Wing-Mel No.735 二十一世紀の大アジア主義(1)(林建良)
発行日:10/10
■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル ■
二十一世紀の大アジア主義(1)
―日台の連帯を機軸に―
林建良
■ No.735 ■ H15.10.10 ■ 7,016部 ■■■■■■■■■■■■
伊勢雅臣: 林建良さんは在日台湾人同郷会の前会長で日
本李登輝友の会常務理事でもある若い戦後世代の台湾人で
す。以下は5月31日下関市で行われた講演の記録です。
画面上で読みやすくするために、弊誌の方で、各節の表題
をつけ、段落分けも若干増やしました。
■1.日本が強くなる事がアジアへの貢献■
一人の台湾人として、皆さんに同志になつてもらひたい思ひ
でここに参りました。テーマは二十一世紀の大アジア主義です
が、大アジア主義といふ言葉は、いろんな解釈があります。孫
文も言つたし内田良平さんも言つた。侵略主義とも解釈されて
きました。そして今現在、主に右の人間が大アジア主義の看板
を掲げてやつてゐるやうな誤解もされてゐます。私にとつての
二十一世紀の大アジア主義といふものは、どういふものか。
戦後五十数年間日本は全く外国と紛争なしで、非常に平和な
国になつてゐます。日本ほど平和な国はありません。まづあら
ゆる国は、数十年間一度たりとも外国と争ひ事がなかつたとい
ふことはあり得ないのです。しかし、それは日本が問題にずつ
と目をつむり続けてきたといふことなのです。アジアの中に紛
争がない訳ではありません。日本は責任をとらなくていいやう
になつてるだけなんです。全ての責任はアメリカにとつてもら
つてゐる訳です。この日本は幸せなのか、責任をとらなくてい
いやうな国になつてラッキーなのか。日本を愛する一人の台湾
人として、日本の現状を危惧してゐます。虚無感が漂つてゐる
無気力、自信喪失の日本になつてゐる訳です。では、どうすれ
ばいいのか。日本はどこまで真剣に自分の病状考えてゐるのか。
私は非常に不思議に思ふのです。
二十一世紀の大アジア主義とは何か。日本がアジアに対する
貢献は何か。一言でいへば、日本が強くなることなのです。日
本が強くなることによつて、アジアに貢献する訳です。何故日
本が強くなればアジアに対する貢献ができるのか。まづ一つの
例から話をします。
■2.SARS問題に見る中国の体質■
それはSARS問題です。SARS問題程、アジアの問題点
を指摘できるものはありません。SARSは、中国から発生し
たものなので騒ぎ出したのは本当につい最近なんです。台湾で
は三月十四日に、初めてSARSが報道されてそれから今日の
有様になつてゐる訳です。今日は五月三十一日、たつた二ヵ月
半の内に世界が変はつてしまつた訳です。SARSの威力は、
我々の想像を越えてゐますが、本質を突き詰めて考へれば、ア
ジアの問題点が浮かび上がる訳です。
今公表されてゐる記事だけによると、去年の十一月広東省の
佛山市で発生して、それから二月に香港で患者が出てそれが広
がる訳です。これはあくまでも中国が認めたケースがかうなん
だといふ訳なんです。まあ中国といふ国は、目の前に証拠をつ
きつけられて、初めて「ああさうですか、さう言へばさういう
ふことがあつたかもしれない。」といふ国なんです。
しかし、台湾大学伝染科部長、張上淳教授によると、SARSら
しい患者を診たのは、去年の二月だつたんです。要はさらに一
年前のことなんです。このケースはどういふケースかといふと、
台湾人企業家が中国広東省で熱が出て、一週間の内に亡くなつ
たんです。たまたまその企業家の奥さんが、医療関係者でどう
しても納得いかない。何でそんなに早く死んだのかと。そのレ
ントゲンやいろんな検査資料を台湾に持ち帰つて張上淳教授に
見せた訳です。すると、張教授は、病原菌についてどうしても
わからないことが出てきたのです。その時もう密かに台湾にさ
ういふ噂があつた訳です。中国ではもしかすると、新種のイン
フルエンザが流行つてゐるのではないかとといふ噂でした。
去年二月のケースも、もしかするとSARSだつたかもしれ
ません。ここからどんなことが見えてくるか。まづ、SARS
の一番の発生源は、広東省の軍関係病院です。この病院に関は
