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航空事情 2010年11月29日号

発行日:11/29

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【メーカー・技術開発】

B787型 試験機火災、引き渡しは4〜6ヶ月の遅れか
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9日に起きたB787型試験機の火災に付いて、出火原因は配電盤に残され
た工具が原因になったと、22日付けのフランス、ラ・トリビューン紙が報
じた。配電盤はフランスのゾディアック・アエロスペース社がボーイング社
に供給している。また米国のメディアは24日、ワッシャーのような小さな
アルミニューム製部品が配電盤に入り込みシートを起こし、出火原因となっ
たと報じている。ボーイング社では異物が入り込まないよう配電盤を改造す
ると伴に、ソフトウエアを変更し電力の供給方法を改善するとされている。

ボーイング社は近く火災に関する報告をまとめるとされているが、出火原因
がほぼ特定されたことで、B787型一号機の全日空への引き渡しが、来年
2月から2012年まで遅れる可能性もあるとしたアナリストらの見解は、
4〜6ヶ月の遅れへと変わってきている。しかし不確定要因としては、まず
はいつ試験飛行が再開できるのか、そして今年12月の引き渡しが来年2月
に遅れる原因となった、エンジンや尾翼の問題がまだ解決されていないこと
などが挙げられている。

エアバス社 超大型機、需要予測を大幅に下方修正!?
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エアバス社のトム・エンダース最高経営責任者(CEO)は26日、ベルリ
ンでの経済会議で、「エアバス社はこれからの40年から50年間で、70
0から800機のA380型を生産すると見込んでいる。」と述べている。
エアバス社は最新の需要予測で、A380型やB787−8型など超大型機
の、2009年から2028年までの20年間での需要を1,318機と公
表しているが、エンダース氏の発言は大幅な下方修正となる。同じ期間の需
要予測としてはボーイング社が720機を予測しているが、エアバス社の市
場占有率を半分としたとしても、それをも下回る予測を示したことになる。

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【解説】

低コスト航空会社(LCC)の終焉
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海外のLCCが羽田空港に乗り入れを開始するなどで、2010年の日本で
はLCCが旋風を巻き起こしている。現在、世界の航空旅客の25%を占め
るとされるLCCは、今後45%まで成長することが見込まれている。しか
し米国では、2010年はLCCの終焉が始まった年になるだろう。米国L
CC大手のサウスウエスト航空は9月、同じくLCC大手のエアトランを買
収することを発表した。この買収をどう見るかは意見の分かれるところだろ
うが、サウスウエスト航空が事業を拡大するというよりは、エアトランがL
CCから撤退したと見るのが適切だろう。

現金と株式による14億ドルの買収価格が高いのか安いのか分からないが、
この買収はサウスウエスト航空が従来行ってきた事業拡大の手法とは少し異
なる。重複するのは19路線としているが、サウスウエスト航空とエアトラ
ンは約30の乗り入れ都市が重複し、サウスウエスト航空がB737型に機
材を統一しているのに対して、エアトランはB737型とB717型の2機
種を運航している。色々と整理しなくてはならず、そのコストも発生する。
割安でもない限り、サウスウエスト航空は買収しないだろう。

では、なぜエアトランはLCCから撤退することにしたのだろうか。景気が
回復すれば旅客需要も回復する。しかし、現在の経済構造は、景気の回復は
エネルギー需要の増加に伴う燃料価格の上昇を意味する。2007年の利益
が5,300万ドルだったエアトランは、2008年には燃料価格の高騰で、
2億7,400万ドルの赤字に陥った。手元流動性資金残高が3億ドルのエ
アトランには旅客需要が好転しても、必ずしも事業が安定化するわけではな
い。LCCのジレンマと呼ぶのか、LCCの限界がそこにある。

サウスウエスト航空は2009年に118万便を運航、1億130万人を輸
送し、米国の国内線では最大となっている。燃料価格が高騰した2008年
には、原油相場のヘッジ取引で11億ドルの燃料費を削減、2008年の第
3、第4四半期、2009年の第1、第3四半期には初めて四半期赤字に陥
るも、35年連続の黒字経営を続けている。大手他社が2008年に使用し
た燃料の20〜30%を平均1バレル100ドルでヘッジしていたのに対し
て、サウスウエスト航空は70%を51ドルでヘッジしていた。

