国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

全て表示する >

Wing-Mel No.382 抜き打ち参拝の末路

2001/08/20

 _/          _/  _/                      抜き打ち参拝の末路
 _/          _/      _/_/_/      _/_/_/   
_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/                YoJirou
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.08.20 4,613部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.382
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/   _/_/     _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 

============================================================
★★ 編集長・伊勢雅臣講演会(9/1 三重県津市 市民文化大学)★
      「子どもたちに自分の国を語れますか?」
詳細問い合わせ: webmaster@internet-times.co.jp または
http://www.internet-times.co.jp/news/news130804/shimin-1-130804.html
============================================================

     小泉首相が抜き打ち的に8月13日に靖国神社に参拝した。
    首相は誰を抜き打ちしたのだろうか?


    ●公約果たさず期待が失望に

         小泉首相の8月13日の靖国神社参拝には全く失望した。
        わたしは靖国神社参拝の肯定論者であるが、ここでその是
        非を論じるつもりはない。失望したのは次の三点において
        である。

         第一に首相は15日の終戦日に参拝すると繰り返し明言
        していた以上、これは公約違反で国民を欺いたに等しいと
        いうこと。
        
         第二に15日を避けたのは明らかに中韓外交を意識して
        のことだから、日本の外交スタンスは相変わらず土下座外
        交のまま変わらないことが明白になったということ。
        
         第三に「恐れずひるまず」が小泉改革のキーワードにも
        かかわらず、中韓の脅しにひるんで日程をずらしたからに
        は、首相の掲げる構造改革も内外の抵抗勢力との妥協の産
        物に終わる可能性が高いことである。一事が万事という言
        葉もある。
        
         わたしは今回の靖国神社参拝が小泉内閣の試金石と考え
        ていた。
        参拝の是非ではなく圧力に屈せず「有言実行」するか、首
        相の度量を見ていた。だが期待は失望に変わった。
                (産経新聞 8.15 岩脇一喜氏 40 横浜市 投稿)

■編集者・YoJirouより■

■YoJirouの賭けと失望

     YoJirouはJOG Wingの前号で「小泉首相は必ず8月1
    5日に靖国神社に参拝すると思うが」と断言した。こう断言す
    るには当然躊躇もした。断言して外れたら読者に済まないのと、
    自分の予測外れが恥ずかしい、という迷いである。しかし、断
    言した。小泉首相の明確な言葉に期待し、希望し、「必ず」
    と賭けたのである。しかし、見事に裏切られた。その分失望感
    も大きかった。(最後まで心配していたのは首相の取り巻きの
    ことであったが、やはりその心配が当たった。JOG Win
    gでも何度か、「周りがひどすぎる」と書いた)

     同じように感じた国民は多いと思う。小泉首相の空前の人気
    はいままでの首相にない、はっきりしたもの言いの爽やかさ、
    力強さに負うところが大きい。
    その中でも、「いかなる批判があろうとも8月15日に靖国神
    社に参拝し、戦没者に哀悼の誠を捧げる」と、自民党総裁選挙
    中から、声をからしてきっぱりと断言し続けたことに負うとこ
    ろが大きい。
    
     「15日靖国参拝」の意義とそれへの支持はマスコミではな
    かなか分からないが、「草の根」(一般の普通の人々)では大
    きな意味を持って支持されている。左傾マスコミや政党はよく
    「草の根民主主義」を標榜する(こう書いたら、早速、外圧利
    用教科書潰し左翼集団「子どもと教科書全国ネット21」が記者
    会見でこの言葉を使っていた)が、それはお題目であって、普
    通彼らは「草の根」無視、お題目イデオロギー優先であるから、
    彼らのイデオロギーに合わない「草の根」のことはマスコミで
    は分からない。
    
     「13日参拝」への「草の根」の失望はかなり大きいと思う。
    これで小泉内閣支持率は確実に下がるだろうが、左傾マスコミ
    は何でも自分の都合のいいように解釈するから、靖国神社参拝
    を決行したために支持率が落ちたと解釈し宣伝するだろう。

■慚愧の念

     首相は15日断念は「慚愧の念にたえない」と言っていたが、
    小泉総理の末路は文字通り「慚愧」なことになるだろう。これ
    すべて「15日参拝」反故(ほご)から来る。
    
     首相はこれまで、「戦没者に対して、心を込めて敬意と感謝
    の誠をささげたい」と参拝への不退転の決意を示し、問題とさ
    れたA級戦犯の合祀についても「死刑という刑罰を受けている。
    死者を選別しないといけないのか」などと述べてきた。これは、
    多くの日本人に共通する心情であり、国民の多くは、小泉首相
    はその発言通り15日に参拝すると思い、期待していた。
    