つた人間がSARSになつたと言はれてゐる。今はですね。ハ
クビシンといふジャコウ猫と関係してゐるのではないか、遺伝
子の配列は全く同じだといふ報告が出てます。それはそれとし
て、SARSといふ存在が恐らく中国が認めたよりも早く出た。
このSARS事件から一つ見えたのは、中国の体質そのもの
なんです。この中国の体質の一番よく批判されてゐるところは、
隠蔽体質、データの偽造、自分にとつて都合のいいやうに造つ
たりすることです。まあそれだけだつたら、日本の元大蔵省と
か、今の銀行でもさういふ体質は持つてゐる訳です。
■3.権力が守られれば、人間の一人や二人死んだつて大したことない■
しかしそれだけではありません。中国のもう一つ恐ろしい体
質は、高々何人死んだといふことで何でこんなに大騒ぎをする
のかといふことなんです。人間の命、外国に対する無責任極ま
る考へ方こそ、中国の価値観そのものなんです。要は自分と関
係ないものであれば、どうでもいいんです。中国のSARS騒
ぎの後、中国の権力の中枢はどう対応しましたか。江沢民さん
は北京から離れた。北京は患者が多いですから、いかに権力を
持つてゐても、もしかすると首脳陣か誰か、ボディガードとか
SARSが移つた可能性もあるし、怖いから上海に逃げた訳で
す。それからその後に、北京を実質的に封鎖したのです。高速
道路のチェックとかかなり厳密なんですね。まあそれは当然と
いへば当然なんです。伝染病を退治する原則はたつた一つなん
です。徹底的に隔離する、それだけなんです。ワクチンが開発
前にできることは隔離だけなんです。
しかし隔離するために何が必要なのか。情報の公開が必要な
のです。隔離される訳ですから、仕事もできないし、友達にも
会ひに行けないし、大変なことなんです。非常に不便なんです。
できるだけ隔離されたくない。さういふ意味で北京、広東省、
広州以外の所はどうなつてゐるんでせう。それはわかりません。
要はそのデータを出せば出す程、怒られるんですから。出せば
出す程中国はきちんとやつてゐないといふ証拠になる訳ですか
ら。今までの中国の隠蔽体質、そして中国の人命に対する考へ
方からすれば、要は権力が守られれば、人間の一人や二人死ん
だつて大したことない。実際同じやうなことを毛沢東も_小平
も言つたことがあるんです。中国で数千万人位死んだつて、ど
うつていふことはないと。それは彼らの人命に対する考へなん
です。このやうな国が強くなつたら、大きくなつたらどうなる
でせうね。自国の人民の命でさへ全然重視しない国が、他国の
国民の命を大切にしてくれますか。それはあり得ない話なんで
す。
それともう一つ、中国の今の内部のこのSARS問題でもわ
かるやうに、中国の中の富の分配からしても安全の対処からし
ても、先程言つたやうに、北京の処置とそれ以外の所の処置と
はまるつきり違ふ訳です。そして、上海の処置と広東省の処置
もまるで違ふ訳です。それは何故なのか。命の価値が違ふから
です。このやうな国は、要は富の分配も非常にばらつきが大き
い。実際、中国の元首相、朱熔基さんが自分の人民大会でかう
言つてゐます。中国の富の分配は、五〇%以上の富が一%の人
間の手に入つてゐると。しかし、中国人は決して大人しい民族
ではありません。彼らが続けて国を一つとして統治していける
といふ方法は、たつた一つなんです。膨張し続けることなので
す。ずつと拡大し続けるんです。国民の注意力を外に向けさせ
る訳なんです。
■3.何故日本をそこまでやつつけたいのか。■
中国人の最近の反日キャンペーンは、凄まじいものがありま
す。皆さん、インターネットをなさつてゐる方でしたら、中国
のインターネット、ホームページをクリックすれば、官製もの
も含めて極めて汚い言葉で日本を罵つてゐます。中国人にとつ
ては日本民族はもう世の中に存在しなくていい存在なのです。
このやうな言葉が公然と、中国の人民日報とか中国の官製のイ
ンターネットのホームページの中に書かれてゐる訳です。あの
人達ははつきり言って、ほとんどの人は生まれてから日本人を
見たことがない。では、何故彼らは過激的に反日になつてゐる
のか、それはもちろん国の政策だから。小泉首相が北京に行つ
て見学させられたのは、抗日記念館といふ所です。一国の首相
が中国を訪問して中国人に、ほら日本人はこんなに残虐なんだ、
