国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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Wing-Mel No.397 日本は相手にしてもらえるか?

2001/09/24

 _/          _/  _/                      日本は相手にしてもらえるか?
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.09.24 4,777部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.397
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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     多国籍軍反テロ戦争が始まることは必至の情勢となった。日
    本の取るべき進路は、日本の果たすべき役割は、今後の日本の
    国際的に占める地位はどうなるのだろうか。

●対米支援 同盟日本、重大岐路に

     米中枢同時テロに報復する国際的な共同行動の動きが強まる
    なか、日本は同盟国の米国と共同歩調を取れるかどうかの重大
    な岐路に立っている。

     与野党内には米国の報復支援への反対意見も根強く、与党を
    まとめきれるか、首相の指導力が問われている。

     首相はテロ発生直後から、米国への「できるだけの援助と支
    援」を表明、米国の報復も支持する考えを打ち出している。た
    だ、支援策は具体的に詰まっておらず、日本が91年の湾岸戦
    争で、総額130億ドルを拠出したが、「顔の見える貢献」が
    できずに国際社会で評価されなかった失態が再現される懸念も
    強い。

     北大西洋条約機構(NATO)が初の集団的自衛権の発動を決
    定したことで、「日本も報復措置に軍事面で協力しなければ、
    日米同盟は崩壊する」(政府筋)との強い危機感がある。
                                           (産経新聞 9.17)

■編集者・YoJirouより■

■脱力声明

     先々週11日のアメリカでの同時多発テロの発生以来、世界
    中が騒然となった。アメリカ国民も悲痛の声を上げつつ団結を
    している。その中でケロッとしているのが日本だ。他人(ひ
    と)ごとのような受け取り方を内外に示している。日本は個人
    でも国でも自分に関わりのあること以外は他人ごとの傾向が非
    常に強い国だ。それが今の日本の苦境の根元でもある。政治も
    例外ではない。

     小泉首相は、テロの第一報を聞いた時、これは大変だと思い、
    すぐ記者会見を開いて所信を表明することを考えたようだ。し
    かし、官邸筋(またもやおとぼけ福田官房長官だ)や外務省側
    から「しばらく様子を見て」とか「各国の対応を待ってから」
    などの雑音が入り、そのまま思いとどまってしまったと言われ
    ている。小泉首相がまごまごしているうちに、いち早くNAT
    O諸国が断乎テロと戦うと内外に意思表明した。冷戦時代なら
    真っ先に反対したに違いないロシアや中国もアメリカ支持に回
    る。「ならずもの国家」扱いされているキューバや北朝鮮さえ
    アメリカ側に立つことを躊躇しなかった。小泉首相はテロ発生
    から12時間後、やっと何の感情も、抑揚もない原稿棒読みの
    寝ぼけのような脱力声明を行った。無感動もはなはだしいもの
    だった(顔も寝起きで惚けたような顔だった。声明を出す顔も
    重要だ。他国の首脳を見習え)。

     側近が何といおうが、秘書官がストップをかけようが、ここ
    一番という時は首相自身の決意と判断で行動を起こさなければ
    いけない。それが首相のリーダーシップというものだ。えひめ
    丸事故のときの森首相といい、今回の小泉首相といい、リーダ
    ーシップという点で大いに欠けている(このことは8月13日
    靖国神社参拝でもう見えていたのだが)。これでは世界に訴え
    ようがない。

     先々週14日は閉会中にもかかわらず衆院予算委を開いた。
    しかし通り一遍の議論で、テロにたいする認識、その対策、と
    くに日本の国際的役割という点になると、問う方も答える方も
    おざなり、および腰だった。何の迫力もない。当然、アメリカ
    をはじめとする世界にも日本の顔はまったく見えないし、伝わ
    らない。首相にも政治家にも国際政治はパフォーマンスが大き
    くものを言う世界だという意識がまったくない。

     ブッシュ大統領はイギリス、フランス、ドイツの順で協力要
    請の電話をかけ、ロシア、中国と続き、小泉首相はその後だっ
    たそうだ。世界第二の経済大国もまったく影が薄い。それとい
    うのも日本の顔が見えないし、見せようというパフォーマンス
    がまったくないからだ。日本にはそんなことは必要ないという
    意見も多いだろうが、国際的生き残り策としては重要な要素だ。

     小泉内閣の前途に立ちはだかるハードルは景気の動向と同時
    多発テロのその後の展開だろう。世界から相手にされない日本
    では、首相もやがて国民から愛想を尽かされ、経済も一層落ち
    込んでいくことになるだろう。

■国の存立にかかわる

     米中枢同時テロへの日本の対応は、何よりも、人道や文明社
    会への挑戦との点を忘れてはいけない。

     友人が危機にひんし、苦しむときにどうするか、日本のモラ
    ル、日本人の誠が問われている。米国が日本に何を求めている
    のかコミュニケーションを密にとるべきだ。

     今回の対応は安全保障の根幹にかかわり、経済再生、構造改
    革よりもずっと優先順位が高い。国の生存と存立にかかわると
    いう意識を持たないとおかしなことになる。
                                (産経新聞 9.17 中西輝政氏)

