰め込んでしまう。
発泡スチロールがはみでているピアノなんてそうざらにない。たくさんの鈴や意味不明
のものもピアノにつるされている。自作の寸胴な紙でできたクラリネットもピアノの中
に入っている。
演奏がはじまるーさらにピアノの弦にガムテープを貼ったり、つげの櫛をさしたりとい
う暴挙に出る。ピアノの音はびりびりしたり、ぽそぽそしたり普通の音から遠く離れる。
この男いったい何を考えているのか。ピアノの美しい音楽とその権威を愛している人は
この行為は直視できないだろう。宝示戸のピアノの愛し方は特別だから。かなり感情に
よった演奏である。思いっきり甘い抒情的な演奏から一転怒りの表現まで、その気持ち
を隠すことがない。
そんな不思議なピアニスト、宝示戸からモスクワで一緒に演奏しないかという誘いを
受けて、ぼくは一緒にモスクワとヴィリヌスに同行することになった。
このコンサートのオーガナイズはロシア文学研究者の鈴木正美さんがしてくれた。

5時間も遅れたアエロフロートに乗ってモスクワのシェレメチボ空港に着いたのは深夜
だった。ヴィクトールさんが出迎え。彼の猛スピード運転で、宿泊先のロシアホテルま
で30分で到着。普通なら1時間以上かかるそうだ。助手席に座った鈴木さんは「ひぇ〜」
と悲鳴をあげっぱなしだった。
ホテルから見える景色は素晴らしかった。ワッシリー寺院、赤の広場の真ん前のホテル
である。クレムリンガ一望できるのだ。

DOMというライブハウスは、ロングアームスというレーベルもやっているニコライ・ド
ミートリエフの店である。セルゲイ・クリョーヒンやデビッド・モス、サインホ、大友
などのCDを出している。白壁の広い箱形の空間で、小さなバーとCDショップがある。
ぼくらのコンサートはここで行われる。
ニコライは、白いあごひげが胸まである。で、頭はつるつるだ。
ニコライの凄いのは、演奏がはじまる前に彼が演説をすることだ。
演奏前、少し喋るから呼んだら出てきてくれと言われたので楽屋で待っていると、ニコラ
イは10分も喋っていた。
楽屋ではよくきこえなかったが、演奏者の詳しいプロフィールやその音楽的位置、どのよ
うな点が聞くべき点か、その意味などを語っていたという。観客はそれを聞きながらだん
だん期待が高まっていくとのことだ。そして、携帯電話は切ったかどうかを念入りにアナ
ウンス。タバコなんて吸うな、早くやめろとか、吸うなら外だとか、事細かに言うらしい。
そして、やっと宝示戸とぼくが登場。
ふだんソロばかりだった宝示戸が、自由度満点のぼくと組んだ。
ツアーはじめての演奏ということもあって、即興はかなり繊細に用心深く進んだ。気持ち
のいい緊張感。
モスクワの観客は真剣だ。特にここDOMに来る人たちは先鋭的な音楽が大好きだ。それに
ニコライの素晴らしい牽引力もあるだろう。集中力のある観客である。
この即興は、比較的短めに終わっていった。
その度に、割れんばかりの拍手が来る。手ごたえ上々であった。<つづく>

巻上公一


------------------------ランゲージシアター------------------------------
リチャード・フォアマンの思い出せない演劇

