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Wing-Mel No.1691 郵政マネーは「官民折半」でアジアへ流せ(佐藤鴻全)

2010/05/14

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         郵政マネーは「官民折半」でアジアへ流せ
         −「平成の満鉄」?巨大国策会社の行方−
                                              佐藤鴻全
■転送歓迎■ No.1691 ■ H22.05.14 ■ 9,124 部 ■■■■


◆全国郵便網、地域決済機能等のユニバーサル・サービスを維持するためには、税金を突っ込むか、郵政会社に経営の自由を与え収益を上げさせる以外にない。

◆小泉郵政民営化は上記のどちらも行わず、いずれかの時点で持続不可能となるスキームだった。
民主党連立政権は主に政治的理由から税金の投入を否定した。そうした以上、郵貯上限2000万円が適当かは別として経営の自由化を選ぶ以外に選択肢はない。


◆郵貯・簡保の巨額マネーは、民間金融機関と競合する分野へ流せば民業圧迫と成り、公共事業等の官の領域に流せば、財政投融資の焼き直しと非難される。
官民共同での新エネルギー開発、アジアのインフラ整備等の国策巨大プロジェクトに流す以外にない。


◆民主党の転向◆

郵政改革法案の国会提出は政局に押され4月末にずれ込む見込みだが、日本郵政に対する政府出資を3分の1超にする方針が盛り込まれる等、政府の関与を強く残すものとなる。

また、亀井郵政・金融担当相の力技で決った郵便貯金の預け入れ限度額を1000万円から2千万円に、簡易保険の保険金上限額を1300万円から2500万円にそれぞれ引き上げる政府方針も別途、政令で定めることになる。

郵政問題の本質は、全国郵便網、地域決済機能等のユニバーサル・サービスの維持にある。

冒頭で掲げたように、これを維持するためには、税金を突っ込むか、ある程度の経営の自由を与え収益を上げさせる以外にない。

小泉郵政民営化は上記のどちらも行わず、いずれ持続不可能となるスキームだった。

郵貯の預け入れ限度額を1000万円のままにする等、民間金融機関に比べて大きく経営の手足を縛るなら、ユニバーサル・サービスは愚か、郵政事業自体の縮小 → 解体 → 外資等への切り売り、売却は避けられない道であった。

事実、郵貯・簡保の残高は、併せて2009年末で約300兆円あるとはいえ、民営化前の約350兆円から減り続けてきた。

民主党は、2005年の岡田代表時代のマニフェストでは、郵貯の縮小・民営化、簡保の売却、ユニバーサル・サービス維持に必要な場合の税金投入を謳っていたが、今回そこに立ち返ることなくこれを捨てた。
この理由の一つに、現下の経済・財政情勢で税金の投入は国民世論を考えれば選択する余地がないことがあり、もう一つには連立を組む国民新党およびその背後にある郵政票の取り込みが挙げられよう。
何れにせよ「政治的判断」と言える。

これについての筆者の立場は、全国郵便網、地域決済機能等のユニバーサル・サービスはナショナル・ミニマムとして維持されるべきだが、保険は新聞広告を見て電話一本と書類郵送で加入出来る以上、簡保については純粋にナショナル・ミニマムとしては不要であるとの立場だ。

一方、税金を突っ込んでのユニバーサル・サービス維持は収支と便益の関係が明確であるが、郵政のネットワークを業として生かしながらその収益を振り向けた方がコストは少なくて済むと考える。

なお、仙石国家戦略担当相等の言っていた、税金も突っ込まないで郵政の手足も縛ったままというのは小泉路線の延長であり、温かいアイスのようなもので、氏の全共闘時代から引きずる空想的理想主義のなせる浅知恵に過ぎない。


◆巨額マネーは、「官民折半」でアジアへ流せ◆

しかし、日本郵政に対する政府の関与を強く残し、経営の自由を与える方法は、日本郵政を民であるのか官であるのかよく判らない鵺のようなものにしたという竹中平蔵氏等の指摘は、氏が外資の手先や売国奴であるかどうかの議論は別として正鵠を得ている。

郵貯・簡保の集める金は、暗黙の政府保証が残るため、官民「あいのこ」の金となる。

郵貯・簡保の集める金は、暗黙の政府保証が残るため、官民「あいのこ」の金となる。亀井大臣等からは、郵政には、投資・融資のノウハウがないため、地域の信金・信組へ貸付けそのノウハウを使い共存共栄を図ろうという案や、学校の耐震化や電柱の地中化等の公共事業に振り向けようとする案が出ている。

しかし、地方の民間の資金需要自体が少なく、資金は余っている状態だ。

また、学校の耐震化や電柱の地中化は決して無駄ではないばかりか前者は生徒の安全のために必須の事業ではあるが、工事自体は経済学でいう投入物効果として景気を押し上げる一方、完成後には安全・安心、街の美観等の効果はあるが少なくとも直接的にそれによって利潤をもたらすような経済学でいう稼働物効果はない。

この巨額マネーは、民間金融機関と競合する分野へ流せば民業圧迫と成り、公共事業等の官の領域に流せば、財政投融資の焼き直しと非難されるだろう。

さらに、金利高騰で下落リスクのある国債をもうこれ以上買い続ける訳にも行かず、中東諸国が行っているような政府ファンドは更にリスクが高く、郵貯・簡保の預金者や加入者が望むとも思えない。

繰り返すが、郵貯・簡保の集める金は、官民「あいのこ」の性質を帯びる。このため、使い道も官民「あいのこ」の分野へ向けるべきであり、それが唯一しっくり行く。例えば、官民共同の新エネルギー開発、アジアのインフラ整備、先進国を含めた諸外国への新幹線・原子炉建設等の国策巨大プロジェクトに流す以外にない。

その際の留意点としては、下記の点が挙げられよう。

◆出資・融資先を、実業を伴う国家プロジェクトに限定すること。(前出の「政府ファンド」との差別化をここで図る)

◆フランスや韓国の原子炉売り込みのように、海外への売り込みは政府が直接に相手政府等に働き掛けすること。

◆必ず、郵政+国家予算の出資・融資比率を50%以下とし、比率を「官民折半」とすること。

◆政府保証等はせず、民間と郵政+官でリスクを取りあうこと。(国債との差別化はここで図る)

もし上記を徹底して行えば、誤解を恐れず言うなら、即ち日本郵政が「国策会社」となることになる。

戦前の「満鉄」(南満州鉄道株式会社)は、国策の誤りとともに解体されたが、その轍を踏んではならないのは勿論である。

しかし、国家事業として新産業・新事業を興して行くこと自体は、日本の成長戦略そのものであり、日本の浮沈に繋がる。

海外で全く日本人であるバック・グラウンドなしに活躍できる一部の超エリートを除き、大概の日本人は日本の浮沈が多かれ少なかれ自分の人生に直結する同じ船に乗る運命共同体の中にある。

官民「あいのこ」の巨額マネーの使い道は、その存在を前提とするなら恐らくこの国家プロジェクト分野にしかあるまいと思われる。

諸氏の批判を待ちたい。


なお、郵貯・簡保マネーによる米国債購入を、亀井氏が年頭辺りから仄めかし始めている。

これについては、米中パワーシフトの中で日本がどう絡んで行くかという日米中三角形論の具体化の中で検討されるべき別次元の問題であり、別途改めて論じる必要がある。


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  • 名無しさん2010/05/14

    評価しない

  • 名無しさん2010/05/14

    内容は面白いが、同じパラグラフの繰り返しがしばしばあるのが興を削ぐ。