日本人はこんなひどい民族なんだと、日本がいかにだめな民族
であるかといふことを教へられた訳です。
何故日本をそこまでやつつけたいのか。先程言ひましたやう
に、中国は非常に問題を抱へてゐる。内部の情報の隠蔽の問題
だけではなくて、富の分配の不公平、安全の対処の不公平、権
力の分配の不公平からすれば、中国はこれからまとまり続ける
ということはほぼあり得ない。しかしまとまらなければいけな
い。だから、日本は中国のナショナリズムを煽る最高の対象に
なつてゐる訳です。恐らく日本人は中国人を、いろんな書物か
ら、中国四千年の素晴らしい文化から、美しい漢詩から、美し
い唐詩や宋詩から、美しい文学から、中国はこんなに立派な国
なんだと理解してゐるのではないかと思ひます。
しかも日本人は一つ非常にいいところがあるんです。それは
相撲を見ればわかります。アメリカ人の野球は審判が少しでも
間違つたら、納得できないところがあつたら、すぐ手を出すん
ですね。これはアメリカといふ民族の性格かもしれません。し
かし日本の相撲は、どんなに行司が判断を間違つてもあるひは
物言ひがあっつても、審判が全員出て来てそこまでなんです。
それから例へばビデオを回し直して、どちらの足が先に出たか
をチェックするといふやうなことはやらないんです。やれない
んですか。やれますよ、やらうと思へば。しかしやりません。
何故かといふと、それはスポーツではないからです。日本にと
つて、相撲は一つの儀式であり、魂の現はれでもあるんです。
その潔さといふものは、日本の一番の長所であるともいへます。
しかし戦後の日本はそれによつて駄目にされたこともあります。
要は戦争に負けたから仕方がない。日本人は非常に諦めが速
い。仕方がないと思へばもうそれから画策して巻き返すといふ
ことはあまりやらない。中国に負けた訳でもないのに。中国で
はなくアメリカに負けたんです。しかし、一応戦争に負けた、
悪いこともしたといふ概念が戦後の日本にずつと残つてゐる訳
です。その結果としては、中国にどんなことをしてやられても
仕方がない。終ひに人間が拉致されてもそれは仕方がない。テ
ロ国家とはいへないと。
今日の産経新聞の一面に、日本の高級官僚田中均が、アメリ
カに行ってアミテージ氏と会談して、金正日体制を保障しろと
言つたさうですが、これが今の日本なんです。はつきり言って
この言動はコメントしやうがない。一体どこの国の官僚なのか。
あなた日本人なのかと、恐らくアメリカ人に呆れられてしまつ
たと思ふのです。これが日本の現状であって、その日本はアジ
アで唯一中国より力を持つてゐる国なんです。この中国より力
を持つてゐる国が、中国の今の犯罪行為を見逃すといふより、
助長しているんです。日本が加担しているんです。
■4.お前達は誰も相手にしないぞ。うるさい。出て行け。■
SARSの問題に戻りますが、SARS感染台湾人医者の来日騒
ぎで、日本政府の反応は立派でした。日本政府は厳しい口調で
台湾に抗議し、台湾政府も、すぐに日本に謝罪したんです。こ
れが本当の国のあるべき姿なんです。しかしSARSをつくつ
た中国に、日本政府が抗議したといふ話は聞いたことがありま
せん。台湾人の医者が日本に来たといふことには猛烈に抗議し
ながら、中国には一番手厚く援助した。世界のどの国よりもた
くさんの援助物資を中国に送つたんです。
台湾政府はWHО総会で、台湾はSARSで苦しんでゐるんです
から情報を下さい、台湾にも関心を持つて下さいと言つたら、
中国の副首相呉儀と元軍縮大使の沙祖康という人は、台湾の新
聞記者等マスコミに対して「お前達は誰も相手にしないぞ。う
るさい。出て行け。」と言った。その場面は、台湾のテレビで
繰り返し報道されてゐました。それはよかつたんです。何故か
といふと、それがまさに中国人の本質だからです。それから数
日後、中国は台湾を援助したいのでマスクをいくらかあげるか
らと。一方では日本の援助を受けながら、では今度は台湾に援
助でもしようかと。
まあ台湾の医療水準は、もし台湾の医療レベルをご存知であ
れば、中国は台湾と比べられない程低いですよ。台湾の医療レ
ベルは極めて高いです。日本と比べても負けることはありませ
ん。だから台湾がその援助を拒否したんです。まあ背骨のある
人間は、それを拒否するのが当り前なんです。それから中国は
