お酒・ワイン

蔵元日記

毎月第1金曜日と第3金曜日に酒蔵の出来事など楽しい記事をメールマガジンでお送りします。

全て表示する >

蔵元日記【お楽しみはこれからだ】

2013/01/07

 
今年度の山田錦の昨年春における予約数量は4万3千俵。ところが、入荷し
た数量、またこれから入ってくるであろう数量は、合わせても予約数量より
はるかに小さく、とても当初製造計画に間に合うものではありません。

理由は、山田錦が今年不作であった事です。頭を抱えております。新蔵も完
成し、今年は皆様に品不足のご不便をかけないようにできると考えておりま
したのに、今年も全てのご注文には応えきれない見込みです。

「お楽しみはこれからだ」と副題に掲げてこれはないだろうといわれそうで
すが、もう少し私の話を聞いてください。

今年、完成した二号蔵と一号蔵・本蔵合わせますと2万石の製造能力、その
時使用するであろう山田錦の総量は8万俵。今年の入荷数量との間に4万俵
以上の差があるわけです。全国の山田錦の総生産量は30万俵程度と考えら
ますからその1割以上の数字をこれから数年間にかけて買い進んでいかなけ
ればいけません。

しかし、山田錦が最も沢山作られていた1990年代は40万俵をはるかに
超える数字を生産していました。しかも、その時は兵庫県に栽培が偏ってい
ましたが、今はかなり他県に広がっています。だから実質的に生産可能な能
力は45万俵を超えそうです。つまり、いくらでも増産能力はあると踏んで
いました。しかも、恒常的な米余りで、日本は困っているわけですから。

ところがそうでもない現実にぶち当たってまいりました。

先日、ある省庁の偉い方が視察で私どもの蔵に来られました。「米が足らな
くて酒の生産が間に合わない」という私どもの話を聞いて、「この時代にこ
んな話があるのか。日本の農業にとっていい話だ」というよろこびの言葉を
頂きました。

しかし、数日後、その時、一緒にお付きでこられたその省庁の県事務所の方
から、「お話を受けて、早速、内部で諮りましたが、酒造組合や関係機関・
生産団体とよく相談しなければいけないという結論に達しました。」という
ご返事を頂きました。

思わず、「それって何もしないという事ですね」と返してしまいました。
電話の向こうでむっとしている相手の雰囲気が伝わってきましたが、我慢で
きません。

そのあと、もう少し上の方から、それなりに前向きなご返事を頂きましたが、
難しいことに変わりはないという内容です。

どうやら、獺祭は、ここまで順調に伸びてきましたが、日本というシステム
そのものにぶつかったようです。全体では「売れない」「売れない」と嘆い
ているのに、末端細部では需要に応えない。だからこそ、全体として売れな
い。その点を突き破ろうとするとセクショナリズムの厚い壁にぶつかる。

細部の都合を積み上げた結果、みんな分かっている全体の都合と反対に回っ
てしまう。

しかし、これをぶち破らなければ明日はありません。但し、同業他社に回る
山田錦を、数の力を頼んで、こちらにとってしまうなんてことは無意味なん
です。これはきれいごとじゃなくて、獺祭を販売する上で他社の顧客を喰う
という事と一緒で、一時的には良い目を見る事が出来ても長期的には根本的
な問題が解決されませんから、結局、衰退するだけ。

とにかく、山田錦の収量を増やしていかなければどうにもなりません。山田
錦は一般の米に対して1.5倍以上の価格の米です。こういう売価の高い米を
増産するところにこそ、農家も幸せ、酒蔵も幸せ、もちろんお客さまも幸せ
になれる道があると考えています。なぜなら「需要があって足らない」わけ
ですから、みんな良いはずです。

誰も不幸にならない、ただセクショナリズムの中にあるいくつかの部門が少
しきしむだけ、本当の不幸ではない。しかし、壁は厚そうです。だからこそ、
旭酒造にとっても挑戦し甲斐のあるチャレンジです。また、これを読んで自
分のところでも山田錦を作ってみようという農家の方がいらっしゃったら声
をかけてください。但し、やる限りは10年やるつもりでお願いします。
うちも「今年は買うけど来年は・・・」なんて言いません。

「お楽しみはこれからだ」
旭酒造の挑戦を見ていてください。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2001-01-30  
最終発行日:  
発行周期:第1・第3金曜日  
Score!: 93 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2013/01/07

    このメルマガをfacebookでshareしたいくらいなのだが…