情報は波のように訪れる。
人々の感覚は鋭敏になったのだろうか。
人々は感覚を鈍化させて生きている。
考えなければならないときに考えられない。
考えることを蔑む人もいる。
ただ呼吸をするだけでいいのだろうか。
フォアマンじゃないが演劇が希望を失って久しいと思う。
ぼくは演劇が好きだったために、長い間悲しい思いをしてきた。
(でも、なぜそんなに好きだったのだろう)
1992年にリチャード・フォアマンに出会った。
その演劇は何か重要なことが語られているような舞台だった。
観客はその思考のプロセスにいやおうなしに参加させられる。
それは文学や映画にできない演劇にしかできない演劇。
この演劇はもうひとつのメインストリームなのだ。
なぜならそれは本当に必要とされているから。
見たこともない演劇を見たような気になるのは、
そこでしか機能しない出来事が起こっているから。
思いだそうとしても思い出せない演劇。
僕たちは本来、連続性のなかで生きているわけじゃない。
いろんな断片が頭のなかをかすめている。
多くの作家は、そういうものを排除することでひとつのテーマを伝えようとする。
フォアマンは断片が自然に入り込んできたらそれを排除せずに提示する。
彼はバラバラにばらまいてそれらが融合するのを見守っている。
テーマはポリフォニックに響きあう。
そして物語は挫折する。 
連続性のなかに真理を求めていると、わかった瞬間に真理がすり抜けてしまう。 
その意識の寸断が挿入されるプロセスに大切なものがあるということを
フォアマンはとてもよく見続けている。
ぼくにはフォアマンの演劇は、素晴らしい発明のように思える。
というのも、いまほど人々の意識とか思考とかが中断される時代はなくて、
そこに光を当てて、生きる力を与えてくれる演劇だからだ。
まさに過剰なエネルギーの塊。
美しい芝居、過激な芝居を観たいという人には向かないかもしれない。
奇妙な誇張された演技、手作りの美術。滑稽とも思えるムード。
それなのに頭脳を使うように仕向けられる演劇。
そして、繰り返される小さな音楽は幻惑的だ。
ブザーやチャイムは、セリフを音楽的に変容させる。
ぼくたちはフォアマンの作った特別な部屋に案内されたようなものだ。
実に不思議な音楽を感じる部屋。
これはやけにクセになる。
見知らぬ場所に立ったとき、その感覚は全方位からやってくる。
この記憶をどう伝えるのか。
きみとぼくの見え方は違うだろう。
その違いをどうみつけるのか。
いいチャンスが訪れた。
さあ、思いだして。

巻上公一

--------------音楽NY通信■加藤英樹 -----------------------------
<NY通信〜カーラ・ブレイの「4x4」>

僕にとってカーラ・ブレイとの音楽的出会いは、
チャーリー・ヘイデンの「リベレーション・オーケストラ」だった。
クルト・ワイルの音楽を彷彿させるカーラの編曲と作曲が強烈な印象を与える名
盤だ。

彼女の新作「4x4」(フォー・バイ・フォー)の発表にあわせて、
10月11日と12日の両日、ニッティング・ファクトリーにて、ライブが行わ
れた。
「フォー・バイ・フォー」はアルバム・タイトルであり、バンド名でもある。
編成は文字どおり、
ピアノ、オルガン、ベース、ドラムの4人のリズムセクションに、
トランペット、トロンボーン、アルト&テナーサックスの、
4人のホーンセクションからなる。
オルガン・ジャズ的なノリのリズム隊とホーンのメリハリが素晴らしく、
無駄な音がまったくない一方で、イベントが豊富で、実に楽しませてくれる。

カーラの作曲家、ピアニスト、指揮者としての統率力に加えて、
ベースのスティーブ・スワロー、トランペットのルー・ソロフ、
トロンボーンのゲリー・ヴァランテのソロが光る。
それぞれの演奏家が個性的で、
音を通じて「言いたいことを言う」という明るい態度が気持ちいい。
まさにジャズの王道だ。

CD「4x4」(WATT/ECM配給)の発売と前後して、
「トロピカル・アピタイト」などの旧作もCDで再発になり、
WATTレーベルのサイトも新規オープン。
アメリカでは全国ネットのラジオ局NPRでも彼女の特集が組まれるなど、
カーラの周辺は実に話題が豊富なこの頃だ。

関連リンク

ECMレコード:
http://www.ecmrecords.com/ecm/artists/572.html

WATTレーベル:
http://www.wattxtrawatt.com/

NPR(National Public Radio)サイト:
http://search.npr.org/cf/cmn/cmnps05fm.cfm?SegID=113362
(”Listen to Segment”をクリックして下さい。)

加藤英樹

---------------------スケジュール---------------------------------

●11月25日(土)
 ホーメイ・サイエンス
 『その声はどこから来たのか』トゥバ・ホーメイ歌唱の不思議に迫る。
    第一部 ホーメイのその声を探る
        クィルグィス・ゾーヤ、巻上公一 通訳:井生明
     第二部 アンサンブルトゥバ ホーメイコンサート
     メンバー ダンズィリン・アヤスオール(5種類のホーメイ)
        チャヤンホー・メルゲン(トゥバ伝統音楽演奏者)
              チョードゥ・ナチュン(トゥバ伝統音楽演奏者・ホーメイ)
              オールジャック・ションチャライ(女性トゥバ伝統音楽演奏者・ホーメイ)
 http://www.asahi-net.or.jp/~XF3K-MKGM/concert.html
 お台場 ライブハウスTRIBUTE TO THE LOVE GENERATION
 (ゆりかもめ台場駅より徒歩5分メディアージュ内6階)
  http://www.mediage.co.jp/TLG/
 問:TRIBUTE TO THE LOVE GENERATION(tel.03-5531-2024)
 日本トゥバホーメイ協会(tel.0465-63-0578,)

