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Wing-Mel No.2829 1分で読む日本の思想(22) 賀茂真淵 〜 歌を学べば上代人の素直な真心に帰れる

2019/11/08

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1分で読む日本の思想(22) 賀茂真淵 〜 歌を学べば上代人の素直な真心に帰れる

■■ 転送歓迎 ■■ No.2929 ■■ R01.11.8 ■■ 7,773部■■

 四十二歳にして江戸に出て学塾を開く。『万葉集』を中心に古典の研究に励むなかで門人も増え、やがて八代将軍徳川吉宗の次男である田安宗武の知遇を得て、その庇護のもとに古典を研究した。
かくて『万葉集』の講読を広めるとともに、自ら歌詠を深めるなかで「言辞公言葉)のまこと」は上代の心と詞にこそあると確信し、『冠辞考』(枕詞の辞書)や『万葉考』などを著し、国学の進展に大きな足跡を残した。六十八歳の秋、居宅を移して県居と称し、歌論などを次々に著すとともに、その詠歌は『賀茂翁歌集』としてまとめられた。

 晩年に書かれた『にひまなび 新学』は、新たに歌学を志す人に示した書であるが、その中で当時の歌風であった言葉のもてあそびや弱々しさを排し、「天地のままなる」「高く直く」「雄々しき」心を詠った『万葉集』を重んじた。ことに古代の雄渾な歌の調べを「ますらをの手振り」と呼んで尊んだことは有名である。
さらに、「古への歌は万(よろず)の人の真心なり」、「後の世の歌は人のしわざなり」と記し、万葉の歌にこそ人の真心が示されており、後世の歌は人為のしわざであって、まことの歌ではないとした。ことに「人麻呂の歌は、勢ひはみ空行く龍の如く、言は海潮の湧くが如し」と絶賛し、後世にあって古代人の真心のままに表現したのは鎌倉の右大臣(源実朝)の歌であると世に知らしめた。

『うたごころ 歌意』は真淵の代表的歌論であるが、『万葉集』に歌の起源をたずね、もとは素直であった人間が、時代を経て心も詞も乱れていく姿を批判しつつも、思いを振い起こして古に学べば、ふたたび上代の清らかな心に帰ることができると述べるとともに、自ら和歌を詠む体験を通してこそ上代人の素直な真心に自然に帰り、尊い祖神(祖先の神)への道につながるとし、詠歌の大切さを強調している。

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そを一度悪ろしと思はん人、何ぞやよき方に移ろひ返らぎらん。然か心を起して、古の八咫鏡にあさなあさな向ひ、陰高き千もとの花に、ひとしく交りつゝ、其の形、其の色に似てしがもと乞ひつゝ、歌をも文をも取り成して見よ。もとの身の、昔人に同じき人にし有るからは、然か習ふ程に、心は磨ぎ出でたる鏡如なし、詞は薮原を過ぎて、隈無き山の花とこそ成りなめ

【訳】
そのようになったのを一度悪いと思った人がいても、どうしてその人が良い方向に移り返っていかないことがあろうか。必ず良い方向に変わるはずだ。そのようによき方に帰ろうという心を起こして、古の八咫鏡のように清らかな心に毎朝向かい、木陰の高い木々の花に親しみ交わり、その形やその色に似たいと願いながら、歌を詠んだり文を書いたりしてみなさい。
もともとは、昔の人と変わりない人間であるからには、そのように古典に親しみ習ううちに、必ず心は磨きあげた鏡のように清らかになり、詞は薮の原を過ぎてけがれのない山の花のようになるだろう。

1. 國武忠彦『語り継ごう 日本の思想』、明成社、H27
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/479421426X/japanonthegl0-22/

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