政治・経済

チホウ政治じゃーなる

「民主主義の学校」と呼ばれる地方自治には、不思議なことがいっぱい。そんな誰もが知れば呆れる「知呆」な「地方」の政治の話を樺嶋秀吉が独断で報告。

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チホウ政治じゃーなる vol.332

2006/04/24

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【チホウ政治じゃーなる】  ■■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■■ ■ ■
 vol.332 特別号      ■   ■■■ ■ ■■■ ■ ■ ■ ■
 2006/4/24 発行      ■■■ ■ ■ ■ ■ ■ ■■■ ■■■
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  知れば誰もが呆れる「知呆」な話題や、思わず褒めたくなる「知褒」な
  出来事を地方紙や地方版から探し、報告する地方政治ミニ・ニュース。
  この号の配信部数は合計3,639部でした。 http://www.kabashima.com/
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      政治家、公務員、都道府県別「ひどさ」を総検証!
        民主主義のコストについてとことん考える
          『「税金ムダ喰い」のカラクリ』
 樺嶋秀吉著 光文社ムック(光文社刊) 定価(本体952円+税)
  内容紹介はこちら→ http://www.kabashima.com/pr/zeikin.html
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発行人より
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●注目の衆院千葉7区の補欠選挙で民主党の太田和美氏が当選しました。テレ
ビや新聞はこの結果を「小沢効果」と呼ぶのでしょうか。メール問題で低落し
た民主党支持率を回復させた功績はたしかにあったでしょうが、この補選自体
はタマ(候補者)がよかったのと、無党派層を取り込む選挙戦術が勝因だった
と、小沢嫌いの私は思います。ちなみに、「タマがよかった」というのは事前
の世論調査で30〜50代男性の支持率がダントツになるような候補者という
意味においてです。小泉首相に一泡吹かせることはできましたが、こんな選挙
をやっていて民主党は本当に政権が取れるのでしょうか。


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コラボ vol.32 ■ダイジェスト■           2006-4-01
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[インタビュー書評]
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01:主張する本――『入札改革――談合社会を変える』
             (武藤博巳著/岩波新書/2003年12月刊)
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宮川純一 Miyakawa Junichi 編集者

★談合自体はなくならないのか?★

 談合とはなにか。それを知るためには、まず入札制度を知らねばなるまい。
入札とは、国の場合では会計法、地方自治体の場合は地方自治法にその規定が
ある。地方自治法の規定を借りれば、(1)一般競争入札(2)指名競争入札
(3)随意契約(4)せり売り――という4つの方法によって契約を締結する
制度である。 

 本来は、一定の基準を満たせば、原則として誰もが参加できる「一般競争入
札」が基本とされている。しかし、現実の問題では、(2)と(3)の2種類
が多用されている。

 しかも、公正な調達がされるべきところが、さまざまな民間業者と行政との
間で、あろうことか談合が「ばれにくく、やったほうが得」とばかりにまかり
とおっているのが現実のようである。

 談合はなくならないのか。著者の武藤教授は答える。
「談合を世の中からすべてなくしていくのは不可能かもしれません。しかし、
橋梁談合や今回の防衛施設庁談合事件に見るように大手企業や役所が絡む“反
社会性の高い談合”はなくしていかないといけません。手続き、制度を変えて、
談合をなくすように努力していく必要があるのです」

★地方自治体における入札の現状★

 現在、談合を防止するために制定されている法律は、独占禁止法のほかに、
入札契約適正化法(00年成立)、官製談合防止法(02年成立)などがある。
しかし、現状は厳しい。

「実際の自治体の現場では、例えば建設部門でも、自分たちで適正価格、積算
ができず、業者が入っている状態です。そこで、昨年3月に公共工事の品質確
保に関する法律(品確法)が成立し、4月から施行されたのを機に都道府県の
レベルで市町村を支援する入札のコンサルティング的メカニズムを作ろうとし
ていますが、去年の8月にようやくガイドラインが国でつくられたというレベ
ルでいまだ機能しているとはいいがたい」という状態だ。