     米国への追随という観点で、テロへの報復行動に反対する向
    きも多いが、米国への追従ではなく、テロは許さないという断
    固たる意思表示(武力をも含む)を結束して示すという意味で、
    日本の立場を鮮明にすることが重要なのである。報復は報復を
    呼ぶとか、報復は何も解決しない、とか言うが、戦争状態でな
    いとき(テロ側は勝手に戦争状態だというだろうが)に、自分
    の信念で、何の関係もない市民を一瞬にして数千人殺す者に対
    して、話し合いだの、説得だのができると本当に思っていると
    すれば、何の責任も感じないで自分に閉じこもる自閉的空想家
    だ。あるいは、自分や自分の国だけが何とか無事であってくれ
    れば(無事であるための方策は採らない、願うのみ)、後は知
    らない、関係ないと、砂に頭を突っ込んで安全だと思おうとす
    る無責任刹那派のダチョウであろう。戦後の日本は本質的にダ
    チョウになってしまったようだ。

■国益政治

     上で「米国への追随ではなく」と書いたが、米国への追随と
    いうことも現実政治、国益政治としては非常に重要なことであ
    る。国益政治とは「自国民の生命、財産を危険にさらさないよ
    う最大限の活動をし、それを豊かにするための努力をする政
    治」と考えてよかろう。そのためには常にどちら側に着くのが
    ベターかベストかと考える政治である。

     今の世界の現実政治を考えると強い方、アメリカの側に付く
    のが絶対に上記の国益にかなう(それに何だかんだと言っても、
    現在の世界ではアメリカはやはり「自由と民主主義」の国であ
    ろう。こちら側に付くことがまず大前提だ)。正義は力次第で
    (何が力かということも問題だが)どうにでもなるのが現実の
    国際政治である。先の大戦でも日本にも大いに正義はあったが、
    負けてしまえば国際的には吹き飛んでしまった。負けて60年
    近く経ったが、いまだに中韓などから悪の国としていじめ抜か
    れている。負けるとはこういうことだ。勝たなければいけない。

     YoJirouの前号JOG Wingでもちょっと匂わせ
    たように、悪玉になるように相手を追いつめて暴発させ、それ
    によって自国民を団結させて「正義の戦争」を戦うのが大国ア
    メリカのお家芸である。日本もいつ「悪玉」に追い込まれるか
    わからない。日本が世界で「いじめられる側」「悪玉」側にま
    わされることは絶対に防がなければならない。これが世界的規
    模で考える国益政治でもある。

     同時テロの真相がまだ判明しないうちから、早々と西欧やア
    ラブ諸国が米国支持にまわった理由もそこにある。テロの真相
    は政治的には何とか格好がつけばどうでもよいのである。たと
    えは悪いが、中国にとって「南京大虐殺」の真相などはどうで
    もよい、日本を押さえつけられればよい、金になればよいのと
    似たようなことである。身も蓋もないが、煎じ詰めればそれが
    国際政治の冷厳な現実である(しかも、これを表向きはいかに
    老獪に、巧みに、美しく飾るかである。これは小手先だけでで
    きることではない)。当然これと付き合うには相手以上に老獪
    である必要があるが、日本の政治家、外交官には荷が重すぎる。

■巧みな国際世論操作

    「彼らを絶対に追いつめる。各国は味方か、さもなければテロ
    リストの味方とみなす。支援国は攻撃の対象となる」
                                   (米大統領議会演説 9.21)

    「今回の戦いは米国民だけの戦いではなく、世界の戦い、自由
    と恐怖の間の文明の戦いだ。信仰、自由を希求する人々の戦い
    ともいえる。世界は米国側についている」
                                   (米大統領議会演説 9.21)

     巧みだ、老獪だ。さすが、アメリカは国は若いが国際政治で
    はベテランだ。日本の政治家は誰一人これの万分の一も真似が
    できないと分かっているのが情けない、というかそれが日本な
    のだろう。

     同盟国である以上、そしてそれ以上に、日本人や日本企業が
    攻撃されている以上、われわれはこの「戦争」に参加せざるを
    えない。自国の軍隊を持たない以上、アメリカ支援の形で協調
    行動をとる以外にない。しかし、大変なにがみを伴ってである。
    そしてこれが一体、どのような戦争なのか、われわれは同時に
    問いつめなければならない。21世紀の新たな戦争からわれわ
    れが守るべきものは何なのか、まさにそのことが問われている
    のだ。
                        (産経新聞 9.21 佐伯啓思氏『正論』)

【関連】
『驚愕空前 米中枢部への同時多発テロ』 YoJirou JOG Wing No.394
(H13.10.17)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000400.html

     米国防総省とニューヨークの世界貿易センタービルに対し9
    月11日朝(日本時間同夜)、ハイジャックされた国内線民間航
    空機が突っ込むという同時多発テロ攻撃があった。アメリカに
    とって空前の本土攻撃。アメリカ国民は完全に団結するだろう。
    完全に団結したアメリカは怖いものなしフリーハンドになるだ
    ろう。ルーズベルト大統領により完全団結を仕組まれた(?) 6
    0年前(日米開戦時)のアメリカと何か変わっているだろうか。
    注目したい。

     このテロで最後にほくそ笑むのは誰だろうか、このテロで一
    番得をするのは誰だろうか、という視点でこの悲惨な大事件を
    冷静に眺めてみることも必要であろう。マスメディアがカーッ
    となって大々的に取り上げているアメリカ政府の視点とは違う
    ものが見えてくるかも知れない。まんまと真珠湾攻撃にもって
    いかされ、厭戦気分のアメリカ国民を一夜にして団結させてし
    まい、完膚無きまでに叩きのめされたかつての日米関係があぶ
    り出されるかも知れない。

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