厳しく台湾を批判したんです。中国の反応はどんな反応かとい
ふと、俺の酒は飲めないのかといふ態度なんです。台湾では、
俺の酒は飲めないのかと絡んでくるチンピラはゐない訳ではな
いが、まづまともな台湾人は、さういふことはやりません。そ
れは台湾と中国の違ひなんです。台湾人と中国人の違ひなんで
す。
中国は、SARSの問題につていWHОの調査も拒否し、情
報の公開も拒否した。SARSが明らかになつただけで、もし
明らかにならなければ恐らく隠し続けたと思ひます。中国人の
密入国者をみればそれがよくわかります。中国人の密入国者は
ピッキングをやつたり、売春をしたりする。そして今、凶悪犯
罪の半分以上を、中国人がやつてゐる訳です。中国はそれにつ
いて何を言つたか。どんな誠意をもつて対応したのか。中国人
が目の前にゐるのに、中国政府は「いや、これは中国人かどう
か確認できません。」と。要はもう関係ないんだから。という
のが彼らの言ひ分なんです。あの鉄面皮が、恐らく日本人がま
ともに中国の相手をしようと思へば、もう脳梗塞で死んでしま
ふでせう。
■5.中国といふ国は拡張し続けなければ生きていけない■
だからこれが問題なんです。しかし中国といふ国は拡張し続
ける。拡張し続けなければ生きていけないんです。さうすると
どういふ問題になるかといふと、中国は石油の輸入国世界第二
位になつたのです。だから石油資源を欲しがる訳です。海底資
源だけでも中国は充分紛争に成り得る。さうすると、今までシ
ーレーン問題は日本だけのことのやうに日本人が考えてゐるが、
シーレーン問題はこれから中国にも出てきます。中国の石油航
路の保障、自国にとつての保障が必要になつてきます。海洋国
家をめざす時、必ず出てくるのは紛争です。だからベトナム、
フィリピンとも事を構へた訳です。
しかしこれだけだつたらまだいいんです。それから中国の環
境汚染の問題。実際つい数日前に北海道で靄がかかつてゐたの
です。それは中国からの靄のやうなのです。関西地域でも黄砂
が飛んでくる訳です。中国人は木を植えないのです。中国人は
木を切るだけなのです。何故かといふと、中国人は木を植えて
も自分が享受できないから、人が植ゑた木を切るのです。
中国人が台湾にやつて来た時、当時は台湾を日本が統治して
五十年経つてゐて、後藤新平さんの都市計画が非常によくでき
てゐて、街並みは東京よりずつと進んでゐた。私が昔勤めてゐ
た病院の中山北路、両側の並木は、日本政府が植ゑたのです。
未だに非常にきれいです。しかし、あらゆる所へ蒋介石の中国
人兵士がやつてきて、それを切つてしまつたのです。何故切つ
てしまふかといふと、危険だからと。並木があつてなんで危険
なのですか。いや、敵が後ろに隠れてゐるかもしれないから危
険だと。中国人は、自然、緑を大切にするといふ概念はありま
せん。それを切つて薪にするか、そのまま捨てるか。それが今
の中国の砂漠化の原点なのです。
要は私が言ひたいのは、アジアの問題の源は中国なのです。
北朝鮮なんかではないのです。北朝鮮は所詮チンピラ国家なの
です。中国はそれを止めようと思へば、北朝鮮は何もできない
のです。後ろの巨悪は中国だから。この中国の問題は、誰に頼
んで解決してもらふのか。アメリカですか。今のところアメリ
カなのです。しかしアジアの問題は、アメリカに百%任せてい
いですか。アジア、台湾もさうなのですが、日本の利益はアメ
リカと百%一致しますか。もちろん一致しないですね。それぞ
れの家庭と同じやうに、国それぞれの事情があつてそれぞれの
利益がある。自分の国の利益は自分が守らない限りは、尊敬さ
れる国にはなれません。自分のことも尊敬できないです。結局
その国は、属国かペットになる訳ですね。まあ食事もできるし
住むところあるし一応安全だし、檻の中にゐる訳ですから。ペ
ットなんです。
■6.東アジア連合の戦略■
しかし特に日本人の考へは、中国人と違ふ点がもう一つあり
ます。死生観、魂について、です。日本人は単に生きるだけで
いいといふ民族ではないのです。日本人はいかに美しく生きて、
美しく死ぬか。生きられるだけで満足するやうな民族ではあり
ません。しかし、日本がもし自分でアジアに対して責任を果た
さなければ、ずつとそのペットのやうな民族になる訳です。だ
から日本のアジアに対する貢献、いはゆる二十一世紀の大アジ