★入札に市民が参加した鎌ヶ谷市★

 千葉県鎌ヶ谷市は02年に起こった市長・助役の贈収賄での逮捕という不祥
事を経て、入札・契約制度検討委員会を設置した。市議会も入札制度に関する
調査特別委員会を設置して、改革案を練ることになった。

 そのプロセスに市民を参加をさせた点が特長的である。学識経験者、建設業
協会代表、市職員のほかに公募した市民委員3人、市政モニター2人が参加し
て改革案をつくり上げたという。業界や制度になじみがない市民に対する事前
準備の苦労はあろうが、「役所の常識は世間の非常識。市民はそれが変だとい
う感覚がもてる。役所の常識が一部通用しなくなるように社会の常識が役所の
中に入っていくのが公募のメリット」と著者も評価する。

★進化・分権化する入札制度★

 本書では、これからの入札のあり方として、総合評価入札制度を詳解してい
る。いうなれば、単なる価格入札からの脱却なのだが、ここに談合防止のヒン
トがあるという。

 ただし、武藤教授は、この方式をさらに発展させた政策入札の導入を提唱し
ている。つまり入札の評価基準に社会的価値を導入して、企業に社会的責任を
促し経済的誘導策とする発想である。そこで提唱するのが、(1)環境への配
慮(2)福祉(障害者雇用等)(3)男女共同参画(4)公正労働――の4つ
の要素である。

 武藤教授の話では、大阪府や岐阜県ではすでに実施されているし、最近でも
佐賀県で障害者雇用達成率を入札基準に入れて点数化することを知事が宣言し
たとのことである。ここでいう障害者雇用達成率は「障害者の雇用の促進等に
関する法律」に根拠があることから、客観的指標として取り入れやすい。

★社会的価値を追求するしくみづくり★

「私たちの社会は価格だけでものごとを決めているのではありません。『価格』
よりも『社会的価値とはなにか』を考えるようなしくみを、えらい人が決める
のではなく、みんなで考えるのです。そのプロセスをつくるのが地方自治です。
入札制度を考えることとは、社会的価値を追求するしくみづくりに他ならない
のです」と武藤教授は強調する。粉飾、偽装、偽計ばやりの今日、この主張は
きわめて貴重である。


[寄稿]
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02:公益法人制度改革……スロバキア編
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茶野順子 Chano Junko 笹川平和財団・笹川中欧基金室長代行

★寄付への優遇制度を失ったことがスタート★

 2006年3月3日、スロバキアの首都ブラティスラバにおいて開催された
「公益法人に関する国際会議」で日本の公益法人制度について発表する機会を
得た。

 この国際会議はスロバキア財団協会とオープンソサエティ財団の共催による。
なぜ、いま、公益法人制度なのか。これはエストニアに続いてスロバキアで成
立した所得税に関わる flat rate tax と深い関係がある。

 19%を一律の税率とする制度が成立して2年が経過したが、税制の見直し
に際してすべての優遇制度が廃止された。それまでスロバキアでは個人、法人
による寄付金控除の制度があったが、他の優遇制度と同様に寄付への優遇制度
を失ったのである。

★パーセント法は資源獲得の有効なツール★

 一般的にスロバキアを含む中欧諸国(ポーランド、チェコ、ハンガリー、ス
ロバキア)では寄付文化は根付いていないといわれている。ただし、西側から
の援助(国、民間を含む)が激減してから、これらの国々の非営利セクターは
国内のリソースに目を転じつつあった。企業の社会貢献といった新しい言葉が
市民権を得つつあった矢先に寄付の優遇税制が廃止されたのであった。

 残された数少ない資金獲得の方策の一つが、02年にハンガリーについで成
立したパーセント法であった。同法によってスロバキアの個人納税者は、所得
税の2%相当額をみずからが選んだNPO等に使途を指定することが可能にな
っていた。定率課税が開始され、寄付の優遇税制が廃止された04年からは法
人もパーセント法による使途指定が可能となった。

★非営利セクターにとっては「公益性」が課題★

 このような状況の中で、スロバキアでの公益法人制度論議は非営利セクター
から始まった。つまり、優遇税制を再度勝ち取り、寄付へのインセンティブを
設けるための論理基盤として公益性を掲げたのである。

