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Wing-Mel No.377 映画製作反対は逆効果

2001/08/09

 _/          _/  _/                      映画製作反対は逆効果
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_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/                佐々木敏
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.08.09 4,507部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.377
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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    拝啓 グレアム・グリーン 様

     私は、貴方様にJOG Wing No.374「歴史観防衛は最重要な安全
    保障」の記事で御紹介頂きましたSF「ゲノムの方舟」の著者
    で作家の、佐々木敏と申します(内容は↓で御覧頂けます)。

http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/cntnt.html#toyokeizai

     御紹介有り難うございました。が、貴方様の

        「(南京虐殺を描く)このような捏造反日映画は与野党政
        治家の力を糾合して徹底的に阻止しなければなりません」

    というお考えについては、貴方様の愛国(親日)的心情とは裏
    腹に、まったく逆の効果を生む恐れがありますので、反対意見
    を申し上げたく、失礼ながらメール差し上げた次第です。

     おそらく今後、ハリウッドで作られれる「親中反日」映画の
    数は増えていくでしょう。が、それを製作前、企画段階から聞
    きつけて、その製作や上映を妨害しようというのは、アメリカ
    人にとって(また、日本人にとっても)重要な価値である「言
    論の自由」を否定することになります。

     それは、日本の中学生向けの特定の歴史教科書の内容を、文
    部科学省の検定作業終了前からリークして、不合格、不採択を
    求めて圧力をかけている連中と同じ「不正行為」にあたるので
    はないでしょうか。

     もし日本の政治家がハリウッドのプロデューサーを相手に
    「製作反対」などとひとことでも口にしたら、「日本人は言論
    の自由がわからない国民」との偏見が広まり(あるいは中国の
    手先によって広められ)日米の友好関係にとりかえしのつかな
    い打撃を与えかねません。アメリカ人は「言論の自由」のこと
    を「血を流して獲得してきた尊い人権」と教えられて育つので、
    これを軽視することは致命的です。

     中国共産党政府が、ハリウッドへのロビー活動に熱心なのは、
    『セブン・イヤーズ・イン・チベット』などの反中国映画や、
    俳優のリチャード・ギアらの「チベットサポーター」の活動を
    通じて、ハリウッドを敵にまわすことの恐ろしさを痛感してい
    るからにほかなりません。

    (2000年度のアカデミー賞発表前、投票権を持つアカデミー会
    員に「世論調査」を行って、主要6部門の受賞者のうち5部門
    を事前に予測して的中させた「ウォール・ストリート・ジャー
    ナル」は当初は、読者の知りたいことを報道しただけ、と居直
    っていました。が、やがて「授賞式」の権威やそのテレビ中継
    の視聴率の低下を懸念するハリウッド側の抗議を受け入れたの
    か、翌年からこの種の調査報道を自粛しています。世界一の経
    済紙を「黙らせる」ほど、ハリウッドの力は強いのです。日本
    の政治家ごときの出る幕はありません)

     間違った言論(貴方様が間違っていると思われる言論)に対
    しては「正しい言論」をぶつけ、反日映画の製作、上映につい
    ては映画の「完成を待って」抗議運動や不買運動を起こす(最
    終的にその映画製作者に損をさせる)……このような「言論の
    自由」に基づく正当な反対運動以外は、絶対にやってはいけな
    いのです。

     なぜヒットするかどうかもわからない南京虐殺の映画の製作
    を、いまから阻止する必要があるのでしょうか? 私は現在、
    中国政府の猛反発を買いそうな小説

    「龍の仮面(ペルソナ)」(仮)

    を執筆しており、これをどこかで映画化、配給してもらいたい
    と考えております。が、もしも、貴方様の指摘される「南京虐
    殺」の反日捏造映画の製作阻止が成功してしまうと、中国政府
    の圧力による私の作品の映画化阻止も正当化されるでしょう。
    日米の映画関係者も「おあいこ」として容認するかもしれませ
    ん。そして、このような既成事実が積み重なっていけば、いず
    れハリウッドには「中国政府を怒らせる映画は作れない」とい
    う不文律が出来上がってしまう恐れがあり、こちらのほうがよ
    ほど問題です。

