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Wing-Mel No.2855 廣瀬誠『萬葉集 その漲るいのち』抜き書き(2)「和歌」とは「和うる歌」

2019/04/22

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         廣瀬誠『萬葉集 その漲るいのち』抜き書き
              (2)「和歌」とは「和うる歌」

                                                  伊勢雅臣
■■ 転送歓迎 ■■ No.2855 ■■ H31.04.22 ■■ 7,786部■■

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【伊勢雅臣】JOG(1114) 「『令和』ー『萬葉集』に込められた大伴家持の祈り」では、廣瀬誠先生の『萬葉集 その漲るいのち』から、大伴家持を中心に述べましたが、この名著にはそれ以外にも多くの貴重な指摘が含まれていますので、何回かに分けてご紹介させていただきます。
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廣瀬誠『萬葉集 その漲るいのち』、国文研叢書 No.30、Kindle版
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『萬葉集』では、「和歌」とは「和ふる歌」であって、相手の歌に対して唱和した歌である。機智で切り返すのではなく、まさに「和」といふ字義の如く、柔かく相手の気持に寄り添ふやうに答へた歌だ。(p11)

「籠もよ、美籠持ち、掘串もよ、美掘串持ち……」こんな歌ひ出しは『萬葉集』長歌中、他に類例のない詠みぶりだ。音数も、三・四・五・六と不揃ひだ。「籠よ、その美しい籠を持ち、フクシよ、その美しいフクシを持ち……」と、岡に春菜を摘む少女に向かって親しく語りかけ、たたみかけてゆく言葉の綾が、民謡的・牧歌的に、美しくのびやかに響く。
そして「家きかな、名告らさね」(家を聞きたいものだ。名を名のりなさい)と優しい言問ひに続いて「そら見つ、やまとの国は、おしなべて我こそ居れ、敷きなべて我こそ座せ」と、われこそは国家統治者であるとの、堂々たる宣言におし移り、まぶしいほど威光を帯びた求婚の辞だ。
ひたすら羞ぢらひ、恐縮する少女に対し、また声を柔らげて「さあ、家をも名をも言ひなさい」と言ひ寄る。牧歌的なのどかさと、統治者としての威勢とが明るく一つに触けあって、美しくおほらかな韻律をかなでてゐる。まことに不思議な一首だ。(p20)

『古事記』『日本書紀』ともに、雄略天皇が野道山道で少女に言問ひされた説話と歌謡を幾篇も載せてゐる。古代の人々は、雄略天皇のイメージをこんな風に思ひ描いてゐたのであらう。その記紀の雄略天皇像が『萬葉集』の巻頭に最も美しく結品したのだ。(p21)

 この御製中、「菜摘ます子」の「す」は敬語。「名のらさね」の「さ」も敬語。直訳すれば、「菜を摘んでいらっしゃる子」「名を名のりなさいよ」とならう。丁寧な物言ひである。・・・このやうな「臣のをとめ」に対して敬語を用ゐた歌を、雄略御製と伝へて怪しまなかったといふ事実は、古代日本人一般の心意を示すものである。(p23)

 おしなべて古代日本において、清純な少女、特に山仕事・野仕事に従事する少女に対して、特別の心情があったことを思はせるのである。近代に至るまで、田植に従事する女たちは盛装した。泥まみれの汚い作業であるに拘らず、晴着を着用した。農作仕事は神に仕へる聖なる行事とされ、これに従ふ早乙女も聖なる女とされたのである。また家刀自(一家の主婦)は、その家の祖神祭祀をつかさどる聖なる人として尊ばれた。(p25)

「煙立ちたつ」「鴎立ちたつ」のリズムはまことに心地よく、読む者の心も揺れ立つ。天皇は、国土の繁栄、国力の充実を見そなはして、喜び、満足され、「うまし国ぞ、あきづ島、やまとの国は」と国土讃美の一首を力強く歌ひ収められた。(p28)

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