 一般的には公益法人制度は税制の優遇政策との結びつきの中で語られること
が多く、そのほかに説明責任のありかたや意思決定の仕組み等での取り扱いが
重層的な利点として加わってくる。スロバキアでも、税制のほかに非営利セク
ターの中での説明責任についての認識を高めることも公益論議の目的の一つで
あるといわれている。

★世界中で注目される「公益法人のあり方」★

 冒頭に述べた会議ではイギリス、オランダ、日本からの参加者が各国での公
益法人制度の実情について発表したほか、ハンガリー、ポーランドからの現状
報告を受け、さらに出席者が小グループに分かれて討議を行った。

 日本に関わる発表については、(1)監督官庁と公益法人の癒着等によるス
キャンダルに端を発し、行政改革の枠組みの中で、政府主導のもとで公益法人
制度改革が始められたこと、(2)新しい制度のもとでは監督官庁制度がなく
なるほか、登記により簡便に設立できる準則主義による非営利法人制度が基本
であること――などを説明した。

 日本の公益法人制度は、ようやく平成18年の通常国会において審議される
ことになる。これからの日本のあるべき姿を見据えたうえで、民による公益を
きちんと評価した議論が行われることを見守っていきたいと考える。


[取材メモから]
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03:コミュニティの維持と行政効率
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千葉茂明 Chiba Shigeaki 編集者

★失われた集落★

 和歌山県本宮町(現・田辺市)にかつて1週間ほど取材で訪れたことがある。
熊野本宮大社や大斎原(おおゆのはら=熊野本宮大社の旧社地)、熊野古道、
筏での木材運搬の話などいずれも興味深かったが、中でも強く印象に残ってい
るのは集落跡地だ。

 訪ねた場所にはかつて小学校があり、周りに人家が数軒あったという。炭焼
き中心の集落だったが、石炭そして石油にエネルギー需要が変わっていく中、
集落から人が流出し、ついに昭和30年代に無人に。

★震災復旧・復興とコミュニティ★

 2005年10月23日、最大震度7を記録した新潟県中越大地震が発生し
た。1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では6400人以上が死亡し
たが、中越では59人(2月1日現在)にとどまっている。人口密集地と中山
間地という被災地の違いもあるが、コミュニティが維持されているか否かの違
いも大きかったようだ。

 被災後、阪神・淡路でコミュニティの崩壊、孤独死が問題となったことを教
訓に、新潟では避難所でも集落ごとにまとまるなどコミュニティの維持・再生
を災害復旧・復興の柱としている。

 県ではコミュニティの維持・再生を重視しているが、直接支援するのは被災
市町村となる。壊滅的な被害を受けた旧山古志村では否応なく集団移転する世
帯がある。また、他の市では、元の集落に戻りたいと願う住民に対して、行政
側は平場と同じ支援しかしていない。

         *
 日本の国土の7割を中山間地が占める。中山間地の集落が消えるとどうなる
のだろうか。山が荒れ、里や川も荒れるのか。それとも自然と同化し、その一
部となっていくのか。中山間地のコミュニティ問題は、日本人の精神性をも問
われているように思えてならない。


[協働を模索する条例・政策の研究――第6回]
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04:岡山県国際貢献活動の推進に関する条例
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櫻沢靖子 Sakurazawa Yasuko 早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程

★「大使」と県民をつなぐ★

 今回の協働条例調査報告では、ちょっと趣向を変えて国際貢献についての条
例をみていきたい。そこで、岡山県の「岡山県国際貢献活動の推進に関する条
例」を取り上げ、国際貢献という観点から協働について考えていくこととする。

 まず、条例を制定する以前の主な県の活動からみてみよう。「おかやま国際
協力大使」という制度がある。これは2002年度から設置されたものだ。青
年海外協力隊などのJICAボランティア事業に参加する岡山県出身者を「大
使」に委嘱して、赴任国に岡山県を紹介してもらったり、県民からの支援物資
を活用して現地の人々との交流を図る一方で、県民に対しては赴任国での活動
報告を行なったりするというものである。