     そもそも反日(捏造)映画といったところで、「パール・ハ
    ーバー」にせよ「南京虐殺」にせよ、遠い過去のことにすぎま
    せん。いま現在、日本政府が、中国にもアメリカにもなんら具
    体的な(軍事力行使などの)実害を与えていない以上、そんな
    もので反日感情や反日世論が、そんなに広まるでしょうか。台
    湾や香港の日本芸能人大好き族(ハーリーズ)が心変わりする
    でしょうか。過去を扱った反日映画によって被る日本の被害は、
    せいぜい貴方様や私を含めた日本人の「不快感」ぐらいで済み
    ます(逆に、チベットで「現在」も進行している人権弾圧を世
    界に知らしめたがゆえに、中国は『セブン…』などの反中国映
    画を「実害のあるもの」として目の敵にしたのです)。

     重要なのは、現在であり、未来です。貴方様は中国は13億の
    巨大人口を持つと言われましたが、私はそうは思いません。中
    国は、広東省、北京、上海など数千万から一億程度の、言語や
    文化の異なる「小王国」の寄り合い所帯に過ぎません。日本の
    某ビール会社が上海には進出したものの中国の他地域に進出し
    ないのは、上海と他地域では、生活水準も慣習も法律も役人の
    賄賂の取り方も違うので、他地域への進出ではマーケティング
    をゼロからやり直す必要があって採算が合わないからです。結
    局、バラバラの貧しい13億人よりも、統一された日本の(豊か
    な)1億3000万人のほうが市場としては大きいのです(だから
    『パール・ハーバー』の製作者も日本公開版では、日本市場を
    気遣い、反日表現を緩めざるをえなかったのです)。

     私は(日米でなく)日中の映画摩擦を解消するために、以下
    のことを提唱します。

#1
    「中国の限界」を示唆す映画を製作(中国の過去を扱わない)
#2
    (カウンターアタックを避ける為)中国の人権問題を一切「非
    難」せず、むしろ中国の近い将来における分裂の可能性(ある
    いは分裂阻止のための軍政移行の可能性)を示唆する映画を製
    作
#3
    日本の俳優をアジア人(日本人または中国人)の役を演ずるス
    ターとしてハリウッドに大量に送り込む
#4
    日本人のプロデューサー、監督、脚本家等を、ハリウッドに常
    駐させる

     私は「ゲノムの方舟」以来、「世界規模」の小説を書くよう
    に出版社に要請され、かつ自分でも希望して実践しているので
    すが、その理由は「#4」にあります(その件についても、↓こ
    ちらをご覧ください)。

http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/genome/cntnt.html#toyokeizai

     世界を意識しているので、当然私は作品の中では、中国人へ
    の「十把ひとからげ」式の偏見、差別表現は登場しません。私
    はいかなる相手に対するものであれ、人種差別、人種偏見は許
    しません。中国政府の圧力に屈したハリウッド関係者がどんな
    に偏見に満ちた反日映画を作ろうと、私はそのまねはしません。
    私は「中国人への人種差別」には全力を傾けて反対します。

     ですから、次作「龍の仮面(ペルソナ)」(仮)の主人公は
    中国人であり、テーマは「中国が中国であり続けること」の限
    界と苦悩なのです。私は、国の統一を維持するために反日宣伝
    を「せざるをえない」中国という国には、むしろ同情的です。
    たしかに個々の中国人は勤勉で優秀なのですが、国という単位
    では必ずしもそうでなく、まして在外華僑の中国への帰属意識
    はそんなに強固なものではありますまい。

     ところで、近年、アフリカ系アメリカ人の圧力団体NAACP
    (全米黒人地位向上協会)は、アフリカ系がアメリカの総人口
    の1割を占めることを根拠に、テレビ、映画の大手各社に「ド
    ラマ、映画の1割に黒人の俳優を主役級で登場させよ」との数
    値目標をつきつけ、実現させました。

