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歌お!かねひろマガジン

みんなのうた「象だゾウ」の作者、かねこひろゆきの音楽エッセイ。

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歌お!かねひろマガジン 275[どくとるマンボウの思い出]

2011/11/03

先日、作家の北杜夫さんが亡くなられた。
心よりご冥福をお祈りする。

そこで今回は予定を変更して、どくとるマンボウこと、
北杜夫さんの話を書く。

さて、

私はビートルズに出会うより前に、北氏の本を読んでいる。
それもかなり深くはまっていた。
当時、北杜夫はそれはそれは大人気作家であったから、
高校くらいになると、誰もが読み出したものである。
文学が苦手でも、どくとるマンボウシリーズはエッセイなので
すらすらと読めるのである。しかもすごく面白い。

つらつらと考えてみると、私の書く歌の源流は北杜夫著の
「どくとるマンボウ航海記」にあるような気がする。

この本は、北氏がまぐろ漁船にドクターとして乗り込んだ体験を
綴ったエッセイである。
本がみつからないので、記憶に頼って書くが、
その冒頭で、海に出た作者が「たちまち1編の詩のごときもの」
をひねり出すくだりがある。その詩とは、

ああ、これは海だ 
海というものだ
その水は、塩分に満ちている

と、いうようなものであった。
(細かい字句や、句読点は違っているかも知れない)

これを読んだ瞬間、私は大笑いをしてしまった。
と、同時にひどく感心もしたのである。
ごくごく当たり前の事象を、あらためて「詩」のごとく
書き記すことで、生まれる可笑しさ。これだ!と思った。

本来「詩」というものは、主観のカタマリである。
しかし、それは読者にはどうでも良いことであって
「それがどうした?」と言われたら、おしまいなのだ。

しかし前述の海の詩には、誰も反論できない。
なんとなれば、海の水が「塩分に満ちている」のは
まぎれもない事実だからである。

この精神で私が書いた歌がいくつかある。
たとえば、ポンキッキーズ用に書いた
「年に一度は誕生日」という歌がある。
タイトルそのまま、
「誰にでも年に一度は誕生日が来るね!」という
ただそれだけの歌である。

あるいは売れなかったが、「一世紀は百年」という歌も
あった。

はたまた、キッズステーション用に書いた
「ぼくのおじいちゃんはふたりいる」も
事実そのまま系の歌だ。

短編になるともっと沢山ある。

「市川と立川は、似てるが違う場所」とか

「半分食べても、全部食べても、ハンバーグ」とか

「友達みたいな名前だね、トムヤムクン」など。

これらの歌の面白さのポイントは「落ちがない」所だ。
正確には「落ちがあると思ったら無かった」という事に
なろうかと思う。

「落ち」のある歌は、爆発力がある反面、効力は1回限り。
ライブで1回歌ったらおしまい。
音源で繰り返し聞きたい人などいない。

一方落ちの無い歌に必要なのは、ギャグではなく、
ユーモアなのである。

そして、北杜夫作品には良質のユーモアが満ちていた。
どくとるマンボウシリーズはそれがわかりやすい形で出ていたが、
小説にもユーモアの資質は遺憾なく発揮されていた。

また、マンボウシリーズに「ドストエフスキーのどす黒いユーモア」
などと書いてあると、おおそれは!と、ドストエフスキーを
読んだりもした。

という訳で、私の歌のベースにあるユーモアは北杜夫直伝なのだ。

最新作「ダスターDのテーマ」もユーモラスな歌になっている。
この歌は、千葉テレビで絶賛放送中!
なんと、DVDも出ているそうだ。しかしどこで入手できるのか、
ネットで探ってもよくわからない。

興味のある人は、千葉テレビにお問い合わせ下さい。
どうぞよろしく。

次回は、モーニング娘。のプロモビデオを見直す企画の
第二弾だ。お楽しみに。


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