ア主義といふものはどういふものか。それは強くなること。強
くなつてどうするか。あるひはどうやつて強くなるか。まづ日
本としての国家戦略を立てなければいけない。
どんな国家戦略かといふと、東アジア連合を作るべきなので
す。東アジア連合をいふと、皆大東亜共栄圏を思ひ出す。大東
亜共栄圏は侵略戦争の口実だと批判してゐる人もゐます。しか
し、大東亜共栄圏もしくは当時の大アジア主義といふのは、今
現在とはかなり違ひます。どんなに違ふかといふと、当時とし
ては欧州、白色人種の植民地、帝国化、膨張主義に対する反抗
なのです。当時のインドネシアはオランダの植民地になつて非
常に苦しんだ。インドはイギリスの植民地になつて非常に苦し
んだ。中国も同じなのです。だから当時の大東亜共栄圏といふ
概念は、ある意味でアジアは一つだといふスローガンであつて、
要は当時の悪であった帝国、白色人種の膨張主義に対する反抗
なのです。
しかし現在は、恐らく中国の飽くなき膨張主義、膨張主義と
いつたらなにも軍事とか、資源だけではないのです。経済だつ
て同じなんです。中国は意図的に自分の為替を操作して三十数
%も一気に下げて、見た目としては非常にコストを安くして全
世界の資金をそつちに吸収する訳ですね。世界的なデフレ傾向
は、中国と非常に関係してゐます。特に日本と台湾の産業空洞
化、資金も行つたし、工場も行つたし、人間も行つたし。では
何が残るのですか。行けない人が残るだけなのですよ。行ける
人は全部行つたのだから。その中国が日本の産業空洞化を考へ
てくれるのですか。もちろん考えへてくれません。
だからその時日本はどうするか。東アジア連合をまづ作るの
です。東アジア連合といふものは、そんな大それたものではな
いのです。現にEUというふ例があるのだから。EU、欧州共
同体といふものはどういふものか。人的往来を自由にする。通
貨を同じにする。サービス業の認証、資格を共通にする。この
国で医師免許をとつたら、あの国に行つても医者になれる。こ
の国で運転免許とつたら全欧州が回れるのです。通貨も一緒だ
から、サービス業も法律も規制はできるだけ抑へて、それによ
つて人的交流、資金的流通をはかれば、為替のリスクがなくな
る。非常にチャンスが多くなる訳です。同じやうなことが何で
アジアはできないのか。アジアはばらばらだから、アジアは非
常にバラエティに富んでいるから、非常に所得も分散している
から、その通りなのです。だから難しい。できないことはない。
アジアの国々の中で、さういふ気持もあつて比較的に所得が
近い、社会的体制の近い日本、韓国、台湾、シンガポールなら
できます。加へてアジアの一員にならうとしてゐるオーストラ
リア、ニュージーランドを一緒に入れれば、この五か国のアジ
アの先進国だけ。しかも資源は、オーストラリアにはたくさん
あります。土地もたくさんある。補完的な効果があります。ま
づ意欲があります、一番大切な。しかし、意欲がないのは日本
だけなのです。この提案は韓国もしたことがあります。もちろ
ん韓国はいろんな問題を抱へ反日感情もあるのですが、もし日
本から台湾に提案すれば、夜中でも飛んで来ます。
■7.日台FTAの必要性を感じている人は多くいる■
私自身が経験した例を申し上げますと、二〇〇一年五月五日、
私は現在の日本の副大臣、矢野哲朗さんをわが陳水扁総統に会
はせた。その時、矢野哲朗さんは参議院の外交防衛委員長でし
た。それなりに外交のことに関はつていたのです。彼が陳水扁
総統との話の中で、将来的に台湾と日本はFTAを結びませう
よと。矢野哲朗さんから、陳水扁総統に提案したのはどういう
ことかといふと、日本全体は難しいから沖縄からでもやりませ
うよといふことでした。沖縄なら簡単かもしれません。二〇〇
一年の五月五日、矢野さんはそういふやうに提案した。翌日の
台湾の新聞に大きく報道された。
自由貿易地域に今FTAを結んでゐる国々は大体百以上あり
ます。まあ一番有名なのは、ナフタといふ北米自由貿易地域、
アメリカ、カナダ、メキシコ。日本とFTAを結んだ国はない
のか。あります。シンガポール。シンガポールは人口三六〇万。
ちつぽけな国で農業がないからやり易い。やり易い国から始め
るといふことは悪いことではないですが、そこでとまるといふ
ことは責任感がないのです。
