国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0296 by melma!

2001/02/26

 _/          _/  _/                      「無菌国家」日本の病理
 _/          _/      _/_/_/      _/_/_/               YoJirou
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.02.26 4,051部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.0296
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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     日本人の行き過ぎた清潔志向や潔癖症が問題になっている。
    抗菌グッズや殺菌剤、殺虫剤、消毒剤、防腐剤などの過度の使
    用によって、必要な菌までも一掃するような無菌化が進み、そ
    の結果喘息(ぜんそく)やアトピー、花粉症などアレルギー病が
    蔓延しつつある。本来なら自然に育まれる抵抗力や免疫が無菌
    化によって失われ、あるいは身体の中に遺伝的に存在する免疫
    力がそれに対応する菌を失って、異常な反応が生じてしまうの
    だそうだ。

     人生においても然り。今や生まれるのも死ぬのも病院だ。そ
    こでは、生も死もパターン化されマニュアル化されて扱われ、
    われわれが生や死の激しいリアリティに直面する機会はいよい
    よ少なくなっている。私が子供の頃は、遊びの中で殴り合いの
    喧嘩もし、鼻血を出し、このような中で対人関係のルールとか、
    力や恐怖への対応を身につけてきた。今では子供が殴り合って
    痣(あざ)でもできたら親が大騒ぎをし、補償問題になりかねな
    い。

     こうして、子供たちも猥雑な市場の経験もなく、スーパーマ
    ーケット的なきれいごとの無菌環境で思春期を迎えるため、社
    会的なルール感覚もなく自己制御もできずに「切れる」若者が
    増え、学校は荒れ、家庭内暴力や青少年犯罪は増加するのだ。
    これは社会的なアレルギーである。私の子供たちは犬と共に育
    った。動物と共存して良かったと思うのは、糞をしたり発情し
    たり、猥雑でキレイごとではない部分に小さいときから少しで
    も触れる機会をもてたことである。

     歴史を振り返ってみると、人類は政治や社会の場面から暴力
    や武力といった荒々しいものをできるだけ少なくし、秩序を乱
    す異物を排除してより快適で便利な生活環境をつくってきたし、
    それが文明化であった。たしかに、政治の面でも、軍隊とか警
    察、裁判所といった国家の荒っぽい骨組みが日常生活面にしゃ
    しゃり出ない社会ほど、文明度が高いと言うことができる。

     日本人は欧米人以上に「文明病」に罹っているとも言える。
    それは、あまりにもリスクが少なく安全な無菌社会に住んでい
    るために、われわれは危機管理のノウハウや安全保障に対する
    基本的なセンスを失っているのである。わが国の企業や組織の
    危機管理がきわめて脆弱であることは、最近ようやく深刻な問
    題として認識されるようになった。

     政治の面においても、わが国では国際常識から見て異様な発
    想がまかり通っている。それは、武力とか軍事力などがなくて
    も国家や国際社会が成り立つかのごとき錯覚のことである。あ
    る一国内においても法秩序を維持するためには、あるいは裁判
    制度を機能させるためには、どこかに必ず警察や軍のような強
    制力が必要だ。

     国際場裡においてはなおさらである。個々の国家を超えた世
    界政府が存在しない以上、国家や民族間のトラブルが深刻化し
    た場合、残念ながら最終的には武力に依存する以外にない。武
    力への直接的な依存度をできるだけ小さくすることが文明化で
    あるが、そのことはけっして武力なしに社会や国家が成り立つ
    ということを想定しているのではない。
                  (産経新聞 2.15 袴田茂樹氏 『正論』より)

■ 編集者・YoJirouより ■

     日本人はインドの水で口をすすいだだけでお腹を壊すことが
    あるそうだが、欧米人は平気でプールに入ってちょっとくらい
    口に水が入ったり、飲んだりしても日本人ほどお腹を壊したり
    はしないという。日本は世界的に見ても異常な無菌国家になっ
    ているそうだ。だから、その中で暮らしている日本人は、無菌
    栽培状態になっているから逆に菌に弱い。外気に当てるとすぐ
    病気になりやすい。

