国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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Wing-Mel No.410 物を贈る

2001/10/18

 _/          _/  _/                      物を贈る
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_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/                久家誠司
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.10.18 4,812部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.410
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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     久家誠司さんは、蓮華院国際協力会の事務局長です。この団
    体はタイのスラムの支援、スリランカの教育支援、インドのチ
    ベット難民支援などを活発にされています。今春、熊本でのJ
    OG講演会に来ていただき、そのご縁で機関誌を頂いています。
    以下の「物を贈る」と題された文章には、支援活動でともすれ
    ば見失われがちな視点を指摘されており、感銘を受けました。
    (伊勢雅臣)
    
    蓮華院国際協力協会(ARTIC)
    http://www.uproad.ne.jp/rengein/kokusai.html

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     先日ある高校から電話があり、使われなくなったシューズを
    「ボランティア部」が集めたので、そちらの協会でどこかもら
    ってくれるところを捜してもらえないでしょうか、という相談
    を受けました。当会が支援する途上国の村の人々は殆ど素足で
    生活をしています。靴は持ってはいますが、いたむので普段は
    履きません。そんな村に、たいしてすり減ってもいない靴を持
    っていけば大変喜ばれることは間違いありません。たまたまス
    リランカへのスタディツアーを目前に控えていたため、そのシ
    ューズをお土産として抱えていくことになりました。

    「もったいない」という言葉が死語となりつつある昨今、捨て
    られる運命にある靴を集め、汗まみれであったものを一生懸命
    洗って、誰かに役立ててもらおうという生徒さん達の気持ちは
    賞賛に値すると思います。受け渡しをしてくれた「ボランティ
    ア部」の皆さんの表情はとても晴れやかでした。

     さて、鉛筆、ノート、算盤、縦笛、鍵盤ハーモニカ、オルガ
    ン、パソコン、絵本、眼鏡、衣類、靴、毛布、米、ミシン、車
    椅子、自転車、救急車、消防車…。「恵まれない子どもたちの
    ために」「難民を助けるために」いろいろなモノが途上国に送
    られます。それはほとんどの場合、日本で使われなくなった中
    古品です。マスコミはそれを、しばしば『美談』として伝えま
    すが、こうした運動を「国際協力」の原則に照らして考えてみ
    ると、いろいろな疑問も生じてきます。

■ 本当に必要とされているのか

    「廃品を有効活用する」ことばかりに目が行き、現地のニーズ
    を十分に調べないままモノ集めが行われる場合があります。
    「○○が欲しくないか?」と尋ねられれば、現地の人は確かに、
    「欲しい」と答えることでしょう。しかし実は、他にもっと切
    実に求められているものがあるかもしれない。ひどい場合は、
    相手の意向を確かめもせず、「○○を贈れば喜ぶだろう」とい
    う思いこみだけで運動が始められることがあります。途上国の
    市場では、しばしば日本から贈られたはずの衣類や文具が売ら
    れていることがあります。

■ 現地で買った方が合理的ではないか

     文具のように単価が安いものや、衣類のようにかさばるもの
    は、日本から送る送料の方が高くつく場合があります。輸送中
    に品物が傷んだり、盗難に遭ったりする可能性もあるでしょう。
    そう考えると、現地もしくは隣国で購入した方がコストが抑え
    られるし、現地の生産者を支えることにもなります。

■ 現地の事情に合っているか

     気候風土、生活習慣、エネルギー事情等々、きまざまな点で
    日本とは条件が異なる国へ、日本のものをそのまま持っていっ
    ても、すぐに壊れたり、非常に使いづらい思いをさせることが
    あります。電気製品は電圧が違う国では変圧器がなければ使え
    ないし、壊れても部品が手に入らず修理が出来ないことも多々
    あります。

■ 自立を妨げるおそれはないか

     安易に「与える」ことが、現地の人々の自立を妨げることに
    はならないか。立派な校舎に、机、イス、教材まで用意して、
    「さあ、勉強しなさい」と言われるよりも、自分たちの子ども
    の未来を真剣に考えながら、親たちがカを合わせ、時間はかか
    るかもしれないが、自らの手でこつこつと教育環境を整えてい
    ってこそ、そこに教育が根付くのではないでしょうか。

     モノを与えるのではなく、知恵やノウハウを分かち合うこと
    によって、途上国の人々を支えることができないものでしょう
    か。

■ 私たち自身の生活を問い直す必要はないか

    「家の中の不要になったものを持ち寄って下さい。」といって
    催されているチャリティーバザーを見かけたことがありました。
    果たして途上国の人々は不要なもので支援をして喜ぶのでしょ
    うか。不要な1万円より、分かち合った百円のほうがよほど価
    値があるような気がします。

     不要になったものを途上国に送る前に、まずは私たちの過剰
    な消費生活を改めるべきではないでしょうか。また、不要にな
    ったものを贈るという行為の裏に、万が一にも、「途上国だか
    ら」「貧しい人たちだから」「お古でも構わない」という意識
    が潜んでいたとしたら、それこそ、最も大きな問題です。

     もちろん「物を贈る援助」のすべてが間違っているわけでは
    ありません。ただ、本当に求められているものは何なのか、し
    っかり見極めてから行動することが大切ではないでしょうか。

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