お酒・ワイン

蔵元日記

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蔵元日記【銀座獺祭ストア】

2016/11/28

もうすでに日経や朝日で報道されましたからご存知の方も多いと思います
が、獺祭は11月23日より東京銀座5丁目に路面店としてストアをオープンさ
せました。飲食がメインではなく、あくまで販売にフォーカスした店舗で
す。

https://www.asahishuzo.ne.jp/barstore/ginza.html

目的はあるがままのスタイルで獺祭を実際に手に取れる場所を作りたいと
いうことです。しかもそれはわかりやすい場所でということです。

どうしても酒販店さんなどですと飲食店などの業務筋が販売の主軸になる
ことが多く、百貨店さんなどでも店頭の品切れに泣いてきました。そうす
ると一般のお客さんから「何処に行ったら獺祭は買えるの?」という問い合
わせが酒蔵に来ることになります。

「お前のところの供給が少ないからだろう」と怒られるのですが、増産体
制が整って分かったもう一面の真実は、ご発注いただけないと私どももお
取引先に出せないということです。ところが酒販店さんも百貨店さんもバ
イヤーは数多い銘柄を扱っていますから、獺祭の品切れだけに気を付けて
いられないというのが現状です。また、中には意図的に品不足を煽って抱
き合わせ販売につなげようという店も。だから「増産しても店頭での品不
足は解消されないというジレンマに陥る」という現実に直面しています。

また、在庫期間の長期化も問題です。ある一時期、各酒蔵が「吟醸酒は長
期保存してもワインと同様に悪くなりません」というセールストークを繰
り返していました。そんなこともあって、とんでもなく古い獺祭が出てく
ることがあります。ある取引先の試飲会で2年前の磨き二割三分が試飲用
として出ていました。当然、三割九分や50などの下位商品のほうが品質
が良いのは当たり前です。

お客様から「なんで他の獺祭と比べて、二割三分はこんなに美味しくない
んですか?」と聞かれて、試飲会の席上で主催者であるお取引先の品質保持
の欠陥を指摘することはできませんから、往生したことがあります。

後日、ソフトにその酒販店さんに伝えましたが、少なくとも試飲会に来ら
れたお客様には「獺祭磨き二割三分はこんなお酒」という認識が刷り込ま
れたと思います。

このあたり、「ちゃんとお取引先の教育をするのが酒蔵の務めだろう」と
いうことも重々わかっておりますが、もぐらたたきのようなところもあっ
て、後手後手に回るのが現実です。

ちゃんと美味しい獺祭をご紹介できる場・モデルショップを作りたい。そ
うすることによって、全国の獺祭のお取扱店にとってもきっと追い風にな
る、そんな思いです。

そんなことから銀座店のオープンを決断しました。それと同時に、やっぱ
り日本のブランドの中心・銀座に日本酒の直営店を開くということも意味
のあることと思っています。ともすれば縮み志向の日本酒業界ですが、日
本酒というのは楽しむものです。であるなら、華やかに楽しく美しくある
ものでなければなりません。

その意味では銀座というのは最高のチョイスと思っております。

また、すでにご存じかと思いますが、来春にはフレンチの神様、世界中に
ミシュランの星を通算32個持つという、あのジュエル・ロプション氏と
共同出資でパリのサントノーレに獺祭・パー・ジュエル・ロブションを開
店します。

これも同じ意味で、銀座が日本をにらんでというならパリ店は世界をにら
んでということです。

実はこの話も日本酒にとって大きな意味があります。近年、「料理に合わ
せるには日本酒はきれいすぎる、もっと癖のある日本酒を」といわれるこ
とが多かったのです。「大吟醸は飲みやすい。ワインでも飲みやすいワイ
ンは子供っぽいものといわれる。したがって飲みやすい大吟醸は子供っぽ
い飲み物で世界には通用しない」という方もいらっしゃいました。そんな
意見を受けて、中には「ワインになりたいのか君は」みたいな日本酒も目
についていました。

しかし、獺祭はそんな風潮に背を向けて、純米大吟醸のきれいさの奥にこ
そ奥深さや広がり・複雑さがあると、まっしぐらに山田錦を使った純米大
吟醸の美味しさを追及してきました。これだけ旗色を鮮明にすると皆様か
らの風当たりも強かったのですが。

そんな獺祭にあのジュエル・ロプション氏が手を組もうといってきたので
す。つまり、優れた日本酒にしかありえない、繊細で美しくしかも料理と
敵対せず寄り添い包み込む、そんな日本酒の特徴を彼が認めたんです。

しかし、これだけ華やかな話題が続くと、なかなか厳しい指摘も多くて、
本日のネットの書き込みなど見ていますと、

・獺祭も落ちたなぁ 昔は頑なに取引のある僅な酒屋にしか卸さなかったの
に、最近は量産体制が整った為か酒量販店でも売るようになってしまった 
後を追うなよ○○○

・獺祭ブームがかなり前に終わったと思うのだが土地代が高い銀座とかパ
リに出店して大丈夫 

・レアな酒が商魂たくましくなるとダメになる

・獺祭バブル崩壊は思ったより早いのかも。関係ないけど、個人的に岩国
の酒は○○が好き。

・最後の足掻き? 獺祭を特別上手いと感じた事なし。 他にも上手い酒は
星の数ほど有るしね〜

・獺祭ってそこまでお金だす価値ある酒か?って思う、ブランド力は付い
たけど、こう言うのってあまり日本酒飲まない人が飲むから、流行りがあっ
て流行りが去ると…

・ブランド力は付いたけど、日本国内では流行りものでしか無いので…し
かも、高級店=銀座と言う田舎者の発想www

まあ、散々な言われようなんですが、、、うーん、こういうの見ると、や
る気になるなぁ。倒錯してるんですかねぇ、私って???

最後に、
この中に書いたお取引先の姿は全お取引先の中のわずか1%です。でも、そ
の1%が真っ白なキャンバスを灰色に染めてしまうんです。でも、これが現
実だと嘆いていても仕方ないので、工夫して改革して、、、悪あがきを続
け続けるつもりです。

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創刊日:2001-01-30  
最終発行日:  
発行周期:第1・第3金曜日  
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  • 名無しさん2016/11/29

    獺祭の一本を手にしたお客様は、美味しい獺祭が飲みたくって購入します。

    蔵元も販売店も何千何万本の中のたった一本が不味いお酒になったとしても残りのお酒が美味しければ良いと思ってはいけない。

    お客様にとっては、飲むのを楽しみにしている一本だから全ての獺祭が美味しいお酒であってほしい。

  • 名無しさん2016/11/28

    2ちゃんはじめ、ネットの悪い風評なんで気にする必要は無いと思います。書いたやつらに言いたい「あなたはそうやって評価できるほど獺祭を飲んだことが有るのですか?」

  • 名無しさん2016/11/28

    先日の熊本での獺祭の会に参加しました。お世話になりました。福岡在住ですが、私の周りでは獺祭の評判は良いですよ!これからも斬新なアイデアで業界を引っ張ってください。

  • 名無しさん2016/11/28

    頑張って下さい。応援しています。銀座店も行ってみます!