国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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Wing-Mel No.401 当たって欲しくない“予言”

2001/10/01

 _/          _/  _/                      当たって欲しくない“予言”
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_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/                YoJirou
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.10.01 4,785部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.401
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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     テロと戦うという大方針を明確に打ち出せない日本の寄り合
    い政治の行方は? また、その政治の下にいる国民を何として
    でもテロから護らなければという明確な意志を持ち、その具体
    的方策を日本の政治家は本気で考えているのだろうか。日本国、
    日本国民を護るという強い意志を感じさせる政治家を持てない
    日本の不幸。
    
●「文明の所産」護る営みに加われ
 「憲法の制約」の呪縛から脱するとき

     目下、テロリズムの明々白々な挑戦を前にしても、「憲法の
    制約」が当然のように言及される我が国の現状は、私には、件
    (くだん)の自爆テロ行為以上の戦慄を覚えさせる。それは、
    我が国が徹底して臆病にして、自閉的かつ利己的な存在である
    という印象を世界中に再び植え付けかねないからである。
    
     この事件に対する各国首脳の発言の中で私の眼を引いたのは、
    ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相の発言であった。シュ
    レーダー首相は、連邦議会で演説し、件(くだん)の自爆テロ行
    為を「文明市民社会に対する宣戦布告である」と非難し、「米
    国との無制限の連帯」を表明した。この事件を契機に、「テロ
    リズムの否認」は、国際社会の「共通了解」として一層、明確
    に定着するようになったようである。
                     (産経新聞 9.15 櫻田 淳氏『正論』より)

     然(しか)るに、目下、テロリスト集団に対する報復を主導し
    ようとする米国への協力に関連して、我が国では、連立与党の
    一部からですらも、「何でも手掛ける訳にはいかない」という
    声が出始めている。
      
     しかし、我が国が相対しているのは、米国の都合ではなく、
    テロリズムが起こした「文明の所産」の破壊である。本来は、
    「何でも手掛ける」というのが、我が国の示すべき姿勢ではな
    いのか。
      
     テロリズムの跳梁を許せば、「凄惨なる14世紀」が再来し
    ないとも限らない。少なくとも、そのような感覚は、われわれ
    には大事なのではないか。
                     (産経新聞 9.28 櫻田 淳氏『正論』より)

■編集者・YoJirouより■

■テロに結束する米国

     米中枢同時テロに対する米国の軍事作戦が必至となり、「米
    国人として何かの貢献をしなければならない」と、軍に志願す
    る若者が増えているという。事件前の2倍近い若者が応募して
    くる受付事務所もあるという。大学院生や仕事をやめて志願す
    る三十歳前後が中心になっている。退役した六十代の人が「何
    か役に立ちたい」と訪れることもあるそうだ。
    
     当事国だから当然とは言え、米国はテロに対して国民が結束
    しようとしている。
    一旦非常事態になるとアメリカ人の結束力は恐ろしいほどのも
    のがある。

     以下の話は、テロ事件後、アメリカのある旅客機で実際にあ
    ったこととして、今アメリカで感動的に広まっているそうだ。
    
    「機のドアが閉まってから問題が発生した場合、われわれ自身
    で対処しなければなりません。銃や爆弾は排除されているはず
    ですから、武器として想定されるのはプラスチックや木材、あ
    るいはナイフといったものです」

     機長はハイジャックが発生した場合、自らが定めたというこ
    の機のルールを説明した。「犯人が立ち上がって、『ハイジャ
    ックしたぞ』と言ったら、皆さんにも立ち上がってもらいます。
    そして、何でもいいから彼らにぶつけてください。そして、毛
    布でからめとって引き倒してもらいます。その間、私が最寄り
    の空港に着陸します」

     最後に機長は自らをも奮い立たせるように、「普通、ハイジ
    ャッカーは数人ですが、乗客と乗員は二百人以上です(この日
    はテロの影響で乗客は30数人だったそうだが)。合衆国憲法
    には、人民は、われわれのことですが、決して負けないとあり
    ます」と締めくくった。十分もの間続いた機長アナウンスに、
    乗客は拍手喝さいし、涙を浮かべる人もいた。

     その後、客室乗務員もいつものように安全についての説明を
    行った後、「きょうは、この機のみんなが家族です。お互いに
    自己紹介し、家族の写真を見せ合いましょう」と呼びかけた。
    乗員らも、この日がテロ事件後、初のフライトだった。この日、
    機中の全員がお互いを信頼し、全員の結束が何ものよりも強い
    と感じた。機は午後5時40分、ワシントンのダラス国際空港
    に着陸。客室は大きな拍手に包まれた。

     この体験談は、米有力紙も掲載。また、電子メールで次々と
    転送されて米国中に広がりつつある。(産経新聞 9.28)

