国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

全て表示する >

JOG Wing No.0324 by melma!

2001/04/19

 _/          _/  _/                    フェミニズムから公共道徳へ(1)
 _/          _/      _/_/_/      _/_/_/           ほそかわ・かずひこ
_/    _/    _/  _/  _/    _/  _/    _/    
 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.04.19 4,184部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.324
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/   _/_/     _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 

     こんにちは、ほそかわです。
     私は以前、男女共同参画社会への疑問を書きました。フェミ
    ニズムが台風のように吹き荒れるなか、私たちはどのように考
    え、行動すべきでしょうか。
     専門的なことはわかりませんが、私なりの知識と見解を述べ
    てみたいと思います。2回に分けてお送りします。

◆前車のわだち

     19世紀フランスの哲人アレクシス・ド・トックビルは、次
    のように書いています。

         「両性のそれぞれの異なっている諸徳性を混同して、男
        女を平等なもの、似通ったものとしようとする人々がいる。
        ……このように両性を平等化しようとつとめることによっ
        て、彼らは両性を共に堕落させている」(「アメリカのデ
        モクラシー」)

     トックビルがこう書いたのは、19世紀の前半。男女同権論
    に基づく女性の権利拡張の思想・運動、つまりフェミニズムが
    誕生したころでした。その後、女性の権利は拡張され、性差に
    よる不当な差別は、少しづつ解消に向かっています。

     しかし、その半面では、トックヴィルが懸念したような道徳
    的低下も、現実のものとなってきました。特に1960年代以
    降、フェミニズムが急進化してから、その弊害が強く出てきて
    いると思います。それを反省したアメリカでは既に、フェミニ
    ズム以前の社会への回帰が目指されています。

     わが国は、前車のわだちを踏まぬよう注意し、男女の信頼と
    協力によって、公共道徳の復興を行うべきだと思います。

◆アメリカのウーマン・リブ

     今日のフェミニズムは、1960年代後半、アメリカで発生
    したウーマン・リブ(女性解放運動) に源を持ちます。

     第2次大戦後のアメリカでは、男性兵士たちが帰国し、それ
    まで職業労働をしていた女性たちが家庭に戻ると、家庭での生
    活に不満を感じていました。また高等教育を受ける女性が増大
    したにもかかわらず、能力を生かす機会が与えられないという
    不満もありました。

     そうした状況において、60年代に黒人公民権運動が高揚し、
    また新左翼運動が拡大していました。ウーマン・リブは、黒人
    が権利を主張するのなら、白人の女だって主張すべきだという
    ことから、始まったようです。そして、黒人差別撤廃の運動の
    波に乗って、ウーマン・リブは伸長しました。

     この時代の申し子が、ベティ・フリーダンです。女性心理学
    者フリーダンは、1963(昭和38)年、「女らしさの神
    秘」(邦題「新しい女性の創造」大和書房)を出版しました。
    彼女は「幸福な主婦」を執拗に攻撃し、「幸福な母子関係」を
    叩きました。同書はベストセラーとなり、甚大な影響を及ぼし
    ました。

     1966(昭和41)年、フリーダンは、全米女性連盟(N
    OW:National Organization for Women)を結成し、初代会
    長となりました。NOWによって、ウーマン・リブは本格的に
    拡大し、フェミニズムは急進化しました。もっともフリーダン
    は自分はレズビアンだと公言し、彼女らのNOWは、レズの権
    利などの運動団体と化しているといいます。

     ウーマン・リブは、わが国にも影響を与え、1972(昭和
    47)年にはピル解禁を要求する中ピ連が生まれ、ピンクのヘ
    ルメットがテレビに登場し、その過激さが世間を驚かせました。
    現在の日本のフェミニストたちは、かつてフリーダンがやった
    ように、主婦を攻撃し、母性の価値を崩壊させようとしていま
    す。

     しかし、アメリカでは、どうなっているでしょうか。後に触
    れるように、アメリカは、フェミニズム以前の社会に、大きな
    うねりとなって回帰しつつあります。そして、家庭を始めとす
    る道徳回復運動が、国家的規模で推進されているのです。

◆フェミニズムの背景にあった「性革命」

     ウーマン・リブは、女性の立場から政治・経済・社会・文化
    の総体を批判し、女性の意識高揚を提唱しました。その思想・
    運動は、「女性による人間解放主義」を提唱するものとなり、
    これが今日的な意味でのフェミニズムとなっています。

     1970年代に、アメリカのフェミニズムは高揚しました。
    その背景には、アメリカ人の性に関する意識と行動の変化があ
    りました。アメリカでは、1960年代に、「性革命」が進行
    しました。これは、新左翼運動と密接に結びついています。新
    左翼に大きな影響を与えたハーバート・マルクーゼは、マルク
    スとフロイトを結合し、エロスの解放を唱えました。そして、
    性革命運動は、新左翼運動とともに本格化していったのです。