さて、ではLCCは、航空会社は燃料費などのコストを抑えられれば経営が
安定化するのかと言われれば、残念ながらそれもありえない。出て行く資金
を減らすだけでなく、入って来る資金を増やさなくてはならない。売上を増
やす為、安易に新規路線を開設するLCCが多く見られるが、殆どが失敗に
終わっている。路線の開設や機材の導入・更新は慎重に進め、自社の営業能
力を超えないことが、無駄な投資を抑制することにつながる。予想や表面的
な数値ではなく、実態に即した事業計画を立案しなくてはならない。

安い運賃を武器に大手航空会社から旅客を奪うことで成長してきたLCCだ
が、既に大手航空会社の低コスト化が進んでいる。日本でも日本航空が一部
の機材で、子会社だけでなく本体でも客室乗務員が機内清掃を行うようにな
っている。コストの差が小さくなると、LCCに対しては大手航空会社が有
利になる。それは、大手航空会社はファースト・クラス、ビジネス・クラス
と、割高の航空券を販売し、売上を増やすことが出来るからだ。安売りだけ
では経営は安定化せず、様々な旅客が求めているサービスを幅広く提供する
必要がある。路線の拡大だけが市場を広げる手立てではない。

デルタ航空とノースウエスト航空、ユナイテッド航空とコンチネンタル航空
など大手の合併が進む中、LCCのビジネス・モデルは大手の旅客を取り込
む為、従来の何もないサービスから変化している。サウスウエスト航空には
空港ラウンジはないが、待合室の搭乗ゲート近くに特別エリアを設け、パソ
コン用の電源やUSBポートを設置し、機内ではインターネット接続を可能
にしている。また、ファースト・クラスも座席指定もないが、普通運賃の乗
客には優先搭乗で好きな座席を選ばせ、座席上の手荷物入れも十分な容量を
提供している。もはや大手と同質のサービスも提供している。

他に目を向けると、ヴァージン・アメリカは他のヴァージン・グループの航
空会社と提携関係にあり、サンフランシスコをハブ空港にファースト・クラ
スも提供している。ニューヨークを拠点とするジェットブルーも、前後間隔
の広い座席を設定、ルフトハンザ・ドイツ航空からの出資を受け入れ、アメ
リカン航空とは共同運航やマイレージ・サービスで提携している。海外では
アライアンスに加わるLCCも多い。サウスウエスト航空がアライアンスに
参加することは最後までないかもしれないが、路線網のハブ化も進み、日々、
従来型の大手航空会社に近付いていることは確かだ。

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規制緩和の神話―米国航空輸送産業の経験
ポール・スティーブン デンプシー 

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4535550654?ie=UTF8&tag=as777com-22

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【編集後記】

■また半年振りの配信となってしまいましたこと、反省しております。です
が、興味を惹かれるような出来事が少ないのも事実です。

■フランス政府は25日、エールフランス447便の第4次ブラックボック
ス捜索を、来年2月から着手することを発表しています。A330型の墜落
原因はまだ謎のまま大西洋に沈んでいます。発見され事故原因の究明が進む
ことを期待したいと思います。

■11月2日付けのモーニングスターに、「アナリストの視点(国内株式)
飛躍するスカイマーク、ようやく時代が追い付いた?」と題した記事が掲載
されていました。スカイマークが好調に見えるのは、機材の小型化(供給の
削減、着陸料など固定費の低減)がたまたま景気後退と重なり、機材の更新
で重整備費(4〜5年毎に1機当たり3〜4億円)が当面発生せず、燃料代
やリース料などドル建ての費用が円高の恩恵を受けている為で、たまたま時
代が誤解させているだけです。

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  1. もっと大声で言って欲しい、本質を突いていない評論家や識者が多過ぎる。
    素晴らしいコメントです。

     2010/11/29

  2. LCCに関する記事はとても興味深く読ませて頂きました。

     2010/11/29

  3. 量より質で勝負!
    間隔が空いても、良質な記事をお願いします。
    「低コスト航空会社(LCC)の終焉」は、
    更に研究・分析が必要とは思いますが、現時点
    での切り口としては、とても興味深いです。
    今後もフォローして頂ければ、有難いです。

     2010/11/29

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