     ニューアーク発サンフランシスコ行きユナイテッド航空93便
    の乗客のなかに、自宅の妻に携帯電話をかけてきた夫がいた。
    それによると乗客たちは団結し、捨て身になってハイジャック
    犯から飛行機を取り戻すことを決意、彼らと格闘した。

    「きっと命を落とすことになるだろう。いい人生を。娘をたの
    む」、電話は悲痛な別れの言葉をのこして切れたという。その
    あと同機はピッツバーグ郊外に墜落した。事実だとすると、犯
    人らはそのため標的のホワイトハウスに衝突することができな
    かった。

     ハイジャック事件には、決して犯人に抵抗するなというマニ
    ュアルがある。だがこうしたテロ目的の場合は必ずしもその通
    りではない。テロには決して屈しないという人びとの勇気ある
    意志に、心から哀悼をささげたい。(産経抄9.15)

    「首都ワシントン(DC)を守ったヒーロー」。乗客の勇敢さを
    たたえ、米国内では早くも勲章授与の動きも出ている。(産経
    新聞 9.19)

■脳天気日本

     現在、政府は不審船や武装ゲリラの侵入から沿岸・重要施設
    を守る領域警備の一環として、自衛官や海上保安官の武器使用
    規定を緩和するため自衛隊法などの改正案を臨時国会に提出し
    ようとしているが、これにはテロ対策と治安出動も加えるべき
    だろう。

    「予測不能な攻撃」の脅威は米国だけがさらされているわけで
    は決してない。米国の同時多発テロを対岸の火事視せず、早急
    に新法を成立させ、国際社会との対テロ協調姿勢を確立すべき
    だ。

     しかるに、自衛隊の警備範囲などについて自民党総務会では
    まったく“不毛の論議”が展開された。与党三党幹事長は、在
    日米軍基地のほか、皇居や首相官邸、国会、原子力発電所など
    国内重要施設を警備対象にすることで合意していた。従来、国
    内重要施設の警備は「第一義的に警察の任務」(政府筋)だった
    が、今回のテロで「重火器で武装したテロの襲撃には警察では
    対応できない」ことが明確になったためだ。

     しかし、「しっかり警備に取り組んでいる警察への侮辱」
    (自民党の野中広務元幹事長)、「戒厳令と受け取られる」(加
    藤紘一元幹事長)といった脳天気としか言いようのない意見が
    通ってしまった。

     「後藤田正晴元官房官をはじめ、警察の権限を奪われたくな
    い警察官僚出身者が猛烈に運動した」(自民党中堅)ことも影響
    したようだ。(産経新聞9.27)

     嗚呼、脳天気日本!大きなテロにでも合わない限り目覚めぬ
    のだろうか!

■当たって欲しくない“予言”

    「予測不能な攻撃」の脅威は米国だけがさらされているわけで
    は決してない、と上で書いたが、これは言葉の遊びではない。
    事態が起こってから言っても遅いのである。

     サバイバル本で有名な自称元フランス外人部隊傭兵の作家、
    柘植久慶氏(59)は、今年1月、小学館から発行された「21世
    紀サバイバル・バイブル」の中で、米ニューヨークの世界貿易
    センタービルへの自爆テロを“予言”、的中させたとして脚光
    を浴びている。

     その本のなかで、過激なイスラム原理主義者によるテロの危
    険性を指摘。今回の事件の黒幕ウサマ・ビンラーディン(44)を
    名指しで挙げ、まるでテロ計画を事前に知っていたかのように
    ズバリ断言し、警告を発していた。

    「ハイジャックなどされ(中略)、指導者ラディンの命令がニ
    ューヨークの中心部での自爆なら、乗員乗客全員を道連れにし
    て、迷いもせずマンハッタンに突っ込んでゆくだろう」、と。
     (夕刊フジ 9.27)

     この柘植氏が、「日本国内にもその矛先を向けてくるだろ
    う」という第2波テロの予測をしている。そのタイミングは
    「中東で大規模な火の手があがったときである。(中略)日本
    は米国を支援、あるいは支持の立場を表明した時点から、彼ら
    の標的になってしまう」と同書のなかで分析する。

     柘植氏は、「日本人はテロ防止というより逃げ腰になりがち。
    でも、高い生活水準にある以上、日本は低水準のグループの標
    的になる可能性がある。まずは断固、テロと戦う気持ちを持つ
    ことがスタートだ」と訴える。

■逃げ腰は犠牲を増やす

     柘植氏が上で言っているように「日本は米国を支援、あるい
    は支持の立場を表明した時点から、彼らの標的になってしま
    う」、ということが一番大きな理由だろうが、朝日、毎日新聞
    を筆頭とし、社民党など、「(軍事的)報復は報復を呼び、事
    態がさらに悪化する危険がある」(朝日 9.12)と、軍事行動
    に反対する。しかし、かけ声だけは「これ(同時多発テロ)は
    世界への挑戦だ」(朝日 9.12)と勇ましい。だからどうしろ
    というのだ?

