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蔵元日記

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蔵元日記【人材募集】

2009/10/04


蔵元日記【人材募集】
 

2011年4月以降の新卒の新入社員募集を再開いたします。つまり、
再来年以降の大卒か専門学校卒の新卒予定者が対象です。募集の部門
は製造も業務も営業も全ての人材を募集します。募集人員は若干名と
します。選考は少なくとも一年以上かけて旭酒造の現場も見てもらい
製造研修や面接も何度かさせていただき、旭酒造との相性・適正を見
た上で判断します。
 
せっかく応募いただいても涙を呑んでお断りせざるを得ないこともあ
ります。学力だけではないとご理解ください。しかし、「日本酒が好
きだから」とか情緒的な衝動だけで希望されても「好き」と仕事は違
いますからお断りすることになると思います。私どもも入っていただ
くからには最後まで「旭酒造に在籍してよかった」と思っていただけ
る処遇を目指します。反対に、であるからこそ選考が厳しいのはその
ためとご理解ください。
 
また入社いただいた後は、あくまで製造ありきの旭酒造ですから少な
くとも3年は製造現場に従事してもらう予定です。その後、個人の適
性を見ながら諸部門に配置予定です。
 
つまり、「教科書どおりの純米大吟醸造り」を標榜し、地酒の世界で
珍しい「マニュアル」「基準」という規格にのっとった旭酒造の製造
システム。その上で、さらに、「その先」を目指して神業の世界に踏
み込んでいく。技術や理論も理解していただかなければいけませんし、
その先に技術や理論だけでは解析しきれないものがある。そんな旭酒
造の酒造りの技術と心を感じ取れない限り旭酒造に在籍する意味がな
いと思うからです。
 
旭酒造はこの25年のうちに売上金額からみれば10倍に成長しまし
た。酒造業界には売上を伸ばさないことを美風とする考えもあります。
しかし、まったく成長しないとするなら、そこに働く従業員の給与は
現状のままでずっと抑えるか、正常な組織である限り当然あるであろ
う能率の向上とともに従業員をリストラせざるを得ないと思います。
 
旭酒造はそれを良しとしません。無理な売上の伸張は必要ないが健全
な成長は必要であると考えてきました。おそらくアルコール業界では
ボルドーのワイン業者がはじめたのが最初と思いますが、いわゆる「
幻」戦略と称される「商品の供給を搾り市場に枯渇感を生み出して自
社商品のブランド力を高める」という売り方と一線を画して来ました。
地酒原理主義の方が旭酒造に抵抗を感じる大きな原因の一つでしょう
が、マーケットを販売テクニックで弄ることはしません。その結果が
この25年の成長と思います。
 
私どもは旭酒造に在籍してくれている社員たちのためにも、ともに努
力してくれる酒販店のためにも、何よりご愛顧いただいているお客様
の要望に応えるためにも、これからも成長していくつもりです。と、
いうことは今までと同じ10%成長を続けるとすれば今から25年先
に現状の10倍の百億円強に拡大します。この旭酒造の将来像を無理な
く受け止められる組織と人材が求められます。
 
つまり、経営者としての私はその組織と人材の準備をし始めなければ、
従業員・お取引先・お客様に対して責任を果たすことになりません。
 
そのときには酒質がこの程度でいいとは考えられません。更なる品質
向上が求められます。でなければ生き残る価値はない。と、なればさ
らに向上した製造組織、イチローのようにより高い目標を目指して、
自ら問題点をあぶりだし、自ら解決する能力を持つ、より進化した組
織とスタッフがなければこの先に進めません。
 
また、売上構造は大きな変化をしなければならないでしょう。最大百
億を超えるボリュームの売上を日本市場だけで消化しようとするなら
当然大きな軋轢を国内で生みますから。
 
今でも、ある一定以下の人口規模地域の酒販店様からお取引依頼が来
たときは悩みます。お取引先に一定以上の売り上げをお願いする獺祭
のお取引形態ですと、守ればその市場のバランスを崩す、守らなけれ
ば獺祭の取引形態そのものが崩れ始める。結局、お断りすることが多
々あります。
 
つまり、これだけの売上げを全て国内で売るということは、それでな
くても厳しい国内の地酒市場を勝者無しの過当競争により引き込むこ
とです。それは、地元で弱肉強食のシェア競争に弾き出されたがゆえ
に、今の大都市市場の中の少数派マーケットである純米大吟醸市場に
特化するスタイルになった旭酒造としてはあまりやりたくない「覇道
」といえます。
 
競争は適当なものであれば日本酒の発展のために必要なものであり逃
げるものではありません。しかし、地方のような狭小市場で出口なし
の競争が続けば「悪化が良貨を駆逐する」状態になり、結果として歪
んだ形の酒が残ることになり、決してそれはお客様のためにはなりま
せん。現に、私どもの地元で最大の売り上げを誇った酒蔵はその後倒
産してしまいました。後には過当な低コスト化による低品質と消費者
不在の商習慣しか残りませんでした。
 
と、なれば、おそらくその時点で海外売上のパーセンテージは、私の
よく言う「できるだけ早い時期に海外売上を全売上の50%に持って
いく」という目標をはるかに越えて70%程度ではないかと推測しま
す。その程度の海外バランスになっていなければ旭酒造は先ほど述べ
たような、他者を叩き潰したり引きずりおろす「覇道」を行くアグレ
ッシブな酒蔵にならざるを得ません。
 
しかも、この時点での世界市場が現在のようにアメリカ中心とは考え
られません。おそらく、ヨーロッパはもっと大きな経済規模になって
いるでしょうから無視できません。何より、中国・韓国を含めてアジ
ア一帯が今の国内市場における九州や四国程度の感覚で俯瞰できない
とこの売上は想像できません。
 
また、もしかすると、アルコールと健康という切り口からまったく新
しい事業分野に踏み出しているかもしれません。(私たちはお客様の
健康を無視して、ただ大量に飲んでいただければいいとは考えていま
せん)
 
つまり、そういう想像ができる人材のそろった組織で無いと、たとえ
神風が吹いて一時的には今以上に売り上げが伸びたとしても維持はで
きません。したがって、変な言い方ですが、今のままで行けばある程
度の成長はするだろう。しかし、その成長はそれを維持できる仲間が
人材としてそろっていないと実現不可能なイリュージョンに過ぎない。
そして、私は現在ともに努力してくれている従業員のためにも年毎の
安定した成長を目指す使命を与えられており、そのためにはより優れ
た人材をさらに求めています。
 
一緒に「獺祭」を担いでがんばってみようと思う方はぜひ考えてみて
ください。

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創刊日:2001-01-30  
最終発行日:  
発行周期:第1・第3金曜日  
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