★「進取の精神」が県の精神的支柱★

 02年7月には、明石康元国連事務次長を会長に、有森裕子さんなどを委員
とした「岡山発の国際貢献を考える会」が設置され、翌年3月に「21世紀初
頭における岡山県の取り組むべき国際貢献のあり方について」という報告書を
まとめている。

 ここでは、「なぜ岡山県が国際貢献に取り組むのか」という問いに対する答
えとして、国際的な医療ボランティア組織である「AMDA(アジア医師連絡
協議会)」をはじめとして県内で40を超えるNGOが国際貢献活動に取り組
んでいる実態をあげている。

 また一方では、県の風土として「共に助け合うという精神風土や進取の精神
がある」と謳い、県が輩出した歴史上の人物である吉備真備、宮本武蔵、緒方
洪庵らの名をあげて、彼らの「進取の精神」を自治体の精神的支柱としている。
とてもユニークな理由である。

★人材育成も含めた国際貢献活動★

 こうした報告書を受けて条例の素案が作成され、04年の2月議会で都道府
県レベルでは全国初となる「岡山県国際貢献活動の推進に関する条例案」が可
決された。

 この条例では国際貢献活動を大きく3つに分け、さらにそれぞれの活動に準
ずる活動、そしてそれぞれの活動を担う人材育成も国際貢献活動に含めている。
その3つに大別されたものとは、<1>技術支援活動(技術研修員の受け入れ
や指導員の派遣等)、<2>生活環境の整備や自立支援、<3>自然災害の被
災者等の救援を目的とするもの――である。

★分権時代にふさわしい「地方政府」の活動★

 この条例が制定されてからちょうど2年になるが、どういった成果がみられ
るだろうか。

 例えば、10月を国際貢献月間として、04年に第1回、05年に第2回の
「地球市民フェスタInおかやま」を開催している。第2回は中学生の募金活
動、高校生のインターンシップ報告会をはじめとして、多くの県民が参加して
いる。

 また、裾野を広げるための施策としては、国際貢献ボランティア活動入門講
座をホームページに掲載し、分かりやすく丁寧な解説を掲載している。

 こうした岡山県の例は以前からあった国際貢献の素地を条例の制定により制
度化し、それによって広く県民に浸透させる契機にもなった好例であるといえ
る。地方分権の時代に生きる「地方政府」らしい活動のスタイルである。


[編集後記]
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05:「二重人格者」宣言
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 先月の本欄で織田裕二主演の映画「県庁の星」を紹介しましたが、もうご覧
になったでしょうか。改革に目覚めた、織田演じるところの県庁マンが巨大ハ
コモノ事業を県民の目線から見直し「プランB」として提案、いったんは受け
入れたかに見えた知事でしたが、結局は県議会のボスと同じ穴の狢だった、と
いうお約束のオチです。「やっぱ、そんなもんだよね」と落胆させてくれます。
でも、県庁の豪華な職員用談話室(こんなの本当にあるの?)に置かれたエス
プレッソのコーヒーメーカーに注目です。劇中の最初のほうでは「県民の税金
で賄われています」と張り紙がされていただけなのに、最後のほうでは機械の
前の透明プラスチックボックスに百円玉がぎっしり。そうか、改革は小さなと
ころから進んでいくんだ、と妙に納得させられます。

 と、心ある公務員にエールを送りながら、じつはその一方で公務員の金銭感
覚をばっさり斬るような本をいま書いています。官民給与格差、職員互助組合、
特殊勤務手当、退職時特別昇給、天下り、公務員宿舎、技能労務職……。NP
O法人コラボのメンバーとしては住民本位の行政を応援しつつも、ジャーナリ
ストとしては批判すべきは批判するというスタンスです。少し前から、NPO
活動とジャーナリズムは相容れない部分があると感じ始めていたのですが、そ
の壁を乗り越えるためにも、たとえ「二重人格者」と言われようとも、NPO
では応援団、ジャーナリストとしては批判者であることに徹したいと思ってい
ます。

 コラボ、4年目の春です。

(樺嶋)


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チホウ政治じゃーなる
編集・発行人 樺嶋秀吉
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