国際情勢

JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル

政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。

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JOG Wing No.0289 by melma!

2001/02/12

 _/          _/  _/                      北朝鮮の路線転換は可能か
 _/          _/      _/_/_/      _/_/_/                       YoJirou
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 _/  _/  _/    _/  _/    _/  _/    _/      H13.02.12 4,033部
 _/  _/      _/  _/    _/    _/_/_/         JOG Wing No.0289
                                _/     国際派日本人の情報ファイル
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     長期独裁政権の支配者は、すべて、わが体制とそれを支える
    イデオロギーが永遠につづくことを望むものである。しかし、
    歴史はそれが常に見果てぬ夢であることを教えている。先代の
    支配者は、その体制とイデオロギーを後継者によって否定され
    る。それによって後継者は自らの正統性(legitimacy)を獲得す
    るのである。

     スターリンの死後3年を経た1956年、ソ連共産党第20
    回党大会でフルシチョフは有名なスターリン批判を行った。
    「非スターリン化」のはじまりである。同様に、毛沢東の死後
    には、トウ小平による「改革開放」という名の「非毛化」が行
    われた。それは歴史のきびしい、しかし当然の法則でしかない。

     非スターリン化と非毛化があって非金日成化がないというの
    は、歴史の常識に反する。歴史は繰り返すのだ。北朝鮮が国家
    的存立を維持するためには、非金日成化は避けることができな
    い。にもかかわらず、金正日労働党総書記にとって、父親の存
    在はあまりにも大きかった。そのため、彼は非金日成化を行う
    どころか、逆に金日成の「遺訓政治」を信条に掲げたまま今日
    にいたったのである。
                    (産経新聞 2.3 神谷不二氏 『正論』より)

     北朝鮮については最近、「新思考」を強調する労働新聞の報
    道や金正日総書記の上海を中心にした先の中国訪問などを機に、
    開放・改革や「変化」への動きが関心を集めているが、金正日
    総書記自身は以前から「最終目的さえ達成されればよい」とし
    て「方法の変化」を強調するとともに、外部世界に向けては
    「路線転換」や「改良主義」と見られるようにすべきだと語っ
    ていることが明らかになった。

     これは1999年4月、金正日総書記が日本から訪れた徐萬
    述・朝鮮総連第一副議長に与えた「教示」で語られている。
    (全文は日本で9日発売の「現代コリア」1・2月合併号に掲
    載)

     「教示」は朝鮮総連の活動が本国の口調丸写しで硬直してい
    るため日本社会で支持を失い衰退しつつあることを批判し、日
    本の実情や世界の情勢変化に合わせた柔軟な方法で活動するよ
    う繰り返し強調している。

     たとえば金総書記は若い世代を取り込むための方法として
    「路線転換かと疑いを持たれる程度に香水の香りを漂わせなけ
    ればなりません」「改良主義的な外皮をかぶりながら内的には
    われわれの基本任務を遂行するということです」
    と語っている。

     さらに「総連が事業方法を転換すれば(本国の)労働新聞のよ
    うなところからも総連が資本主義化しているという非難も出る
    でしょうが、そんなことは聞こえないふりをしてじっと耐えな
    ければなりません。私だけが皆さんの心を理解していればいい
    のです」とも言っている。

     そして「金正日将軍が総連をひどくしかりつけたという話が
    外に出てもいいし、敵の中で金正日将軍は改良主義になったよ
    うだという話が出回ってもいいのです。われわれの最終的な目
    的さえ達成すればよいのです」とし、対外的なイメージ変化は
    「目的」とは別問題だと強調している。

     日本との関係でも「総連の事業方法を変化させれば、やつら
    (日本)はおそらく(総連の)新世代が改良主義に向かったのだろ
    うと思うでしょう」と語り、日本社会や日本の政界への接近方
    法を指示している。
                                       (産経新聞 2.9 より)

■ 編集者・YoJirouより ■

     アメリカの政権交代に合わせ、目立ったパフォーマンスを展
    開した世界の指導的人物が何人かいるが、北朝鮮の金正日総書
    記もその一人である。彼はアメリカの政権交代とほぼ時を同じ
    くして、上海を訪問し、証券取引所やNECなど外国系合弁工
    場を見て回り、中国式の経済発展を賞賛した。上海は中国の
    「改革開放」政策の中心地である。彼は今回の訪中でより改革
    開放寄りの姿勢を示した。どうやら金正日は「中国モデル」に
    沿って経済開放をしていくつもりのようだ。

     北朝鮮は一昨年以来、以前は敵対していた韓国や日本、欧米
    などと仲直りしたいという姿勢をとり始めた。この戦略の背景
    には、これらのリッチな国々と友好関係を作り直すことで、自
    国に投資と経済援助をもたらそうとする意図である。

     北朝鮮のテレビで金正日が訪問した上海市民の豊かな生活ぶ
    りを放映させたが、もし金正日の行動が自分の政権を守るため
    の演技だったら、自国の貧しさを見せつけられた国民の不満を
    を高めるだけなのでこんな映像は流さないであろう。成功する
    かどうかはおぼつかないが、北朝鮮は経済開放を考え始めてい
    ると考えてよいだろう。

     昨年末、クリントン大統領が訪朝したら開放政策の開始を高
    らかに宣言して世界を驚かせ、一気にアメリカ企業を北朝鮮に
    呼び込んでやろうと考えていたのだろうと推察される。ところ
    が、クリントンがもたもたしているうちに大統領選挙が混乱し、
    クリントンの任期も切れ、北朝鮮に対して寛容な政策を続けて
    きたクリントンとは対照的に、北朝鮮に厳しい政策をとりそう
    なブッシュ政権が誕生してしまった。

     今までは「補償金をくれないなら核兵器を作ってぶっ放す
    ぞ」とアメリカや日本を脅して金を取ることができたが、形だ
    けでも開放経済となると、そうはいかなくなるだろう。しかし、
    開放政策を始めたからといって、すぐに経済が立ち直るわけで
    はないから、金正日としては、しばらくはやはり「ゆすりたか
    り外交」を続けざるを得ないだろう。日本へは謝罪と戦後補償
    を執拗に求め続けることだろう。

     中国式の開放経済は北朝鮮では成功しない可能性が高い。中
    国にはもともと農村の生産力があった。ところが北朝鮮は、土
    地が豊かでないし気候も寒いため、昔から農業は強くない。農
    業自給が難しかったから、まず農村を活性化し、それを都市の
    産業振興につなげるという中国型の経済発展は難しいだろうと
    言われている。また、今の北朝鮮には「労働力」以外に売るも
    のがない。労働力だけでは外国企業がわざわざ北朝鮮に進出す
    るメリットがない。

         金正日は先代の指導者との断絶を図るのがあまりに遅く、
        体制の崩壊を避けつつ路線転換を策する余地をすでに失っ
        ている。北朝鮮なる国家は存続するかもしれぬ。だが、父
        子両政権を貫く金日成体制が生き残ることは、おそらくあ
        りえないであろう。
                                 (神谷不二氏 『正論』より)

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