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Wing-Mel No.1707 消費税増税外圧を鵜呑みする菅内閣の稚拙(佐藤鴻全)

2010/06/25

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         消費税増税外圧を鵜呑みする菅内閣の稚拙
          −先ず3%成長の4年持続を達成せよ−
                                              佐藤鴻全
■転送歓迎■ No.1707 ■ H22.06.25 ■ 9,178 部 ■■■■


◆菅首相の「変節」◆

 菅首相は、7日に「早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します。」とした参院選向けの民主党マニフェストを発表するとともに、記者会見で「税率については自民党が提案している10%という数字を一つの参考にさせていただきたい」と述べ消費税増税に向け舵を切った。

 財務相に就任当初の正月には、「逆立ちしても鼻血も出ないというほど、完全に無駄をなくしたと言えるところまできた時に(増税の)議論を行って」と述べていたのと比べれば180度の変更、変節といえる。

 事業仕分けで当初思っていたような無駄の削減が達成できていないことに加え、大馬鹿だと公言していた財務官僚に国会答弁で経済の基礎知識を知らず右往左往したのを助けられ屈服したこと等がこの変節の原因であろう。

 また、8月期限で具体化させなければならない普天間米海兵隊基地の辺野古移設から世論の目を逸らさせるつもりであったり、小沢前幹事長の仕掛けるであろう政界再編の機先を制して自民党との大連立の芽を作っておくこと等の計算もあるのかもしれない。

 だが、一番の原因はギリシャを発端とした各国財政危機問題と関連付けられ、日本の巨額財政赤字が26日からカナダ・トロントで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)で、槍玉に挙がることを恐れたようだ。初の国際会議で、華々しいデビューが出来ないことに首相の高いプライドが許さなかったのだろう。

 既に国際通貨基金(IMF)が5月、「日本政府は2011年度に財政再建を開始し、消費税を徐々に引き上げる必要がある」との声明を発表したほか、フィナンシャル・タイムス等の海外メディアからは、日本が消費税率を早急に上げるべしといった論調が目立ち始めている。日本の巨額債務が、望ましいことではないのはその通りであるが、日本には日本の事情がある。

◆増税前にすべきこと◆

 先ず、日本の経済構造は依然脆弱である。名目3%の経済成長を達成し4年間は持続させて見せて、リーマンショックからの今年度の立ち直り効果等だけでない、しっかりした経済構造を確立しそれを証明する必要がある。

 18日に閣議決定された『新成長戦略〜「元気な日本」復活のシナリオ〜』は、医療・介護分野に重点が置かれ過ぎるきらいはあり、時系列の優先順位が示されず戦略性が弱いが、アイデアのインデックスとしては悪くない。これを戦略性に基づいた指導力で実行して行けば、3%成長の4年間継続は、決して不可能な数字ではない。

 次に、事業仕分けは未だ本格的に総額200兆円といわれる特別会計に切り込んでいない。また、国会議員定数削減と国家公務員賃金削減も手付かずである。これらは、地方自治の原則はあるが、何らかの仕組みによって実質的に地方にも広げて実施すべきであろう。
 例えば米国では、基礎自治体の議員は定員も少なくボランティアに近い報酬である。日本の公務員賃金は地方を含め32兆円と言われる。欧米と比べると、公務員の賃金水準は高く逆に公務員数は少ないと言われる。

 例えば、公務員賃金を3割減とし逆に員数を1割増やすことも考えられる。特別会計も年金会計を含んだり、公務員に自衛隊や警察官を含んだりとかの事情は当然考慮しなければならないが、「仕分け」をした上で削減を進める必要がある。

 加えて、国と地方を合わせて1000兆円に届くといわれる債務の一方、少なくとも数百兆円の資産があるといわれている。これを処分しての債務との相殺も進めるべきだ。

◆主体性なくば国滅ぶ◆

 民主党マニフェストでは、「強い経済、強い財政、強い社会保障、好循環のニッポン」と謳われているが、その実行順序が明示されていない。

 観察するに、菅首相は経済ブレーンと言われる大阪大学教授小野善康・内閣参与の理論に影響され、「増税しても適切な分野に財政支出すれば経済成長する」と繰り返し述べているように恐らくは増税から始めるつもりでいる。

 小野理論は誤りとは言い切れないが、現実的にはお金に色が付いている訳ではないから、予算編成の過程で増税分の用途は財政赤字への補填と混じり合い結局はトータルで緊縮財政になってしまうだろう。

 世界各国で、増税で経済成長した事例は少なくとも現代史の中にはない。増税優先で進んだ場合、かつての「橋龍不況」を持ち出すまでもなく足腰の脆弱な日本経済はほぼ確実に大不況に陥る。

 欧米からの増税圧力について、特に米国は自国の巨額赤字をファイナンスするために日本に増税させた分で米国債を買わせようとしているという見方もある。多分これは当たっているのだろうが、日本経済を潰しては元も子もなくなるのだから、悪意を持っての増税圧力とまでとは言えない。

 しかし、IMFも含め増税で日本経済が上手く行くと正確にシミュレートして忠告して来ている訳ではなく、その結果日本経済が破綻しても責任を取る立場にない。

 要は、当然のことながら日本政府がこれらの「圧力」を咀嚼して、主体的な経済国家戦略を立てるべきである。

 菅首相には、上述のように増税外圧や小野理論の鵜呑み、財務官僚への急接近や「10%税率」を借用し、当の自民党から「おんぶお化け」と言われたように少なくとも財政政策には主体性が全く感じられない。主体性がなければ、如何なる国も滅びの淵にある。

 筆者は、この紙面で菅首相および今回の消費税増税計画の実質的な責任者である玄葉光一郎特命相兼民主党政調会長に、3%成長の4年持続を、消費税増税のための最低条件として公約することを要求する。

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  • 名無しさん2010/06/25

    誰が誰の手先やらよく分からん。

    右が左だったり、左が右だったり。

    右も左も奥の方で一緒だったり。

    権力の頂点はどこの誰か?

    金の流れが全て分かれば、簡単に見分けられるのに。

    そういう法律を作れないだろうか?