     当時の「性革命」の理論家に、ケイト・ミレットがいます。
    ミレットは、ウーマン・リブから登場した、急進的なフェミニ
    ストでした。

     ミレットは1970(昭和45)年に出した著書「性の政治
    学」の中で、社会体制が男性の女性支配を固定化しているとし、
    体制の変革を訴えました。とくに男性支配の原単位が、一夫一
    婦制の家族にあるとし、それを崩すために、婚前・婚外の性交
    渉、同性愛、女性の社会進出などあらゆる手段を駆使すること
    を主張しました。これは完全なフリー・セックスにつながる主
    張です。ミレットの思想は、当時のアメリカ社会に、強い影響
    を及ぼしました。

     フェミニズムの高揚の背景には、性の意識と行動の変化があ
    ったのです。ちなみにミレット自身は、レズビアンでした。

     ミレットらの運動は、ラディカル・フェミニズムと呼ばれま
    す。マルクス主義が説く階級支配より性支配を重視し、男性支
    配からの解放を第一義的とする思想です。マルクス主義はそれ
    まで、性差別は共産主義の実現によって解決できるとしていま
    したが、新左翼の中から、ラディカル・フェミニズムの家族論
    をとりこんだマルクス主義フェミニズムが登場しました。この
    共産主義化したフェミニズムこそ、今日の日本で影響力を強め
    ている思想です。

◆伝統的価値観による反対

     1970年代前半、「性革命」が進むアメリカでは、これに
    反対する動きも始まりました。アメリカは、キリスト教文明の
    国です。キリスト教は貞節な性道徳を説き、一夫一妻を教えと
    し、離婚も本来禁止されています。こうした文化の社会で女性
    の性の解放を説くことは、キリスト教を否定することとなりま
    す。急進的なフェミニズムは、それでした。これに対し、キリ
    スト教に基づく伝統的な結婚観、家庭道徳を主張する動きが出
    てきたのです。

     1965(昭和40)年に初版が出たヘレン・アンデリンの
    「魅力ある女性」(邦題「新・良妻賢母のすすめ」コスモトゥ
    ーワン)は、今日まで200万部の売れ行きを続けています。
    アンデリンは主婦であり、8人の子どもの母親です。彼女は、
    聖書の教えに基づいて、女性たちに、女性の幸せ、愛と喜びの
    ある結婚を語りました。そして、どうしたら男性(夫)から見
    て魅力的な女性になれるか、その具体的な方法を助言しました。
    ニューヨーク・タイムズは、アンデリンを「家庭の中にこそ女
    性のいるべき場所があると信じるアメリカ女性の『静かなる過
    半数』の代弁者」と評しました。

     1973(昭和48)年には、やはり主婦で熱心なキリスト
    教徒であるマラベル・モーガンが、「トータル・ウーマン  
    幸せな結婚を築く秘訣」(講談社)を出しました。彼女は「妻
    は夫に全面的に従順であるべきです」と主張し、良妻賢母型の
    女性の役割を強調しました。同書は500万部を超える記録的
    ベストセラーになり、モーガンは良妻賢母をめざす教育講座を
    続けています。

     アメリカ憲法には、男女同権の規定がありませんでした。ア
    メリカのフェミニストたちは、1970年代に男女同権憲法修
    正案(ERA)の実現を推進しました。しかし、伝統的な女性
    の役割を主張するフィリス・シャラフリーが運動を起こし、実
    現を阻止しました。アメリカに押し付け憲法に、男女同権が記
    されているわが国から見ると、首をかしげるような話ですが。

◆アメリカ社会を蝕む家庭崩壊

     アメリカの国民社会には、厳しい現実があります。1960
    年代から、ウーマン・リブ、「性革命」、フェミニズム等が横
    行する一方、アメリカでは、家庭の崩壊と青少年の非行・犯罪
    が、深刻な問題となっています。

     概括的に言えば、離婚率は50%に達しています。そのうち
    71%が3年以内に再婚し、さらにその60%は再び離婚して、
    3回4回の離婚はざらにあるといいます。そうなると被害者は
    結局子供ということになります。

     子供の60%が18歳までに両親の離婚を経験し、その3分
    の1が親の再婚と2度目の離婚を経験します。そのため、継
    母・継父による児童虐待が大きな問題となっています。現在報
    告されているものだけでも、年間2百万件を越えています。こ
    のような家庭環境で育てられた子供が、少年犯罪や麻薬に走り、
    また10代の出産が増えるのは、当然です。

     敬虔なピューリタニズムの国として建国され、1950年代
    には、黄金の繁栄を誇ったアメリカは、内部から蝕まれ、病め
    る大国に変貌していたのです。

     こうした家庭の危機と社会不安の増大に対し、家庭道徳や公
    共道徳を回復しようという動きが起こってくるのは、当然です。
    (2へ続く)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ほそかわ・かずひこの<オピニオン・プラザ>
    http://www.simcommunity.com/sc/jog/khosokawa
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

購読申込・既刊閲覧: http://come.to/jogwing Mail: jog@y7.net
購読解除: http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/quit_jog.htm
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座 http://come.to/jog 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:1999-03-10  
最終発行日:  
発行周期:3回/週  
Score!: 89 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。