     一国の首相の発言は格別の重みをもつ。しかも、その言葉に
    期待を持たれ、それを裏切ったと思われたら、致命的打撃を受
    けることは避けようがない。小泉首相の命運は尽きたと言える
    かも知れない。とにかく参拝したということを評価する向きも
    あろうが、首相の言動が「姑息」と思われたら早晩命運は尽き
    る。

■浅はかだった首相の「熟慮」

     聡明で意志強固のはずの小泉総理がこんなことが分からなか
    ったのであろうか。「熟慮」の結果13日にしたというが、こ
    れで中韓は納得したり、許容するとでも思ったのだろうか。そ
    うだとすればまことに浅はかな「熟慮」である。韓国の新聞
    (日本語版)を見るだけでも、15日参拝が問題なのではない。
    参拝すること自体が悪なのだとさかんに抗議しているのが分か
    る。まして一国の総理がこういう情報を得ていないはずはない
    だろう。どちらにしても抗議の荒らしと分かれば、公言した方
    を取るべきだと何故熟慮できなかったのだろう。

         「侵略戦争の象徴である靖国神社に公然と参拝したこと
        は戦争被害者を蔑視するものだ」「8月15日を避けたと
        しても、問題の本質をすり替えることはできない」
        (人民日報 8.14)

         「全国人民代表大会(全人代)外事委員会談話は、終戦の
        日を避けた参拝を「内外の抗議のムードを緩和するため」
        と指摘。
        時間的な選択では「軍国主義戦争の罪人に対し礼拝した事
        実は変え難い」と非難した」(産経新聞 8.15)
        
         「参拝の日を変えたにもかかわらず、太平洋戦争のA級
        戦犯が合祀されている靖国神社を参拝したこと自体につい
        て韓国と中国、国際社会が強く反発、批判しており、今後
        の国際関係が注目される。朝日新聞は「96年以来なかった
        首相の靖国参拝を再開したことで、国内外から反発がさら
        に強まるのは確実」と予想した」
        (朝鮮日報 8.14) ※やはり、お決まりの、朝日新聞の
        外圧呼び込みのための予想記事引用である

     ついでであるが、面白い人民日報(日本語版)の記事を見つ
    けたので紹介しておく。

        『人民日報』 更新時間:2001年08月05日12:41(北京時
        間)
          首相の靖国参拝、聖教新聞に「私的でも反対」の社説
              <内容略>
             「朝日新聞」2001年8月5日(より引用)

     お分かりでしょうか。創価学会が首相の靖国神社参拝に反対
    している、と朝日新聞が報じている、と人民日報が報じている
    のです。この三つ巴外圧導入作戦、国を売る作戦を見事に見せ
    てくれています。しかも、時間に注目してください。即日報道
    ですよ。何と素晴らしいこの緊密な関係!

■どちらからも反発 いいとこなし

     このように13日参拝は中韓からも強烈な反発を受け(これ
    は当然の折り込み済みのはず。折り込み済みでないとすれば何
    たる無能)、反対勢力は中韓に同調(というより中韓を引っ張
    り込んだ)、支持派は大きく失望し、反発する。何らいいとこ
    なしである(多少中韓のメンツが立つという論があるが、疑問
    だ)。

     それに対し、公言(小泉首相は途中から公約ではないと言い
    だした。あのあたりからおかしくなった)どおり平然・悠然と
    15日参拝をしていれば、当然織り込み済みの大反発はあるが、
    少なくとも、多くの物言わぬ“草の根”支持派の絶大な支持は
    得られ、“敵方”の脅し外交カードを断ち切るきっかけとなり、
    日本の精神的復興の礎を築き、構造改革を成し遂げた偉大なる
    首相として歴史に名を留めたかも知れない。
    
     しかし、公言違反の13日参拝で最早この道は閉ざされてし
    まった。回復の道が少しでもあるとすれば、靖国神社の秋の例
    大祭に総理として参拝することくらいであろうか。神社として
    は例大祭の方が意味が大きいそうである。

■腰の引けた決断

     産経新聞 (8.14) によると、小泉首相の靖国神社参拝に合わ
    せて発表された「小泉談話」は、社会党(当時)の村山富市首相
    が出した「村山談話」を下敷きにしながら、それ以上の踏み込
    みをしているところがある。過去の植民地支配と侵略に言及し
    た部分をみると、村山談話では「多大の損害と苦痛を与えた」
    とあるのが、小泉談話では「誤った国策にもとづく植民地支配
    と侵略を行い、計り知れぬ惨害と苦痛を強いた」と、表現が強
    まっている。小泉談話はその上で、村山談話にはない「(それ
    は)多くの人々の間に、いやしがたい傷痕となって残ってい
    る」という言葉を付け足した。
    