要はそのやうな需要、そのやうな必要性を感じてゐる日本人
も台湾人も多くゐるといふことです。この構想を出して進めて
いけばいいのです。まあ構想があつても政治家が動いてくれな
いと駄目だと、官僚が動いてくれないと駄目だと日本人は思ふ。
実際さうなのです。では、我々はどうすればよいか。私はこの
構想は、実は我々一人一人の運動によつて実現できるものだと
考へてゐます。どのやうにすればいいか。一つは日本が自信を
取り戻すことだと思ひます。具体的に日本の自信、日本のアイ
デンティティ、日本民族の魂をどうやつて取り戻すのか。それ
をお話しする前に、一つ紹介したいことがあります。
■8.日本人が魂を取り戻すことを、非常に中国は恐れてゐる■
台湾人は親日感情が強いといはれてゐます。実際さうです。
しかも日本植民地時代を経験した人間程親日感情が強い。要は
日本人を知つてゐればゐる程、親日的なのです。何故台湾は親
日的なのか。この親日感情の原点にあるのは、台湾人が憧れて
ゐる日本精神にあります。日本精神は台湾人が付けた名前なの
です。日本では日本精神といふ言葉はないのです。我々は台湾
語で「日本精神」を「ジップンチィンシン」といふのです。
「日本精神」とは、自分の利益よりも公の利益を優先させ、自
分の伝統文化と自分の国を守る気概なのです。台湾人がその日
本精神に憧れてゐるから親日的になつたのです。私は日本に来
るまで、親父から日本はどんなに素晴らしい国かといふことを
ずつとずつと聞かされた。そこで、私は日本精神の原産国に行
つてその日本精神を経験してみたいと思ひやつて来たのです。
一九八七年から現在まで十五年経つてゐますが、残念ながら日
本で日本精神をいくら探しても見当たりません。
台湾人は宝物だ思つて憧れてゐる日本精神は戦後の日本人に
よつて捨てられたのです。その日本精神の原点はどこにあるの
か。難しいやうで簡単なのです。要は日本が異常に激しく攻撃
されてゐる問題を直視すればいいのです。日本はどういふ問題
で攻撃されてゐるのかといふことは、日本がどれだけ恐れられ
てゐるのかといふ問題でもあるのです。
それは、日本人が魂を取り戻すことを、非常に中国は恐れて
ゐるのです。その一番代表的な問題は、「靖国問題」でありま
す。靖国問題は日本の気概、国を守る意志の象徴であり、日本
の魂の問題なのです。自分の魂の問題は他国に伺ひをたてる必
要はありません。日本民族の再生はまづ、その魂を取り戻すこ
と。それが日本民族のアイデンティティであり日本人の気概で
あるのです。それがなければいくら理屈をいつても、それは机
上の論議に終つてしまふのです。
ではどういふことを具体的にやればよいか。ここまでくれば
簡単です。もう靖国の論争はやめませう。もうやめよう。実行
するだけ、参拝するだけ。全ての政治家に参拝するやうに要求
する。参拝しない政治家は運動を起こして落選させる。二度と
当選させないやうにします。それならできるのではないですか。
票は皆さんの手にあります。こいつを落選させたいと思えば落
選させられます。できなければ、それはもはや政治家の責任で
も官僚の責任でもない。有権者の責任です。自分が魂を取り戻
す勇気もなければ気概もない。だつたらそれは、日本がこれか
ら先も無気力な国である続けることは仕方のないことです。
私は靖国問題は攻撃されればされる程、この問題の大切さを
身にしみます。しかし日本人は靖国問題を避けてゐます。家庭
の中でも話題にはならないし、学校ではなおさらなのです。皆
タブーと思つてゐるのです。しかし攻撃する方は全然遠慮はし
ないのです。要は徹底的に潰したい訳なのです。幸ひにして日
本人の魂は完全に消えた訳ではありません。その国民運動を是
非、明治維新の発祥地である下関から起こし、そして台湾の方
の国づくりにも参加して下さい。日本が強くなるといふことは
台湾人にとつては絶対必要なのです。台湾が中国に併呑されな
いことも日本にとつては必要なのです。日本人も遠慮しないで
同志と思つて台湾の国づくりに参加して頂きたい。そして我々
もできることなら、その中国の膨張主義に対して日本と一緒に
戦つていきたいのです。是非仲間になつて下さい。ご清聴有難
うございました。
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