     が、よく考えてみると、ハリウッドの大作映画の全世界にお
    ける興行収入の2割は、常に日本市場からもたらされているの
    で(『タイタニック』では2割、『アルマゲドン』では4割)、
    日本人には「ハリウッド映画の2割を日本の俳優を主役級に起
    用した作品にせよ」と要求する権利があるはずです。

     たとえば、『チャーリーズ・エンジェル』の3人目、ルーシ
    ー・リューは日本の芸能界の基準ではおよそ美人のうちにはは
    いらず、香港や台湾の坊やたちに聞いても「あんなのより日本
    の女優のほうが数段美しい」と口を揃えて言います。

     それなら、『チャーリー…』の続編では、ルーシー・リュー
    を降板させ、カンフーアクションのできるもっと美人の日本人
    女優、たとえば、水野美紀と交代させる、というのはどうでし
    ょう?

     代表なくして課税なし……この言葉で独立戦争に勝利して以
    来、アメリカ社会はその全体が巨大な「会費制クラブ」であり、
    カネを出したものは当然口を出す権利があるのです。われわれ
    日本人はハリウッドの財政の2割も負担しているのですから、
    この程度の要求は当然のことでしょう。

     実は、これはフランスやスウェーデンがアメリカに対して、
    韓国が日本に対して、すでに実践しつつある手法です。なぜ韓
    国でも思い付くことを日本人は思い付かないのでしょうか。こ
    れらの国々は、自国の監督や俳優を世界に進出させようと国を
    挙げて努力しているのです。

     高齢化の進展により、いずれ日本のGDPや市場規模は低下し
    ますから「ハリウッド財政」に占める日本の比重も低下します。
    いま、日本にまだ十分に力のあるうちに、これは当然やってお
    かなければなりません。さもないと、将来、中国の圧力で反日
    宣伝映画が次々作られても、それに対抗する手段は、それこそ
    「与野党政治家の力を糾合」などという無粋で、実効性の乏し
    い手段しかなくなってしまうでしょう。

    「#3」に関連して、60年代以来しばらく御無沙汰になっている
    「007」シリーズを、日本に招致するというのはいかがでしょ
    う。80〜90年代にインド、中国は招致を実現しておりますが、
    日本は映画のロケに自治体や警察が協力的でないという理由で、
    永く敬遠されておりました。

     が、日本でもロケに協力するフィルムコミッションが各地に
    できてきたうえ、東京都では映画に理解のある石原都知事のお
    陰で、街中でかなり派手なアクションシーンの撮影でも許可さ
    れるようになってきました。

     招致できれば、当然、ボンドガールの1人は日本人というこ
    とになります(中国は『トゥモロー・ネバー・ダイ』の招致に
    は成功しましたが、国産女優の容姿のレベルが低く使い物にな
    らず、ボンドガールにはマレーシア人のミッシェル・ヨーを借
    りてきました。「13億人」の力というのは、しょせんこの程度
    なのです)。

     世界を牛耳ろうとする悪の秘密結社(中国共産党?)が日本
    に対して陰謀をめぐらしているのですから、やはり日本人とし
    ては、永田町のセンセイなんぞよりも、正義の味方ジェーム
    ズ・ボンドに日本を守ってもらいたいと思うわけです。

     そのほうがずっと楽しいでしょう。映画というのは、もとも
    と楽しいものなのですから、楽しい対抗手段を考えるべきなの
    です。そうすれば世界中の映画ファンがわれわれの味方になっ
    てくれます。

     最後に、私個人のことで恐縮ですが、私が「#4」を実現する
    には、次作を最低でも5万部売る必要があります。私の意見に
    賛同して下さる方は、ぜひ2002年早々に刊行予定の「龍の仮面
    (ペルソナ)」(仮)を宜しくお願い申し上げます。
 
 敬具
 
 --佐々木 敏
 http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/

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