     これでは、村山総理以上に腹が据わっていないとも思える。
    靖国神社参拝という日本では人気があるが、中韓に対して何か
    “後ろめたいこと”をするから、多少でも彼らが気に入りそう
    なことを言っておくか、という感じである。
    取りようによっては、侵略し、悪逆の限りを尽くした「英霊」
    に参拝するような印象を与える。これでは参拝の意義が半減す
    る。
    慰霊の誠など感じられない。単なる政治家の人気取りの道具に
    使っているとも言える(まあ、政治家はそれでも良い。国益に
    有効に使うなら)。小泉総理の歴史観(そんな大層なものは持
    ってなさそうだ。戦後教育そのままのようだ)に不審を抱いた。
    戦没者追悼式の言葉にもそれを感じる。
    
     村山元首相は「私の談話を引用してまで、なぜ参拝したのか。
    矛盾だ。これでは『村山談話』は単なる作文になる。恥ずかし
    い限りだ」と怒りを口にした(朝日.com)、そうだ。
    
     にわか転がり込み村山社会党元総理は、靖国神社に参拝しな
    い理由に『村山談話』を一生懸命作文したのだろう。小泉総理
    がそれを参拝理由に使っているのは確かに「矛盾だ」。しかも、
    村山談話以上に自虐的色彩を強めて。腰が引けていた証拠だ。
    これでは構造改革もできそうもない。

■アメリカの影

     YoJirou は JOG Wing 前号 (H13.08.13) で

         「万一小泉総理が靖国神社参拝を断念するようなことが
        あるとすれば、中韓の圧力ということもあるが、アメリカ
        の影があるということを忘れてはならないだろう。アメリ
        カは日本の教科書や靖国神社参拝に何ら価値を認めてはい
        ない」。

     と書いたが、やはりこれは当たっているようだ。

        「結果的に参拝日が変更された背景には「米国の日中関係
        悪化に対する懸念があった」(外務省筋)との見方がある。
        米国の懸念は「日中関係のこれ以上の悪化は米国の対中戦
        略上も好ましくない」というもので、首相に対しては川島
        裕前事務次官の定例ブリーフィングの場などで伝えられた
        という。外務省幹部の一人は、「首相の参拝日変更の決断
        は、中韓両国への配慮というより米国との協調を考えての
        もの」と解説する」(産経新聞 8.15)

     やはり、自国(米国)の国益にかなうとアメリカが認めたこ
    とでなければ、なかなか実行できないということだ。アメリカ
    の示唆は日本の国益を考えてのことではない。当然、アメリカ
    の国益の観点からの示唆である。しかし、現段階ではアメリカ
    との同盟関係しか日本の国益上ベターな選択はないのも現実で
    ある。そういう中で、いかに日本の精神的自立、復興をしてい
    くか。首相の8月15日靖国神社参拝が大きな起爆剤になる可
    能性を秘めているのである。中韓はもとより、アメリカも心配
    するほどの精神的自立をするインパクトのあることなのである
    (逆言うとそれを一番恐れて、芽を潰そうとするのが中韓であ
    り、アメリカだ。プラス日本国内の反日派がいる。敵に回して
    一番恐ろしいのはアメリカだ)。それだけ難しく、やりがいの
    あることを小泉首相がきっぱりやると公言したので圧倒的支持
    を得たのだ、とYoJirouは解釈していた。13日参拝の
    失望は大きかった!

    「ますます日本の外交は侮られるばかりだ」(石原慎太郎氏8.
    15 靖国参拝時)

     しかし、日本の哀しいところは、小泉総理が引退しても、同
    じように毅然として、動じない見事な総理が出る可能性、人材
    があるか、はなはだ心許ないところである。ここを中韓は見透
    かしているので、またぞろ攻めて来ればぺしゃんとなる可能性
    大だ。嗚呼、哀しきかな日本!国家百年の大計を建てられる人
    材を百年かかって育てなければ! (JOG Wing No.379)

     教科書問題までは「毅然として、動じない見事な総理」だっ
    たのが、8月15日参拝反故ですっかり色褪せてしまったのは
    日本にとって哀しい後退だった。

【関連】
『 “靖国戦争”も終息か?』 YoJirou JOG Wing No.379
(H13.08.13)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000385.html
『小泉新総裁 朝日 ≒ 朝○日● の報道』 YoJirou JOG Wing No.330
(H13.04.30)
http://www.melma.com/mag/56/m00000256/a00000336.html

============================================================
★★★ 書籍版「国際派日本人養成講座」第3巻発売中 ★★★
・「一つ屋根」の理想を掲げて
   歴史の中の共同体、奉公の人、公と私と、現代と共同体、、、
・全員に電子ブック版総集編をプレセント
・A5判218ページ 定価1,000円(税込み)+送料他210円〜
・千年紀書房 http://www.myciz.net/mmbook/jog.htm
============================================================
-----------------------------------------------------------
購読申込・既刊閲覧: http://come.to/jogwing Mail: jog@y7.net
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座 http://come.to/jog 
-----------------------------------------------------------

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:1999-03-10  
最終発行日:  
発行周期:3回/週  
Score!: 89 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。