     回虫博士として有名な藤田紘一郎東京医科歯科大学医学部教
    授は、「自分たちの健康だけに気を奪われ、バイキンを排除し、
    無菌国家への道を突進しているかに見えるニッポン人。実は、
    われわれの過度の清潔志向が、環境悪化をひきおこし、一方で
    は、アトピーや花粉症を増やしてきた。自らのつくりだした文
    明に飼いならされ、肉体的にも精神的にもひ弱になった家畜化
    した日本人は、このままではあと100年ももたない」と警告
    する。

     バイキンを排除したあとは、ニオイだ。オジサン臭を消そう
    と、消臭化粧品まで売れている。日本人は自分のニオイまで消
    そうとする生き物になった。「クサイ」といじめられる、オジ
    サンくさいと嫌われる。「ニオイを消すなんて、生物としての
    自殺行為だ」と藤田教授は言う。

     瀬戸内寂聴氏のお寺で子供を集めた行事をした。その中で一
    人の子供が近くにいた老人を見て、「汚い、臭い」と言って嫌
    がったそうだ。当然寂聴氏はその子を叱ったが、この話を伝え
    る櫻井よしこ氏は「年を取った人がどうなるか、年を取った生
    き物がどうなるかを感じる能力が子どもたちから薄れているの
    では」ないかと恐れている。

     こういう子供たちはいろいろな試練にほとんど遭っていない
    のだろう。物事が自分の思い通りになる「真空の世界」、汚い
    ものや臭いもののない「無菌の世界」で、現実的な苦しみや悲
    しみをなるべく体験しないように守られ育てられているのであ
    ろう。しかし、現実には苦しいこと、悲しいこと、汚いもの、
    臭いものはあり、バイ菌はいる。これらといかに付き合い、い
    かに対処するかではなく、バイ菌はなるべく殺す、その他殺せ
    ない汚いものはできるだけ無きものとし、目の前から隠して平
    穏に暮らすのが今の日本の生活だ。

     「共痛感覚(←誤字にあらず:編集者)を持たないで他者を
    理解することはできない。臭いものを感じることはやはり痛み
    に通じる。死を目撃すること、死体を見ること、糞尿や、糞尿
    処理のできない幼児や老人に接すること、そういう臭み、痛み
    を分け合うあり方を抜きにしての普遍性は信じられない」と鎌
    田東二氏(神道・宗教哲学)が以前書いていたのを思い出す。

     石坂公成氏(「免疫グロブリンE」を、1966年に発見し、
    アレルギーの基本的な仕組みを解明した人。アメリカで長く研
    究生活を送り、日本の免疫学者を育てることにも貢献した。勲
    一等瑞宝章、日本国際賞など受賞)は、アメリカに留学してく
    る日本人研究者を見て、次のように嘆いている。

     「私はいろいろな国からきた若い研究者たちと接したのです
    が、1970年代では、日本の留学生は他の国から来た同年代の人
    たちと比べても、特に違うところはありませんでした。ところ
    が、10年ほど前から変わったタイプの日本のエリートが来る
    ようになりました。どうにも私には理解できない人間なのです。

     彼らは一様に進学のための有名な高等学校を出て、東大や京
    大の医学部に入り、よい成績で卒業した人たちです。彼らは専
    門的な知識はよく知っているし、ものすごく英語のうまい人も
    います。しかし、アメリカ人とコミュニケーションをすること
    ができません。日本人との間で協調することも、気持ちを通わ
    せることも出来ないのです。

     彼らは子どものときから勉強し、よい成績さえ取れば他のこ
    とは何もしなくてよいと言われて育ってきたようです。従って
    周囲の人たちの世話をしたり、友達と一緒に何かをやることは
    自分の仕事でないと思っているようです。こういうケチな人間
    が社会の役に立つわけがありません。

     日本の青白き秀才に欠けているのは、人間としてタフでない
    ことと、人間としてのモラルを持たないこと。研究者だけでな
    く、法律にもっとも詳しい高級官僚が賄賂をもらったり、経済
    に最も詳しい頭取が不正融資をして銀行をつぶしたのは、日本
    のエリートがモラルのない意思の弱い人間だったことを示して
    います」。

         「無菌国家」の日本という問題を比喩的にとらえると、
        これは政治や文明の様々な問題に対する警鐘として受け止
        めることが出来る(袴田氏)。

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