●11月26日(日)
 トゥバホーメイセンター所長クィルィギス・ゾーヤ氏初来日記念
 第一回 ホーメイ・サイエンス・セミナー
 テーマ『科学の目、わがままな耳、快楽する喉』
 場所: 早稲田大学国際会議場 第二会議室 
 午後1時より5時まで 研究発表・討議
 午後6時半より8時半まで ホーメイワークショップ
 *ワークショップのみの参加も可
 〔先着100名〕
 (予定は変更になることがあります)
   この日はコンサートはありません。
 問:日本トゥバホーメイ協会(tel.0465-63-0578)

●11月29日(水)
 ホーメイ・サイエンス仙台+森田稔先生
 エル・パーク仙台ギャラリーホール(141ビル6階)
 入場料金:全席自由 一般2,500円(当日3,000円)
 学生1,500円(当日2,000円)
   友の会2,200円(前売一般のみ)
 仙台市市民文化事業団022-268-9757

●12月1日(金)
   アンサンブル・トゥバ
 司会:等々力政彦
 大阪府・吹田市吹田メイシアター(阪急「吹田」駅下車すぐ;06-6380-2221)
    開演:19時00分 チケット:前売り4,000円、当日4,500円
    070-5502-3935(日本トゥバホーメイ協会大阪支部)

●12月2日(土)
 ホーメイ・サイエンス岡山
 ライブハウスモグラ
 午後5時30分から午後7時 
 講演:ゾーヤ・クィルィギス(音楽学者・トゥバ共和国ホーメイ科学センター所長)
   「トゥバのシャーマニズムとホーメイ」
 午後8時 国立トゥバ・アンサンブル ホーメイコンサート
 問 ザマーケット山本 086-255-1100

●12月3日(日)
 広島オーティス 巻上公一ソロ
     「声って最高! 素敵な口腔探検」

●12月4日(月)
 アンサンブル・トゥバ ―─アジア中央部からの歌声―─ 
    京都公演  司会:等々力政彦
  法然院 前売3500円 当日4000円
    070-5502-3935(日本トゥバホーメイ協会大阪支部)

●12月9日(土) 
 淡路夢舞台楕円フォーラム
 巻上公一 、おおたか静流、梅津和時、井野信義、サム・ベネット
  問合せ 0799-74-1066

●12月10日(日) 
 淡路夢舞台楕円フォーラム 
 巻上公一 、内橋和久 デュオ
 問合せ 0799-74-1066

●12月11日(月)
 新宿ピットイン ベツニ・ナンモ・クレズマー
 東京ナミィ出演

●12月13日(水)
 巻上公一(voice、theremin)with THERMO(君島live electronics、須藤ds)
 横浜ドルフィー045-261-4542
 午後7時
 桜木町より徒歩6分、日の出町より徒歩2分
 http://member.nifty.ne.jp/dolphy/index.html

●12月23日(土)
 ヒカシュー、大正九年
 渋谷ラママ
 『20世紀の終りに』パーティー

●12月29日(金)
 John Zorn's Cobra 2000
   20世紀最後のコブラ
 渋谷ラママ
 開場18:30 開演19:00
 11/29(水)よりラ・ママ店頭にて前売り開始
    問い合せ・電話予約 ラ・ママ 03-3464-0801
             【出演予定】
             有馬純寿 キーボード、コンピュータ
             磯田収 ギター
             一噌幸弘 能管
             イトケン ドラムス
             植村昌弘 ドラムス
             江草啓太 ピアノ
             川口義之 サックス
             菊地成孔 サックス
             栗原正己 リコーダー
             関島岳郎 チューバ
             四家卯大 チェロ
             知久寿焼 ボーカル
             原さとし バンジョー
             八木美知依 箏
             芳垣安洋 ドラムス
             渡辺剛 バイオリン

             巻上公一 【プロンプター】

●12月31日(日)
 京都南座 永六輔、巻上公一、田中悠美子

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