     朝日によればテロは「国際協調で追いつめる」(9.14 社
    説)のだそうで「テロに対し『戦争』の論理でなく『国際犯
    罪』として臨む姿勢」が大切なのだという。

     だが、テロは単なる国際犯罪ではない。テロリストは政治的、
    宗教的目的を有しており武装警察でもかなわない軍事力を保持
    し、かつ無差別攻撃を行う。明らかな戦闘集団なのだ。だから
    「戦争」という概念でしか対応できない。国際犯罪での対応で
    は、言うことを聞かなければ結局そのままで、結果的にテロを
    容認することなる。報復しなくても必ずテロは仕掛けられてく
    る。テロ組織に打撃を与えなければ惨劇はいつまでも続くだろ
    う(打撃を与えても続くだろうが、跳梁放置は絶対できない)。

    「憲法」と呪文を唱えさえすれば国際責任の不履行も許される
    と信じ込んでいる古い政治家や、「〈わな〉にはまるな」(9.1
  3)3)、「国際協調で追いつめる」(9.14)などで旧態依然たる反戦
    反軍事論のオウム返しに終始する朝日新聞の社説など、それら
    をどう克服してゆくか。それができなければ日本は国際的孤立
    に陥るしかなかろう。そして、孤立した日本に明るい未来はな
    いのである。だが私は、そうしたワンパターンのマンネリ「平
    和」論に日本国民が心を奪われる時代は、もう終わりつつある
    と思う。(産経新聞 9.29 神谷不二氏『正論』)

■何も要求しないテロの恐ろしさ

     パレスチナ人ゲリラやハイジャック犯、IRA(アイルラン
    ド共和軍)のゲリラなどが掲げる要求は、われわれにも理解で
    きる。彼らは人々を脅かしたり、同情を引くためにテロ行為を
    する。それによって、政治的に認知されるなり、独立なり、何
    らかの見返りを勝ちとろうというのだ。つまり、彼らはわれわ
    れの世界の一員になろうとしているのである。

     ところがビン・ラディンやその信奉者たちはわれわれに何も
    望んでいない。だからこそ、彼らの存在は不気味なのだ。彼ら
    は同情されたいと思っていないし、何らの物質的な見返りも望
    んでいない。国際社会の一員として認められたいとも思ってい
    ない(そもそも国家の枠組みそのものを信じていない)。彼ら
    を駆り立てているのは政治ではなく、宗教的な動機だ。誰のた
    めでもなく、ただ彼らの神のためにテロを行っているのだ。そ
    んな彼らがわれわれの呼びかけに応ずることなどあり得ない。
    (デビッド・プロッツ 米国MSNSLATEのワシントン支局長)
    (MSN 9.17)

     これと応戦していくことは容易なことではないだろう。20
    世紀は「革命と戦争の時代」と大きく括られることになりそう
    だが、ひょっとすると21世紀はバラ色どころか、「宗教テロ
    との戦いの時代」になる可能性すらある。

     テロリズムの跳梁を許せば、「凄惨なる14世紀」が再来し
    ないとも限らない。少なくとも、そのような感覚は、われわれ
    には大事なのではないか。(櫻田 淳氏)


【関連】
『日本は相手にしてもらえるか?』 YoJirou JOG Wing No.397 (H13.09.24)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000403.html
『驚愕空前 米中枢部への同時多発テロ』 YoJirou JOG Wing No.394
(H13.10.17)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000400.html
 米国防総省とニューヨークの世界貿易センタービルに対し9月11日朝(日
本時間同夜)、ハイジャックされた国内線民間航空機が突っ込むという同時多
発テロ攻撃があった。アメリカにとって空前の本土攻撃。アメリカ国民は完全
に団結するだろう。完全に団結したアメリカは怖いものなしフリーハンドにな
るだろう。ルーズベルト大統領により完全団結を仕組まれた(?) 60年前(日
米開戦時)のアメリカと何か変わっているだろうか。注目したい。

 このテロで最後にほくそ笑むのは誰だろうか、このテロで一番得をするのは
誰だろうか、という視点でこの悲惨な大事件を冷静に眺めてみることも必要で
あろう。マスメディアがカーッとなって大々的に取り上げているアメリカ政府
の視点とは違うものが見えてくるかも知れない。まんまと真珠湾攻撃にもって
いかされ、厭戦気分のアメリカ国民を一夜にして団結させてしまい、完膚無き
までに叩きのめされたかつての日米関係があぶり出されるかも知れない。
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